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CCC2020-2021

 僕にとってNTTコミュニケーションシャイニングアークスでの1年目のトップリーグは、中止という形で終わりました。

そのため、この「note」でおこなっていた試合レビューもひとまずおしまい。今回は、打ち止めになる前の全6節(出場は5試合)までの記事を振り返りつつ、今シーズンを総括していきたいと思います。

■情報発信の土壌を活かす

 そもそも僕がnoteで試合を振り返ろうと思ったのは、新しい畑を耕したかったからです。

ラグビー界では、ラグビー界のなかだけで行動しがちな人も少なくありません。

だけどいまは、アスリートにとって情報発信がしやすく、世間の多くの人がアスリートの情報発信を受け止めやすい環境が整っています。

僕はその環境を活かさないのはもったいないと思い、Twitter(https://twitter.com/yamadakihito)

Blog(https://lineblog.me/akihitoyamada/

Instagram(https://www.instagram.com/yamadakihito/)
YouTube(https://www.youtube.com/channel/UCjN5DNSw4maBu7svVZeyqaA

での発信を通してラグビー界の外とのつながりを作ろうとしてきました。Noteを始めたのもそれと同じ流れです。

ラグビーを、長めの文章やプロ仕様のコンテンツを共有するnoteのユーザーにも届けるイメージです。

発信した内容がどんな形で、どれだけの人に届くかはやってみなくちゃわからない。やってみて、もしももっと違う形で発信すればいいと思えばその都度マイナーチェンジすればいい。


「Chance Challenge Change」

CCC。僕の好きな言葉です。

■なぜ、色々と例えたのか。

 1本あたりの購入金額は、1000円にしました。無料ベースの記事を描くより何か自分にハードルを課すという意味でも、他の人がしない価格設定をすることで何か見えるものがあるのではと仮説を立てたんです。シーズンを進めながら「1000円に見合う形にするにはどんな内容にすべきか」も考えようとも思っていました。
 
 今回は、その実験結果が出る前に打ち止めとなりましたが、読んでくれた人からは好評でした。そんな発信するなかで僕が意識したのは、色んなフックをかけることでした。

 お互いに硬くなりがちな開幕戦を制したプロセスを描いたのは、第1節のレビュー。ここで用いたのは、野球の試合のたとえ。野球に親しくない僕も、普段、野球の記事を目にすることはある。だから、ラグビーの試合の流れを日本最大級のメジャースポーツのそれにリンクさせたんです。

https://note.com/yamadakihito/n/ne69709042acb

 一方、長いシーズンを戦い抜くトレーニング計画を車のエンジン形式にたとえたのが第2節のレビュー。

https://note.com/yamadakihito/n/nc1393b3f95d7

 さらに(少し飛んで)第5節では、シーズンが進むなかでいいコンビネーションを積み重ねるさまを「ドラクエで仲間を集める過程」になぞらえてみました。

https://note.com/yamadakihito/n/ne8ade6153cd1

 ラグビーになじみのない方にラグビーの面白さを伝えるべく、色々と頭をひねるのは楽しかった。

■教える=整理

 書くことで得られた最大のメリットは、組織を客観的に見つめられたことです。
 
 多くのファンの皆さんにとって、僕たちのプレーを見られるのは週末の試合の80分間に限られます。ただ、その試合と試合の間にある1週間も、僕たちは試合と同じように、いや、それ以上に組織として活動しています。

