■コラム32|現場に合わせやすいセッティング

折角「これだ」という音作りが出来た場合にも、演奏会場によっては思う様な音が鳴らないという事はままある事ではないでしょうか。会場の響きも違いますし、会場の機器も異なりますし、なにより一緒に演奏する相手も違うという事で、なかなかこちらだけの思う様にはいきません。
そこで、CubeMicの音作りのシステムとしては、次のような三段階に分ける考え方をご紹介しておきたいと思います。つまり、まず「基本的な音作りをする部分」、次に「場面に合わせた調整をする部分」と、そして「会場に合わせた調整をする部分」という風なものです。
実際にこれらが別々の機器であってもPCひとつだけでまかなわれていても問題ないのですが、調整値を操作する上ではこれらに三段階に分かれて把握出来るようになっていて、それらを独立して扱う事が出来るという状況にしておくのが良いのではないかと思います。

最初の「基本的な音作りをする部分」には、プリアンプ、細かな調整が可能なイコライザー、さりげない効果が得られるコンプレッサー、周波数帯の指定が可能なリバーブという様な基本的な組み合わせが、これに該当しそうです。つまり、楽器本来の音を得るための部分であり、本稿で述べたのは主にこの段を構成するエフェクターについてでした。

次の「場面に合わせた調整をする部分」には、歪み、モジュレーション、ディレイ、印象を変えるような強い効果のコンプレッサー、ルーパーといった様な、場面に合わせて使い分けるものがあたるでしょう。本稿では「派手な効果のもの」として、特には説明していない所です。

そして最後の段には(接続上は三番目である必要はないのですが説明の便宜上その様に書きます)、会場に合わせて簡単な操作で微調整出来る様な、イコライザーやボリューム調整の機能があると良いです。これらは最初の段のものとは異なり、少ない操作項目で調整出来る様なものが向いているでしょう。PAやステージモニターから聞こえる自分達の演奏に合わせて戸惑い無く微調整するためには、簡単に操作出来るという事は肝心です。
もしこれらの機能もPCの画面で操作するという事なら、そのためのウインドウをあらかじめ大きく分かりやすく出しておいても良いのではないかと思いますし、もしシステムにフィジカルコントローラがあるなら、そのうちのひとつのつまみとひとつのフェーダーを「会場に合わせた調整」のために割り当てておくのも効果的な事だと思います。

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