令和三年三月議会での一般質問1

遅くなってしまいましたが、三月議会での私の一般質問の内容です。
まず、新型コロナウイルスのワクチン接種について。

質問:
 新型コロナウイルスのワクチン接種について質問します。
 この質問に入る前に、病院などの医療現場で、また、高齢者施設などで勤務される方々に心からのお礼を申し上げます。周防大島町内で新型コロナウイルスの感染が抑えられているのは、皆さま方の努力があってこそと感謝いたします。
 また、本件にかかわる本町健康福祉部、病院事業局、医師会をはじめとする関連部署の方々におかれましては、力を尽くしておられることと理解しております。その上で、質問いたします。

 周防大島町では、医療従事者の方々へのワクチン接種に続いてまず高齢者の方々へのワクチン接種が始まることになります。ワクチン接種を受けるか受けないかは自己判断によるということは二月の臨時議会でもご説明をいただきました。住民の方とお話をしておりますと、受けるという方もいれば受けないという方もいます。ただ、多くの方がきちんとした判断材料がなく、印象や噂話などで決めているのが現実です。
 これには歴史的な問題もあります。1970年代から80年代にかけて、天然痘ワクチンを接種した後の脳炎などワクチンを巡る様々な副反応に政府が十分な補償を行わなかったことから、国内でのワクチンへの不信感が高まりました。その結果、各地で集団訴訟が相次ぎ、政府はそれを受け入れず争ったため、多くの裁判が長期化し、泥沼化したものもあり、マスメディアからも大きく批判されることになりました。本来は、行政が副反応が起きたときに対応するための予算なり基金なりを設けておいて、被害が発生した時には速やかに手厚い補償ができる体制を作っておくべきだったのに、それを怠ったのが原因でした。
 さらに2000年代半ばには子宮頸がんワクチンで再び副反応対策を怠り、またしても集団訴訟が起こされることになり、その結果、子宮頸がんワクチンの接種は任意となりました。副反応対策が確立した現在でも日本ではほとんど接種されない状況となり、このままでは子宮頸がんは年間一万数千名の方が発症し、そのうち数千名が亡くなる事態も考えられる、そう、警鐘を鳴らす専門家もいるほどです。
 感染してから治療するよりも、ワクチン接種で蔓延を防ぐ方が住民一人ひとりの身体にもふところにもやさしく、社会的にも財政的にも有利である、というのが国際的な常識ですが、日本ではいま申し上げたような経緯からワクチン接種に対して否定的な印象や考えをもつ方が多いというのが現状であります。

 そこで質問ですが、ただいま申し上げた現状がある以上、ワクチン接種におきましては、クーポンの配布にあわせて住民の方々が正しい判断ができるような情報提供が必要と考えます。具体的には、ワクチンを接種した際のメリット・デメリット、接種しなかった際のメリット・デメリットをわかりやすく説明した資料をクーポンの発送の際に同封し、また、町の広報やホームページにも掲載し、さらには副反応が起きた際の対策についても予算措置がなされ、法律に基づいた手厚い対応が予定されていることをうたうと共に、具体的にどのような補償が取られるのかも説明するべきと考えますが、町のお考えはいかがでしょうか。

回答:
現段階では、ワクチンの供給量に限りがあるため、詳細なスケジュール等はいまだお答えすることはかないませんが、重症化するリスクや医療提供体制確保の必要性などを考慮した、国が定める接種順位にしたがい、接種時期等につきまして、そのつど適時必要なご案内や情報提供を行うとともに、健康増進課にコールセンターを設置し、常時一名以上の保健師で相談対応を行うこととしております。

意見:
 ありがとうございます。
 現在でこそワクチン後進国の様相を呈している我が国ですが、戦前は野口英世、北里柴三郎といった世界的な研究者を輩出したワクチン大国でありました。さらにさかのぼれば、世界最初のワクチンは、イギリスのジェンナーによる天然痘の種痘ですが、そのおよそ五十年後、アジアではかなり早い時期、江戸時代末期にあった我が国では接種が始まっていました。さまざまな風評被害の中で種痘の普及に努めた医師たちの一人に、大阪で適塾をおこした緒方洪庵先生がいます。大村益次郎、福沢諭吉、佐野常民といった日本の社会の近代化に尽くした人物を多く輩出した適塾には、私どもの周防大島からも十名ほどの若者が学んでいます。
 周防大島は、元来が進取の気質に富む地域であります。今回のコロナ禍への対策の鍵となるワクチン接種を成功させ、一人たりともコロナウイルスによる死者は出さない、という覚悟で臨んでいただきたいと思います。そのために私どもも協力を惜しむものではありません。
 また、コロナウイルスへの対策は、感染ばかりではありません。事業や経営、生活への影響、生活苦や経営悪化による自殺などの犠牲もあってはなりません。総合的な対応もお願いします。

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