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西日に包まれて

私の済む賃貸マンションは四階建てだ。築40年ほどで、一眼見て綺麗だと思えるような見た目ではない。

そんな古いマンションの、最上階に私は住んでいる。私の部屋の外にはベランダがある。

さっきまで私は部屋の中で本を読んでいた。すると窓から強い日光が差し込んできた。私は光に誘われるように、窓を開けて、ベランダに出てみた。

午後3時。晴れている。雲はほとんどない。青く澄み渡った空だ。

日差しはとても眩しい。日の光に包まれるようだ。私の部屋は、西日をまともに受ける。ベランダに出ていては、より一層の日が当たる。

しかし私は、西日が入るこの部屋、嫌いではない。たしかに夏は異常に暑いが、私は暑さには耐えられる。むしろ寒い日に部屋を暖めてくれるので、歓迎したいくらいだ。

ベランダで、昔のことを思い出している。中学生の頃、友人と授業の合間の休憩時間に、校舎から校庭に出る玄関で、ひなたぼっこをしていた。それは風が強く、寒い日だった。

しかし、私と友人が過ごした玄関はコの字になっていて、二人は風を受けずに済んだ。その上、西日がちょうどよく差し込んでいた。その空間で、私と友人はたわいもないお喋りをした。

古いマンションだが、このベランダは気に入っている。日差しに抱擁されて、穏やかな気分になれる。昔似たような経験をした記憶が、蘇ってくる。何気ない日常に、暖かみを感じた。

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