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【読書感想文】そんなに言うなら抱いてやる

 近頃は紙と電子が同日発売のものが増えてきて嬉しい。電子配信我慢できずに紙の本買っちゃうってことがよくあるので……。意思が弱い。


そんなに言うなら抱いてやる 書影・あらすじ

昼は冴えないヒラ社員。夜になれば、視線ひとつで腰を砕く“男たらし”。
夜遊びを心から愛する男・裏川忍は、2つの顔を使い分けて人生を謳歌していた。
馴染みのゲイバーに、いけ好かない営業部の“プリンス”、表屋ヒカルが来るまでは…!
以降というもの、毎晩のようにやって来るヒカルのせいで夜遊びも叶わない。ノンケのはずだが、どうやらお目当ては自分らしい。それならば。
「1回くらい遊んでみるか? …安心しろよ。俺セックスうまいから」
そうして一方は隠したまま、もう一方は知らないまま。夜だけの関係が始まったーーー。


読後感想・レビュー(ネタバレあり)

 しぬほどよかった。これに尽きる。

 本当はすごくイケメンなのにプライベートの男遊びを円滑に行うために普段は敢えてモッサリした外見で冴えない男を演じている忍(攻め・ゲイ)と、職場イチのモテ男を自認しているややナルシスト気味なヒカル(受け・ノンケ)。ヒカルの友人からの「本当にモテる男は男からもモテる(認められ、好感を持たれる)」という言葉に触発されてゲイバーへモテチェックに行ってみると………。という話。

 忍が同僚の冴えない男だとは微塵も気付かず、ただただ自分の承認欲求のためにゲイの忍をオトす! と躍起になるヒカルがとてもかわいいし、繰り返し会う内に次第に彼自身に惹かれてしまい、あれよあれよと抱かれることになるまでがテンポよくて最高です。展開が王道なのでいい意味でヒヤヒヤせず安心して読めます。ただ、いつ忍の正体に気づいてしまうの〜?! というドキドキ感と、駆け引きのソワソワ感はたっぷりあるのでニヤニヤ必至。

 ノンケなのに同性相手に嫌悪感なくサラッと身体の関係を許してしまうヒカルちゃん。わりと天然ちゃんだなと思った。かわいい。関係を持った翌日、忍は連絡先を残すこともなく姿を消しているけれど、身代わりのように彼のライターが置かれていて(本当は単純に忘れていっただけ)、それを見て「もう一度僕に会う口実にライターをわざと忘れていったんだ!」と勘違いしてそわそわ待ってるの健気すぎませんかね? 愛。

 このライターのくだりは、終盤でなんとなくこういう展開になるんじゃないかな……と想像してたまんまのことが起こったので、ッカァ〜〜!! わかってますねーー!! と大興奮でした。(さっきも書きましたが、いい意味でこちらの予想通りのことが起こるとすごくアガる。)

 最初は偶然忘れただけのライターでしたが、2回目以降は”敢えて”置いていく忍。はやく厄介払いしたいと思っていた筈なのに、何度も関係を持つ内にヒカルを「かわいい」と思い始めてしまい、このままじゃお互いのためによくない……と関係を断とうとしてライターを置かずに帰ります。いつもは置いていってくれるライターが置かれてないことに気付いて「あ。ということはもう会いたくないってことなのか…」とがっかりしちゃうヒカルがわいそかわいい。しゅんとしちゃって…!

 結局は忍が同僚のモサ男だということがバレてくっつくのですが、作中の、

「抱かれてえって顔してる」

 という忍のセリフにリンクするように、

「ヒカル 俺 今 どんな顔してる?」
「抱きたいって顔してる」
「正解」

 というセリフでくっつくのがよいですね、フラグの回収がスムーズ…。天才。

 くっついてからは関係が甘~くなってて嬉しい。「くっついてからのふたり」の描写がある作品は大好きです。ヒカルは、照れ隠しはあるものの素直に好意を示すタイプのようなので、とてもかわいい。忍の方があけすけに見えて素直になれなくて「ぐぬ~!」ってなってる対比がよいですね…。

 あと、個人的には通っているバーの店員の双子ちゃんがコミカルでかわいくってお気に入りです。あの双子がいなければわりかし普通のバーって雰囲気なのに、何故にコスプレ店員…?(笑) 1話の、ツインズの吹き出しにうさ耳がついてるのがかわいくて好きです。

 なんとこちら、続編決定! しているようなので楽しみです。

 超よかったのでみなさま是非お読みください~!!!