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震災と新型コロナウイルスとキャラクターと

新型コロナウイルスの拡大で
今年2020年の春は台無しになった。
春は本当ならばはじまりの季節だ。
まもなくほころびはじめる桜も、ぴかぴかの一年生の入学式も
楽しみは今心配にかわっている。

私がキャラクターの仕事に関わって四半世紀がたつ。
その間、今年のような困難を彼らと一緒に体験してきた。
記憶に新しい震災だけでもかなりの数だが、
振り返れば春は災害の多い季節だ。
 2009年3月の新型インフルエンザのパンデミック
 2011年3月の東日本大震災
 2016年4月の熊本地震
そして今年の春には新型コロナウイルスだ。

世の中で何か嫌な事件や事故、悲しい出来事などが起こるたびに
私たち人間はすぐに自粛モードに入る。
誰かが悲しんでいるのに、自分たちだけが楽しんではいけない、と思ってしまう。
それはそれで「優しさ」という人間の持つ素敵な特性でもあるのだろう。
ただ、そのせいで世の中はさらにしん、と鎮まる。
多くのイベントは中止となり、人の動きも止まる。

特に今回は感染防止のためにキャラクター達も活動の場が制限され
ファンは大好きなキャラクターに会いにいくことすらできない。
それでもそんな中多くのキャラクターは、ネット上で動画配信したり
SNSで近況報告などを続けて私たちを元気付けてくれている。

そして注目すべきは、ファンの人たちの投稿だ。
過去のお気に入りの動画などが次々にシェアされている。
今後外出制限等もかかっていく中で、こんな形でもお気に入りのキャラクターたちの姿をみることができるのは嬉しい。

キャラクターの役割ってなんなんだろう、といつも考える。

そもそもキャラクターはアイコンだ。
言葉では伝えきれない「何か」を運んでくれる役割を持つ。
だからメッセージを届ける、ということは彼らの一番得意とするところである。

例えば悲しんでいる誰かに向けて声をかけるのは意外と難しい。
「がんばって」と言いかけて飲み込む。
「がんばって」という言葉は時に残酷なメッセージにも変わる。
もう十分に頑張った人だっているのだから。

そんな時、キャラクターにお願いしてみる。
東日本大震災の時にも、熊本地震の時も、多くのキャラクターたちが
被災地の人たちに元気を送った。

ただ、忘れてはいけないのは、あの時のあのキャラクターのメッセージのこちら側には被災した人たちを心から応援したいと思った人たちの気持ちがあったということだ。

人の気持ちを、キャラクターに託す。
そんな間接的に届けられるメッセージはは温かく柔らかいと思う。

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