溶けて

薄暗い部屋の中で牛乳をカップへ注いでいる時、なんだ罪悪感に似た感覚がじわりと迫って来る。
人のものをこっそり取ってしまったのでは無いか、そうソワソワして、隠すように電子レンジに仕舞う。

いそいそとチョコレートを出してきて、テーブルに並べて、そうすると電子レンジが私を呼ぶのでまた隠れるみたいにこっそり歩いて温かくなったカップをチョコレートの横に並べる。

一人きりの静かなパーティーをしているみたいで嬉しくなって、多すぎるチョコレートのことは見ないふりをする。
進まない人生を見ないふりして、誰にも見つからないまま今日という人生を確かなものにする。

薄らぼんやりと常態化した淋しさに、温かい牛乳が染みて、溶けたチョコレートが丸ごと覆っていくようで、ゆらりゆらりと夢心地を漂い息を吐く。

疲れた頭はもう何も考えられないし、酷使した目は乾燥していて、瞼の半分は降りてきている。
口の中で温かな牛乳と溶けていくチョコレートみたいに、自分もどろりと溶けてしまいたい。

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