第一部|【1】フレームドラムとCubeMicとを取り巻く話題|【1-3】フレームドラムと収音についての話(マイクロフォンとCubeMicについて)

マイクロフォンで収音する時は

フレームドラムの収音にはマイクロフォンが用いられる事が普通です。
マイクロフォンの一般的な特性として、楽器の至近距離から収音すると、集音された音の全体音量が大きくなり、その中でのバランスとして特に低音域豊かに収音されるという点があります。
また反対に楽器から距離をとって集音すると、全体の音量は小さめになる一方で、楽器そのものの発音に加えて場の雰囲気に由来すると感じられる様な要素が加わるため、収音結果に場所の雰囲気や臨場感が増します。
この様な特性があるため、マイクロフォンの至近距離で音源が遠近した場合には、少し以上離れた音源が遠近する場合に比べて音質や音量の変化が著しく、その事で再生音も不自然になりがちです。

フレームドラムは、楽器の大きさも演奏される音量もそう大きくないものばかりですが、出る音の成分には高音から低音まで広く含まれるものが多いです。また、楽器を固定せず奏者が支えて演奏する場合がほとんどですから、マイクロフォンとの距離は悩ましい問題となります。
収音の良い結果を得るには、奏者もこれらの事柄について多少は気にしておく必要がありそうです。
今挙げた事柄を、もう少し具体的に述べてみます。


至近距離からマイクロフォン収音する場合

楽器とマイクロフォンとが近い場合の利点は、まず第一に、環境音に対して楽器の音を大音量で収音出来る点です。この事は、もともと音量が小さい傾向があるフレームドラムにとって、ハウリングなどの事故を回避しやすくなるという事でありがたい事です。
しかし楽器とマイクロフォンとが近い場合の欠点もあります。演奏性を損なう事があるという点です。
よく動く楽器のすぐ近くにマイクロフォンがあるという事は、それらが衝突するという事故が起きやすいという事でもあります。また、楽器が動く事でマイクロフォンで収音される音量や音質が極端に変化しているように聞こえる場合もあります。
これらを避けるために、選択できる奏法が制限されるとか、期待ほどマイクロフォンを近づける事ができないためにハウリング防止に対しての十分な効果が得られないとかいったことが起こりえます。


少し距離をもってマイクロフォン収音する場合

楽器とマイクロフォンとに距離がある場合の利点は、観賞者が聴く楽器の印象に近い収音結果を得やすい事です。
その欠点は、これは利点とはうらはらですが、奏者が楽器の近くで感じているような力強い音が収音されづらいという点です。
また、収音と再生を同時に行う場合には環境音に再生音が混じります。演奏会場での再生音量を大きくしようとすると、再生音を大きなバランスで再収音してしまう事から、ハウリングなどの音響上の事故がとても起きやすくなります。


マイクロフォン収音とCubeMic収音

フレームドラムを収音するにあたってCubeMicを採用するとしたら、折角ですから、CubeMicにはこれらのマイクロフォン独特の欠点を補い、また利点は損なわない様な性質が期待される所です。
とはいえ何事も一長一短であり、すべての利点だけを実現するとはいかないものです。また活用の程度が進むと、ある人にとっての利点がある人にとっての欠点だという事もありますでしょうし、利点を得るためには楽器や奏法に合ったCubeMicの設置を、特に工夫して調整するような必要もあるようです。
この稿の後半では、その利点や欠点を吟味するための、個別の視点や考え方について詳しく紹介出来れば良いなと思っています。

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