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【UTAU式人力】なめらかな人力vocaloidの作り方~原音設定編~

こんにちは。山本ピノ子と申します。

前回の記事(音素狩り編)

今回は、「setParam」を使用した原音設定について解説していきます。

単独音・連続音の設定方法のほかに、あると人間みが増す音についても解説していきますので、少しでも参考になれば幸いです。


はじめに

解説で発声・発音に関する話がいくつか出てきますが、私はことばの専門化でもなんでもないので、あくまでもUTAUや人力の調声をする上での話であることをご理解いただいた上でご覧ください。

setParamで原音設定をしよう

「setParam」とは、原音設定に特化したソフトウェアです。
本来は自分で色々設定しなければいけない原音パラメータを自動で推定してくれる超便利なソフトです!原音設定の操作もutauよりやりやすい。

こちらからDLできます。
(2023/09/25現在の最新バージョンはver.4.0-b200412)

早速、原音設定を行いましょう。

  1. 「ファイル」⇒「保存フォルダの変更」を選び、原音設定を行いたい音源を選択

  2. 「パラメータを自動的に生成する」を選択

  3. 「連続発声データ」を選択

すると、こんな画面が出てきます。

なんか複雑な設定画面が出てきました。
だいたい画面の通りで大丈夫ですが、特に水色の部分は必ずチェックしてください。

①「あ囁」や「あ叫」のように、複数の音源を使い分ける際にどの音がどの
 音源か区別するために付けるマーク
のようなもの。今回は曲名に合わせて
 「笑」にしました。(1つの音源でやっていく場合や、音ごとに違う
 接尾辞を付けたい場合は空白でもよい)
②同じエイリアス、例えば「a か」が被ったときに、それぞれに番号を
 付けて区別できるようにするか
。後の処理のために
 「付けない(重複したままにする)」にチェック。
③_(アンダースコア)で区切った後の音を、前の音と繋げずに
 単独音にするかどうか。単独音にしてほしいので「1モーラ分の休符と
 みなす」にチェック。

これでパラメータ生成を押すと、こんな感じの画面になります。

見たことあるやつ

「原音パラメータ一覧」のウィンドウに、たくさん数字や文字が並んでいたら成功です。やったね!

録音した自音源などであれば、ほとんど自動で設定してくれるのでここで終わりなのですが、人力なのでそう上手くはいきません。ここからひとつひとつ、手動で設定していきます。

単独音の原音設定

これからやっていくのは連続音の設定ですが、なめらかに歌うように単独音の設定も少しだけ凝ります。

発声の仕組み上、途中で音が途切れたり、逆になめらかに繋がる音をUTAU上でちゃんと歌ってくれるように設定していきます。

【母音】
前の音を侵食しないよう、音の先頭にオーバーラップと先行発声を置く。
気持ち繋がりが欲しいので先行発声を先に持ってくる

先行発声が先の例。他にも、先行発声とオーバーラップを0にする方法もあるらしい。

【か行、た行】
これらの音は発声の仕組み上、音が途切れるのでオーバーラップを左ブランク内に置く。

とにかく前の音に侵食して一度音が途切れてほしい

【な行、ま行、や行、わ行】
これらの音は前の音となめらかに繋がってほしいので、オーバーラップを子音のちょうど半分くらいに置く。

5:5、4:6の境目くらい

【それ以外】
オーバーラップを子音の前の方に置く

2:8の境目くらい

連続音の原音設定

連続音の基本的な原音設定の方法は、基本的には「波形/パワーの形が違う場所にオーバーラップと先行発声を置く」で大丈夫です。これでだいたい歌ってくれます。

「連続音の設定よく分かんないな~」という人は、重音テトなどの有名な音源を参考に設定してみると分かりやすいです。


その他の音(無声音・促音・語尾息 etc…)

歌唱により人間らしさを出すために、私は以下の音を音素として取っています。

・無声音
・促音
・語尾息(ブレス)
・発音の甘い母音

これらの音は、基本的にsetParamでパラメータを自動生成してくれないので手動でパラメータを追加していきます。
(もしかしたら知らないだけであったりする?)

パラメータを追加するには、原音パラメータ一覧のウィンドウを選択してから「行を複製する(ctrl+i)」で追加できます。

設定とエイリアスを記載しておきます。エイリアスは自分が分かる書き方でOK。

【無声音】(a s,  i sh …)
子音を母音と考えて設定していく。
BRE100とかで無声化した音よりも綺麗に聞こえる。

画像では子音部(固定範囲)を多めに取っているが、ここまで取る必要は無い。

【促音】(a t,  i t …)
促音までを子音部(固定範囲)に設定し、母音は空白を発声するよう設定する。
これがあるとスタッカート的な表現が可能。休符に比べて若干ながら音がぶつ切りにならない。

とにかく音が鳴っている部分を子音部(固定範囲)に。
また、母音に音があると雑音の原因になるので、母音はとにかく音が0になるよう設定する。

【語尾息・ブレス】(a R,  a吸 R …)
設定は促音とほとんど同じ。
これがあるだけで完成度が段違いになる。まず欲しいのはこの音。

これが語尾息(息を吐く方)
これがブレス(息を吸う方)

【発声の甘い母音】(a i,  i n …)
母音と言いつつ「ん」も含まれている。音が短くて分かりづらいがなんとなく変化している部分に設定していけば問題ない。
早口の部分に使うと母音結合に比べてはっきり発音しないのでナチュラルに聞こえる。

重複したエイリアスに番号付けをする

さて、音の設定はすべて終わりましたが、現状エイリアスが重複しているのでこのままではUTAUで調声することができません。

setParamには重複したエイリアスに自動で番号付けをしてくれる機能があるので、それを使ってUTAUでも問題なく調声できるようにしていきます。

ツールの「エイリアス一括変更」を選択すると、

「%a」で既に入力されている文字を消すことなく、「%r」で重複している音に番号を付ける

このようなウィンドウが出てくるので、変換規則に「%a%r」と打ち込み「全wavに対して実行」を押します。
すると、重複していたエイリアス全てに番号が付きます。なんて便利なんでしょう!

ちなみに、番号が重複した状態でこの操作を行うと番号が狂ってしまうので、ややこしいことにならないよう最初の自動設定の段階でわざと重複するようにしていたのです。
(重複させないようにしていると、パラメータをガンガン追加・変更する私では事故が起きやすいため)

図は「a R2」が重複したために2つ目が「22」になった例
一応音の区別はできているので、そのままでも使えないことはない

番号付けが終わったら、原音設定は終了です。
お疲れ様でした!

さいごに

最初に説明したとおり私はことばの専門化でもなんでもないので、ところどころ実際の発声・発音とは違う部分が見られるかもしれません。

それぞれ人によって設定方法も違ってくるかと思いますので、あくまでも一例であることを改めてご理解いただけると幸いです。

次は待ちに待った調声作業に入ります。これが一番楽しい。

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