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マンドリン弾きが眠るとき その6

マンドリンという楽器の特徴はいろいろな形で語って参りましたが、物理的に一番の特徴はボディが丸いということでしょう。撥弦楽器(指やピックで弦を弾く弦楽器)は世界中にものすごい種類が存在しています。その中で一番ポピュラーになったのが恐らくクラシックギター(ガットギター)だと思います。ギターは右手の5本の指を駆使して6本の弦をかき鳴らしメロディと同時に伴奏も奏でることができ、ピアノ同様音楽表現の幅が非常に広い楽器と言えます。ギター以外にもその原理で音楽を奏でる弦楽器はあります。(リュート、ハープなど) マンドリンという楽器は4コース(各コース2本)の弦をピックで弾いて音を出します。ギターと同じように2~4音を同時に弾くこともありますが、旋律を弾きながら伴奏もしてしまうという楽器では基本的にはありません。(独奏曲はそういうケースもありますが) どちらかというと撥弦楽器の仲間というよりは演奏形態としてはヴァイオリンに近いものがあります。(ヴァイオリンももちろん和音を交えた演奏も多々ありますが)基本的に単旋律を奏でるための楽器と言っていいと思います。同様にマンドリンも旋律楽器といえます。クラシック音楽の世界においてマンドリンはヴァイオリンと同じ役割をメインとして持っています。しかしながらマンドリンを楽しむ人のそのほとんどは独りで弾く旋律楽器という楽しみ方には目覚めていません。大勢のアンサンブルに入ってその中の一人として演奏することがメインとなっています。自分の音を単独で音楽に替えて聴かせるという経験は少ないのではないでしょうか?

一人だけで弾く、あるいは数名でひく(自分のパートは自分の音だけ)ことができればマンドリンの持つ旋律楽器としての魅力をもっと感じることができると思います。

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ヴァイオリンの世界では弦楽4重奏は当たり前の存在になっています。

自分の奏でるマンドリンの音を自分で鑑賞し、少しでもきれいな音を出そうとすれば、合奏にもその思いは通じるもです。マンドリン1本の音で音楽を作ろうとする練習は合奏にも活きます。というか、そうあってほしいものです。合奏形態の演奏しかしてこなかった方には、簡単な曲でもいいので独奏曲を練習することをお勧めいたします。

冒頭の画像にあるフラットマンドリンは最近現れた新しい楽器です。フラットマンドリンはアメリカでカントリーやブルーグラスと言った音楽に用いられていましたが、形が通常のマンドリンとは全く違いました。今回作られたのは形は現在のラウンドマンドリンと同じでボディが平らな構造です。既成概念にとらわれず色々な音楽ジャンルの演奏を楽しめるマンドリンと言えます。こんな楽器が弾かれるようになれば、マンドリンが身近な楽器として受け入れられるのではないかと感じています。