論文がアクセプトされました

まだオンラインで公開されていませんが、主成分分析を拡張した方法の論文がアクセプトされました。

この研究は4,5年前に初めたものですが、さらにさかのぼれば2008年の論文を改善したものなので、そこまで含めると12年掛かったことになります。

研究者は1つの研究をするのに、複数の研究を同時並行で進めており、実際にかかった年数はそこまでではないとしても、数年単位で時間がかかることは良くあることだと思います。この研究にかかった時間(自分自身と共同研究者の人件費、英文校正費用等)を回収するには、企業であれば利益を出して回収できる可能性はあると思います(実際は1つの技術で大きな利益に繋がることはないので、話はそんなに単純ではない)が、大学だと業績リストに論文が1つ追加されておしまい、ではないかと思います。

大学の場合は基本的に税金から研究開発費が出ていると思うので、利益を出して回収する必要はないですが、とは言え元は税金なので、企業において1つの研究成果で直接的に利益に繋がらなくても、複数の技術の組み合わせもしくは事業の中に組み込むことで利益を生み出す(努力をする)のと同様に、研究成果を他の研究者が利用することで、それがさらに大きな成果に繋がり、結果的に社会に大きな利益をもたらすことが理想ではないかと思います。

企業の場合も上記のように個別の技術をうまくオーガナイズして1つの事業に出来ているかと言われると、必ずしもそうとも言えないところはありますが、大学はそれがさらに難しいのではないかと思っています。複数の研究者が入った大きなグラントはその1つなのかもしれませんが、各研究者の特性と要素技術をよく理解してオーガナイズできる専任の担当者がいることは多くはないと思うので、はやり個別の研究者が自分の研究を進めるために予算を使うという段階に留まっているのではないかと想像します。

いずれにしても、時間とコストを掛けて研究をして論文を書いて、という研究者が当たり前のように行っていることは、実際どのくらい社会に利益をもたらしているのか、ということについてはもう少しわかりやすく、例えば経済効果○○億円といったような試算が出来ると良いのかなと思いました。個々の研究者としての能力を示すために使われているであろう論文の引用数やインデックスも、それが他の研究者に利用されて社会に大きなインパクトを残しているであろう1つの指標になるかもしれませんが、少し不十分かなと思います。

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