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「声聞こえてる? は~い、じゃあ今日の授業始めていくねー」
 Zoom越しに授業をするのは今日で何回目だろう。アルバイトでやっている塾講師の仕事は4月の緊急事態宣言を受けて、オンライン授業へと移行した。正直驚いた。他の塾で働いている友人に話を聞くと、「休講になった」、「変わらず校舎で授業をしている」、という声はあった。しかし、オンラインで授業をする塾はかなり少ないのではないだろうか。
 そう思うのは、生徒にオンライン耐性がないのではないか、という不安があったからだ(逆に大学の授業のオンライン化については、教授のオンライン耐性を心配したのだが)。自分の働く塾には小学生から高校生までの生徒が通っている。その中でも特に、小学生がオンラインのZoomを使った授業をちゃんと受けられるのか本当に心配していた。技術的な問題と授業態度の問題がある。教える先生側は腐っても現役大学生だ。スマホやパソコンなどの電子機器には詳しいだろうし、オンラインにも多少は慣れているだろう。
しかし、小学生はさすがに……そう思っていた時期もありました、昔は。

一言で言うならば、「今の小学生すげぇ!」だ。

 デジタルネイティブというのは恐ろしい。小学生でもスマホを持っている人はいるし、最近はゲームでボイスチャットをつなぎながらオンライン対戦してる、なんて子も多かった。とにかく、オンラインでの授業に対して僕が心配しているようなことはなかった。小学生がバーチャル背景を使いこなし、反応で手を挙げ、いつもより楽しんで授業を受けていた。飲み込みも早いし、物事を吸収する力がすさまじい。世間ではコロナの影響で教育は大丈夫なのか? のような声もよく聞く。しかし、このコロナ禍でオンライン授業を乗り越えた子どもたちは、より対応力のある大人になるのではないかとまで思ってしまう。
 今日は小学生4人と高校生を4人教えた。通勤時間もなく、ベッドから起きてすぐバイトができる環境というのはこれほどまで快適なものなのか。もう自粛期間が終わってもオンラインでいいよ、そんな風に思う一日だった

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