偽の星と愛しき日常
近くからはパラパラと、遠くからはザアザアと、そうした音は部屋へ、暑さに耐えられず吹き込まないように細く開けた窓から遠慮なく侵入してきて部屋を満たす。
暑さを避けるために薄暗くされた部屋、充電器のために窓際の椅子へ座っていたのだが、ふと窓の方を見てみると、そこには宇宙が広がっていた。
窓の水滴が部屋の明かりと目の前を通る道路の街灯に照らされて満天の星空のように見えたのだ。
ねえねえ見て見て、とすぐそこのテーブルで寛ぐ家族を呼んだ。
母は「本当だ」と笑ってどこかへ行ってしまい、父は「詩人だねぇ」と茶化すように笑った。
兄に見せてみると楽しそうに「チープだな」と大声で笑った。
この中でまともに、しっかりと私の思うように私の言葉を受け取ってくれたのは、おそらく兄だけだっただろう。
母と父は私の感性を見ても、私が見た宇宙を見ることは出来なかったのかもしれない。
そして、こうやってわざわざ同じ景色を見に来てくれて楽しんでくれるあたり、私はやはりこの家族が大好きだった。
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