見出し画像

「児童手当の特例給付カット」はどれだけ"やばい"のか


ここ数日話題の、片方が年収1,200万円以上稼ぐ家庭の児童手当の特例給付カット。

私個人はもちろん1,200万円も稼いでいないものの、この政策はあまりにも酷すぎると思っているのですが・・・

「まぁ、それだけあればねぇ。」

なんていう意見もちょいちょい耳にしてしまい、、


いや、やばすぎるからね?


ということを伝えたくて具体的に計算してみたところ、出てきた数字を見て恐ろしすぎて震えたので少しでも多くの人に同じ気持ちを感じてほしいと思いnoteを書きました。


それぞれの家庭の形があるので一概には型にはめられないですが、計算しやすくするために

・片方が年収400万円のサラリーマンの家庭

・片方が年収1,200万円のサラリーマンの家庭

と条件を決めて計算してみました。

もう片方の年収は完全度外視です。


これまでの児童手当


【参考】
児童手当制度のご案内: 子ども・子育て本部 - 内閣府 (cao.go.jp)  


これまでの児童手当制度では、もらえる児童手当の金額は


・1~2歳 月15,000円

・3歳~小学校終了前 月10,000円(第3子以降は15,000円)

・中学生 月10,000円

となっていました。


つまり、年収400万円の場合子供1人につき

15,000円×12月×2年+10,000円×12月×13年=1,920,000円

これだけもらえていたということになります。


今までも以下のような所得制限がありました。

画像1

参照元:児童手当制度のご案内: 子ども・子育て本部 - 内閣府 (cao.go.jp)  


ただし、所得制限に引っかかる家庭も【児童手当の特例給付】制度によって子供1人あたり月5,000円給付されていました。

つまり、年収1,200万円の家庭は、子供1人につき

5,000円×12月×15年=900,000円

これだけもらえていたということになります。


以上のことから年収400万円の家庭と年収1,200万円の家庭で比べた場合、

1,920,000円-900,000円=1,020,000円

満額もらえる家庭は、夫婦どちらかの年収が1,040万円以上の家庭と比べて年間1,020,000円多く児童手当をもらっていたことになります。

子供2人の場合は2,040,000円も多く児童手当をもらっている計算です。


2022年10月以降の児童手当


つい先日、2022年10月以降は夫婦どちらかの年収が1,200万円以上の家庭について、【児童手当の特例給付】がカットされることが決まりました。

【参考】児童手当の特例給付対象 年収1200万円以上除外へ 来年10月以降 | 教育 | NHKニュース

この政策により、夫婦どちらかの年収が1,200万円以上の家庭は児童手当が1円ももらえなくなります。


今までは、年収1,200万円以上でも子供1人につき

5,000円×12月×15年=900,000円

これだけもらえていました。

2022年10月以降は、これがゼロになります。

つまり、年収400万円の家庭は子供1人につき

15,000円×12月×2年+10,000円×12月×13年=1,920,000円

これだけもらえるのですが・・・

年収1,200万円の家庭は子供を何人産んでも児童手当は0円なので、両者の差額は

子供1人の場合 1,920,000円

子供2人の場合 3,840,000円

子供3人の場合 5,760,000円

になります。


これだけ今の日本の政策は低所得世帯の子供を優遇しているということです。


では、子供1人につき1,920,000円給付される児童手当はどこから出てるのか?

私たち納税者が納めた税金から出てるんですよね。

では、それぞれどれくらい税金納めてるんでしょうか。


15年間の納税額の差額


年収400万円の人と年収1,200万円の人の納税額をざっくり計算してみます。


詳しい計算過程はここでは省きますが・・・

年収400万円の場合、手取りは大体310万円。

つまり、納税額は1年間で90万円です。

一方、年収1,200万円の場合、手取りは大体850万円。

つまり、納税額は1年間で350万円です。

年収1,200万円の人は、年収400万円の人と比べて1年間で350万円-90万円の260万円多く税金を払っていることになります。


児童手当は子供が15歳になるまで。

では、15年間の納税額の差額はいくらでしょうか。

260万円×15年=3,900万円

年収1,200万円の人は、年収400万円の人と比べて、15年間で合計3,900万円も多く税金を納めていることになります。


年収400万円(15年間の納税総額1,350万円)の家庭の子供たちは、子供1人あたり総額1,920,000円も児童手当がもらえる。

その家庭より3,900万円多い、総額5,250万円の税金を納めている年収1,200万円の家庭の子供たちは手当を1円ももらえない。

そんなことってあります?


ちなみに、年収600万円の場合手取りが450万円で年間納税額は大体150万円です。

年収1200万円の人は年間350万円納税しているので、単純計算で15年間の納税額の差額はで3,000万円。

年収600万円の人と比べても、納税額の差は3,000万円です。

ちょっと信じられないですね。

というか異常ですよね。


この数字を知っても、

「まぁ、カットされた人はそれだけ稼いでるし、、」

「給付なくて大変だろうけど、それだけ他と比べていい暮らしもしてるだろうし、、」

「税金なんて稼いでる人から取ってなんぼでしょう。むしろもっと取れるよ。」

そんなこと、思えますか??

そんなこと、言えますか??


稼いでる人は何もしないのにお金が勝手に増えてるわけではありません。

一部そんな人ももしかしたら中にはいるかもしれませんが、ほとんどの人が必死に勉強して、遊ぶ時間も寝る時間も惜しんで働いています。

稼ぐ人は稼ぐだけの努力をしています。

「自分だって努力してるけど稼げないんだよ!稼いでる人だけが努力してるわけじゃない!」

という反論もあるかもしれませんが、だから稼ぐ人が努力していないということにはなりません。


必死に努力して稼いで、年間350万円、15年間で総額5,250万円も税金を納めてる人たちへの仕打ちとしてはあまりにも酷すぎるのではないでしょうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?