第一部|【1】フレームドラムとCubeMicとを取り巻く話題|【1-2】様々なピックアップ収音道具について
CubeMicの場合
先に、CubeMicの収音について「エレキギターの方式」であるという風に書きました。これは、周囲にコイル(:何重にも巻いた電線の事)を配した磁石の至近で鉄などの磁性体(:磁石に強くくっつく物質の事)が動くと、コイルになっている電線には磁性体の動きに対応した電気の変化が同時に起こる、という性質をそのまま素直に利用しています。この時コイルの電線に生じる電流を音声信号として捉えます。これは一般には「マグネティックピックアップ」という風に呼ばれます。コイルになっている電線の両端がそのまま外部の機器に接続されているという、比較的単純な構造です。
ところで、「エレキギターの方式」と書いたのは、同じギターの仲間の楽器も様々だからです。鉄製の弦を演奏する楽器であれば振動して発音する部分がそのまま磁性体であるためこの収音方式に適しているのですが、ナイロン製など他の素材の弦を用いる楽器や、各々の弦に対応した位置にコイル式のピックアップを配置出来ない様なつくりの楽器には、この方式を選択する事ができません。
このマグネティックピックアップ方式では、発音体である弦が振動した時だけ電気信号が生じるので環境音に対しての楽器音の独立性が高く、また収音される音もピアニシモからフォルテシモに至るまで、力強い音の印象となる傾向があります。
弦の振動だけを収音するといっても、弦の振動は楽器のその他の部分と常に影響し合っていますから、結果として、楽器全体の性格を反映した音がコイルを通して収音されます。どんな楽器でも同じ種類の弦を張れば同じ音が収音される、という風な事にはなりません。
また、楽器の近くで他の音が鳴っていても、弦を揺らす程のそれなりの強さの音でなければやはり出力信号への影響はありませんし、仮に影響がある程であっても、弦さえ押さえておけばその影響を収音せずに済みます。
ハイリーズ社のCubeMicでは、発音体そのものが磁性体でない場合に対応するために、本体コイルの付近に磁性体の金属板が備わっています。この金属板を楽器の発音体(ドラムの膜面や体鳴楽器そのもの)に押しつけるなど接触させ続ける事で、その振動に対応した電気の変化をコイルから得られるようになっています。
マグネティックピックアップをギター系の楽器以外に用いて収音するという点では現在亜流の存在であるCubeMicですが、使用してみると、とても魅力のある方式だと思えます。
さて、楽器の収音に用いられる他の方法としてはマイクロフォンやピエゾピックアップを用いた方法があり、これらについても、楽器システムの一部としての個別収音の観点を中心に、次に多少述べます。
それぞれが良く使用される場面や利点や欠点についてなんとなく共有してから、フレームドラムとCubeMicを組み合わせて活用する事についての話題を読み進めて頂けたら良いなと考えます。
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