私の中の彼へー青き騎士第2回ー01
私の中の彼へー青き騎士第2回ー01■翔は自分の分身とも言える装甲機・零に呼びかけている 「君といるこの世界は何とすばらしいのだろう」
私の中の彼へー青き騎士ー第2回−01青き騎士(1992年)より
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務
まわりは荒野だった。
それも血みどろの荒野だった。
改造された彼・翔しょうの視覚機能は、風景を人間とは異なる視点からながめることができた。零の力で見ることができる。
翔の乗る、人工頭脳装甲機・「零レイ」の電子のグリッドが、彼、翔の眼の前に拡がっている。
軍務についた最初は、希望にみちあふれていた。若さと、おのれの未来に対する希望。未来は栄光で満ちあふれているはずだった。対「アイス」戦が彼の未来、希望を打ちくだく。
今の彼は荒野の狼。個々人の判断で勝手に行動するワンマンアーミー。索敵し、攻撃する。
通常の正規戦では「アイス」に対する勝算がないと理解した地球連邦軍はヒット=エンド=ランのゲリラ戦を展開していた。
地球連邦の敵「アイス」は、ある一定以上の気候帯には侵入しない。
南極がその戦略地域であり、対地球軍との戦域は「アイスフィールド」と呼ばれ、対「アイス」用の戦士のみが生棲していた。弱点をみつけ、「アイス」を撃破すること。
それが翔たちに与えられた任務であった。
が。翔の出身学校「連邦士官学校」いわゆる「バトルスクール」での装甲機兵科で現時点で生存している人間は約5%であった。
翔も対「アイス」戦でかなりのダメージを受け、補給もままならぬ戦略の泥沼の中で自らの運命を呪っていた。
おのれの技量に対する信頼。世界はすべて、彼翔のためにあるように思えた。突出せぬばかりのエネルギーが彼の体に宿っていた。対「アイス」戦までは。
対「アイス」戦は、翔の神経をずたずたに切りきざみ、体力・気力もなえさせ、あらかたの未来に対する希望をもはぎとっていた。
彼1人のために創られたいわば、オーダーメイドの巨大な人工頭脳装甲機。初めて装着した時、翔は感じた。
自らの能力を高めるための補助機能。零。
そう、人類の神から与えられた最も秀れた機械。
電子戦のための高度なテクニックが必要だった。
敵をほふるためのあらゆるテクニック。翔は短時間で修得していた。
敵、アイスの飛行端子は、連邦連邦軍の船に侵入し、連邦軍の人間の頭に触手をうちこむ。
その触手には「アイスブレッド」をうめる機構がそなわっている。打ち込まれたアイスブレッドは、
人間の脳内で微妙に変化する。
彼らアイスは人類を殺しはしない。
冷徹に人間1人1人の頭にアイスブレッドをうちこんでいくのだった。
人類をアイスに同化させていくのだ。
アイスの命令をきく。がそれに適応できなく、廃人となるものもでた。
アイスブレッドを打ち込まれた子供はある一定年齢になると、アイスの命令を聞き始める。それゆえ、子供の関しては、16才まで人類の味方だった。
が、彼らは、「ニュー・オーハン」とも呼ばれた。
地球の孤児である。連邦軍の支配にあった。
翔は、“零”に闘うことを命じた。 幼ない頃から翔は“零”と共に育った。
続く
コンテンツを盗む人を減らし罰する公正な日本にしたいです。