はじめに

ハイリーズ社のCubeMicでフレームドラムの演奏を収音するという事に関して、近頃また、色々と試しています。

CubeMicは楽器の演奏を電気信号として収音するための道具で、マグネティックピックアップという種類の器具です(本稿内で多少説明します)。打楽器のために提案されていますが、様々な打楽器それぞれとCubeMicとの組み合わせでどの様な収音結果が得られるかという事は、今のところあまり広くは知られていません。

私は2015年の3月にハイリーズ社より、CubeMicとフレームドラムに関しての使用ノウハウを実演するというご依頼を頂きました。その機会に振り返ってみたところ、ひとつの感想を持ちました。それはつまり「CubeMicは何から手をつけて良いのかわかりづらいのが現状だ」という事です。それは、これまでに他の人がら聞いた「すでにCubeMicの活用に興味をお持ちの方にとっても、自分の状況に合わせるにはどこから手をつけて良いのかわかりづらい」「ひとから、あなたには向いていると言われたものの、どこから手をつけて良いのかわかりづらい」というような感想から来るものです。
その結果なのでしょうか、ハイリーズ社にもユーザーの感想やノウハウが還りづらい様で、まだまだ活用に広がり生まれていないというのがひとつの現状ではないかなというのが、率直な感想です。

私自身としては、CubeMic以前にもマイクロフォンを用いた近接収音の方法を自分の身近に取り入れられないかと試した経緯かあったものですから、それとの比較や連続した経験として、割と素直に出会う事が出来た様です。運が良かったのかも知れません。

打楽器の場合、演奏と収音は切り離されて考えられていて「収音とか音響とかを扱うのは演奏がうまくなってから」というのが、普通の事とされているのかも知れないです。私はそのあたりの事は楽器の選択やチューニングといった事と同じ様に、演奏技術や知見の向上と平行して最初から気にするものかなと考えてしまう傾向があったものですから、特に楽器の巧者でもないのに、なんとなく気にしながら過ごしてきました。小音量の楽器で大音量のセッションに参加するにはどうしたら良いのかなという事に興味があったせいかも知れません。
ですから、私自身は楽器の技術者でも音響の技術者でもないのですが、演奏するのに伴う最低限の知見をもとにして本稿に取り組んでいます。

ところでどんな事柄に関しても、前例や実例を見ないと自分自身の場合に引きつけて考える事は難しいというのは当然です。そして「適切な実例とは何か」「何から手をつけるべきか」というのも、その人の持っている課題や置かれている状況によって適切な解答は異なり、それはつまり私にとっても「何からお伝えすれば良いか」という点が異なるという事でもあります。
そこで本稿では、私の試した方法を大きく俯瞰して見て頂ける様に、そしてその上でご自身の状況に適宜当てはめて考えて頂けるように、とにかく私自身の経験を広く書く事を方針にしようと考えました。

CubeMicのユーザーにとって既に何か大きな成果や手応えが仮にあるとしても、それは多分に属人的なものなのでしょう。ですから一般のためには、その要素としての知見を多くの人と共有するというのが良い方法の様だと考えました。そしてその事が結果として、他の方のこれからの良い具体的な手応えに繋がって欲しいなと思います。

はじめは簡単な箇条書きやレジュメという感じだった本稿ですが、挙げているうちに長いものになってしまいました。
雑多な内容ではありますが、読まれる方にとって「ああ、ここがどうなっているかを知りたかった」という要素を拾い出して頂けるものになっていれば良いなと思います。

私の不勉強から不正確な部分についてはどうかご容赦下さい。誤った点についてご指摘頂ける事がありましたら幸いです。

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