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車より人が優先される街

私が住む府中市では駅前再開発が終了し、駅前はきれいに整備されましたが、市民生活が便利に暮らしやすくなったかは疑問です。

再開発終了とともに、市民が便利に使っていた駅周辺の駐輪スペース「ちょこりんスポット」もなくなり、自転車は再開発ビル「ル・シーニュ」の地下駐輪場にとめることになりました。
自転車がないため、歩きやすくもなりましたが、ちょっとした買い物が不便になり、地下の駐輪場は高齢者や子ども連れの方には使いづらいとの声もあるようです。
いくら、街が綺麗に整然としても、住みづらくなっては意味がありません。街は鑑賞するものではなく、私たちが暮らしていく場だからです。

さて、世界に目を転じると、持続可能な街をめざすデンマークや多くのヨーロッパの都市、また「住みたい街」として有名なアメリカのポートランドでは、徒歩や自転車で移動が可能なまちづくりを進めています。
また、路面電車やバスなどの公共交通機関も充実しています。
さらに、このような都市の多くが、中心市街地において自家用車の通行を制限するなどして、徒歩・自転車・公共交通機関が優先されるトランジット・モールを導入しています。

府中市の元市長は、中心市街地にあるけやき並木の歩行者専用道路(モール)化実現に努力されていました。
しかし、地元関係者からは車が通らなくなったら、人の賑わいもなくなり、寂れた街になってしまうとの反対の声もあり、なかなか実現しませんでした。
50年近く前、ドイツのフライブルクでは、これと同じような猛反対がある中、中心市街地の歩行者天国を市議会が決定し実施しました。
すると、多くの人で賑わったそうです。当然のことながら、商店の売り上げも上昇しました。
この結果を受けて、その後、中心市街地にトランジット・モールを導入したそうです。

では、これからの人口減少を迎える将来に、次の世代やその次の世代が住みやすい街とはどのような街でしょうか。
人が減れば、家も車も自転車もそれに見合って減るわけですから、これからの街づくりの基本として理解しておかなくてはなりません。
それから高齢化です。高齢者の運転中の事故が多いことからも、自動車は人口減少を上回る減少が見込まれます。

持続可能なまちづくりは、まちをコンパクトにして人口密度を集中させる。
そして、自動車ではなく、徒歩・自転車・公共交通機関で人々が移動するというのが世界の流れです。
他市に負けない立派な施設を作るといったような都市間競争ではなく、もっと世界に目を向けることが必要です。いつまでも暮らしやすい街は持続可能な街でもあります。子どもたち、さらにその子どもたちの世代にも誇れるまちを残したいものです。

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