大掃除

大晦日、家の中では人が慌ただし行き交い、埃が舞う。
他の家がどうか知らないが我が家は大晦日に大掃除をする。
毎年掃除と埃から逃げるように部屋の隅に縮こまるか外出してしまう私も今年は掃除に参加していた。

部屋のあれもこれもを捨て、整頓し、多少足の踏み場が出来てくると通りかかった誰かが褒める。
普段掃除をしないからなお良く見えるのだろう。

そうして少しずつ床の面積が増え机が見えるようになり、もののほとんどが捨てられ整頓されると部屋は初めて人が過ごせるような姿になった。

ゴミの大袋を既に四も五も使い、それでもまだ足りないほどこの部屋は物で溢れていた。
今まで何を捨てていいか何が捨てるべきで残すべきで何をどこに置くべきか、そういう全てが分からなかった上、清掃に集中し続けられず気が付いたら他のことをしてしまうために掃除を苦手としてきたが、今回はサクっと進んでいく。

家族にやれば出来んじゃんと褒められやや嬉しく思いながら心の中で謝罪をしておく。
この掃除はついでだと大掃除としてやっているが、もっともっと個人的で大事なことのためにやっているから。

さて、と立ち上がり部屋全体を見れば随分スッキリした。
捨てるものは捨て、纏めておくべきものは纏めてある。収納されるべきものが収納されるべき場所へきちんと収まっている。
これで少しは後が楽だろう。

引き出しを開ければひとつの紙、これは家族へ、少しでも傷を浅く出来ればいいと願うお守りのようなもの。
これで来月を迎えられる、と安心する。

よし!と満足した私は、片付けられた満足感を伝え褒められるために家族の元へ向かった。

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