■コラム08|CubeMic収音に最適化した楽器

CubeMicと楽器との最適化に関してさらに一歩進めると、CubeMicの調整だけでなく、使用楽器を調整するという話題にもなるかも知れません。
具体的には、タンバリンのジングルや太鼓のエッジ付近を叩いた時の胴鳴りの収音を最適化する場合です。これは二通りあって、ひとつは収音される音が足りない時で、もうひとつは収音される音が余計な時です。

「足りない」というのは、もっとジングルなどに大きくはっきりと発音して欲しいという場合の事です。これに該当する事があって私は、それまでは少し地味めなジングル音であったタンバリン系のドラムのジングルを、少し派手めな音のものに交換してみました(これしか方法が無いとか現状が最終的な結果だとかいう訳ではないのですが)。

また「余分」というのは、楽器の外向きに鳴っている音以外にも、実は楽器の内部で鳴っている音があり、それがCubeMicで収音されると歓迎されない様な響きになる事があるという場合の事です。やはりジングルに関係した事で挙げれば、ジングルと胴とが当たる際に中音域の鈍く胴が鳴る音が伴っている事があり、これの軽減について私はジングルと胴との隙間に小さな金属ワッシャーを追加する事でまずまずの結果を得ています。

それに加え場合によっては、その他の不快な胴鳴りというのもあります。これは膜を鳴らさない様に膜面の枠だけを強く叩いた時に生じていました。マウント部材の変更で随分軽減されましたが、これを完全に分離して収音する方法はまだ見つかっていません。そこで、そういった奏法が必要な一部の楽器については、収音後の音響処理で該当帯域を鳴らさないようにするといった対処を施し、これを一連のシステムとして運用したいと考えています。エレアコギターであれば、こういった基本的な音響処理機能まで含めて楽器にコンパクトに内蔵されるところですが、CubeMicのシステムに関しては、楽器外部の機器と併せての運用をする事になります。<br />このあたりはより良い結果のために臨機応変に対応するしかないのですが、今のところはまだ、定番と言える対処方法をご紹介出来ません。個別の例に関しては本稿でもいくつか触れたいと考えています。

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