第一部|【1】フレームドラムとCubeMicとを取り巻く話題|【1-3】フレームドラムと収音についての話(マイクロフォンとCubeMicについて)(つづき)

バンド演奏とフレームドラム

ロックバンド以降の典型的なバンド演奏に、フレームドラムはあまり主だっては用いられません。可搬性の高い楽器ですし音色にもバリエーションがある分野です。私などは「もっと活用される場面が多くても良いのではないかな」と感じています。

中近東やブラジルといったそれぞれの楽器が故郷とする地域では、電気楽器との大音量のバンド演奏も含めて、もちろんずっとフレームドラムは用いられています。しかし地域との結びつきを強く示す必要がない音楽においては、それほどには活躍しないのです。
この事から、広い場面でフレームドラムが用いられづらい理由のひとつには、楽器の音色に音楽性や地域性が伴いすぎているのではないかという疑いがあります。例えば三味線の音がしたら日本風とか、バンジョーの音がすればアメリカ風、コラの響きなら西アフリカ風といったような感じです。
ただ同じようにエスニックな雰囲気を伴うと言っても、そういった複雑な構造の楽器よりもフレームドラムの構造は単純なので、ある地域のものとされている楽器そっくりな機能や構造を持った楽器が他の地域にも根付いてるという事は、よくあります。また、あちらの地域のフレームドラムをこちらの地域の奏法で叩くという交換が比較的容易です。
例えば「タンバリンはどこの国の楽器ですか。普通はどんな奏法ですか」などと訊ねられると、一言では答えられないものですよね。
ですから改めて考えてみると、必ずしも地域性に縛られているという事でもないのかなと思います。

それよりも他の理由として私は、フレームドラムが大音量の電気楽器とアンサンブルをするにあたって、バンドの中で「前に出る音」として収音/再生するのは実現しづらい事だと、これまでずっと考えられていたからではないかなと思っています。コンタクトマイクで個別に収音する事はもうずっと行われていますが、それを拡声のためにひとところに集めて混ぜてしまうと、確実な収音が出来たという事はあっても、それまでの状況とはあまり目覚ましい違いは生じませんでした。フレームドラムはもともとどれも合奏で主だって前に出るという事はそれほど多くありませんし、主だって前に出るような時には極端なほど前に出るような扱いになりがちです。ですから収音のミックスもそのように行われます。従来からのアンサンブルをするためにはそれでまったく問題が無いのですし、それこそ良好な結果という事でした。


CubeMic収音で、フレームドラムでバンドのための演奏をする

しかしCubeMicなら、より積極的な音響処理をしてもハウリングの恐れが少なく、またそのために特別な人手を要するという事はありません。ベースギタープレイヤーが奏法に併せて音響をセットアップする様に、フレームドラムプレイヤーも楽器アンプや適切なエフェクターを用いて、アンサンブルの中で「前に出る音」であるとか「縦のタイミングを揃えやすい音」「小音量でも存在感のある音」といった狙いをそれぞれに実現する事が出来るかも知れません。

また、複数のコンタクトマイクを同時に使用して楽器を持ち替えながら演奏するとなると、途端にハウリングの心配が増すものですが、CubeMicではそういった事は無いですし、持ち替え時にも接触や振動から起こる大音量の雑音が、コンタクトマイクよりもずっと出づらいです。
こういった事を考えると「フレームドラムとCubeMicと電気楽器との組み合わせのアンサンブルは、これからもっと多くの人によって試されるのが良いのではないか」という気持ちになりませんか?

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