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最近書いたやつ

✅あの夏と死にたかった
「残念ですが…」
余命2ヶ月。僕に残された時間はそれだけらしい。
季節は初夏、例年より早く梅雨明けが発表された日本列島は、もう夏真っ盛りという様相をしている。
縁側に座り、見上げると、突き抜けるような青にベタ塗りの入道雲がデカデカと浮かんで、現実味の無さに拍車をかける。
「僕はこの夏と一緒に死ぬのか。」
特に受け取り手もいない呟きは、気の早い蝉たちの鳴き声に混じって溶けた。

✅痛み
言いたい事も言えない、天邪鬼でどうしようもない自分に、堪らなく腹を立てた内なる自分が、その外の殻の自分を殺そうとして、心臓を握り潰す。この胸の痛みは、愛おしさでも恋しさでもなく、そういった自分への怒りなのだ。

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