前の試合を振り返って次の試合に向けた反省点をまとめたり、次の対戦相手を分析したり、各個人でトレーニングしたり、 皆でグラウンドに出て練習したり。

これはどこのチームもしていることですが、これから強くなろうとしているNTTコミュニケーションズシャイニングアークスは、この1週間での伸びしろがとても大きい。

第3節のレビューでは、僕が相手をかわす時の上半身と下半身の状態の違いを「北半球と南半球」にたとえた一方、試合終了直前のキックオフでのコミュニケーションを課題に挙げていました。

https://note.com/yamadakihito/n/n39d8588e5ac7

だけど、数的不利な状況でのディフェンスの仕方を「ブラックジャック」と表現した第4節の頃には「勝因はコミュニケーション」と言い切れました。

第3節ではクボタに27―28で惜敗した一方、第4節ではリコーに33―17で勝利。どちらもクロスゲームでしたが、第4節の時はチームレガシーを重んじ、やりたいラグビーを実現するための「コミュニケーション」の質が高まっていました。早めにスペースの場所を共有して僕のシーズン初トライを生んだシーンは、その最たる例です。

https://note.com/yamadakihito/n/n26a835cb4145

 さらに、結果的に最後のレビューとなった第6節の頃には、「∴(ゆえに)このチームは強くなっている」の根拠を複数、積み上げられていたと思います。

https://note.com/yamadakihito/n/n6b768ad959fd

この日、僕は試合に出ていなかったのですが、若手を含めた出場メンバーが試合中に具体的な分析ができていました。

「∴(ゆえに)このチームは強くなっている」んです。

このような組織的な成長を中に入って体験しながら、自分の言葉で振り返る。それは、学生として大学や大学院では実現できない勉強だと思います。人に教えよう(書こう)と思うと、自分のなかでもその内容に関する見解を深められるものです。

また全体を通せば、「一瞬の出来事って、思った以上に前後で繋がっている」とも感じられます。

ひとつのキックチェイスがうまくいった背景には、その数週間前のキックチェイスが伏線になっていて、ふたつのキックチェイスを繋ぐのが普段の練習中の会話だったりする。

全6本の記事を見比べると、そんなプレーとプレーの繋がりも再確認できるんです。

いままでのラグビー人生より、残りのラグビー人生の方が短いと感じています。いまリアルタイムで学んでいることは、決して無駄にしたくないと思っています。

■準備しておいてよかった。

 今回の大変な状況で再確認できたのは、準備の大切さです。

僕は先程書いた通り、色んな発信媒体を通してファンの方に情報発信をさせていただいてきました。そのおかげで、いまみたいな緊急時もファンの方に自然な形で贈り物を届けられていると実感します。

YouTubeでは現在、タックルなどのスキルを伝授する動画もあげています。さらに動かしているのが「TRY RUGBEE」というプロジェクトです。

https://www.youtube.com/watch?v=Id-UzkjToj4

視聴者の皆から「ストレッチしながらどれだけ早く靴下を履けるか」「パスを目標物へぶつけられるか」などのチャレンジ動画を募り、僕たちトップリーガーがリアクションをするという試みです。この試みは2018年頃から準備していたのですが、最近の事情を踏まえて「コロナに負けるな!」というフレーズをつけることにしました。

一方、中止を決めたトップリーグ側は、試合をやらない代わりに新しいコンテンツを提供するわけでもなく、そもそも遠隔による相互型サービスを持っていなかった。今回はラグビー界全体の未熟さを早めに知れたいい機会と捉えられるのではないでしょうか。新型コロナウイルスという外圧が理由だったとはいえ、課題を見つけられたのなら今後はもっと成長できます。

そもそも僕がここまでコンテンツを作っているのは、ひとつの反省があるからです。

2015年のワールドカップイングランド大会後には多くのお客様がグラウンドに来てくれましたが、彼らの多くを常連さんにできなかった。当時はその理由を日本ラグビー協会など他人のせいにしてしまっていて、後になって「競技中のミスは他人のせいにできない。グラウンドの外でも同じ」と思い返したものです。

1人でもファンがいれば、その人の期待に応えるのがプロです。

■メリハリを大事に

 僕のなかでラグビーは、歯磨きと同じ。試合後や練習前のオンとオフの切り替えはあるものの、ラグビーそのものは人生のなかにあって当たり前というイメージを抱いてきました。
 
 だから試合があろうとなかろうと、トレーニングをし続けることには変わりません。状況に応じて、少しメニューを変えるくらいです。

今年のトップリーグでは2月中旬から色々な理由で延期や中止が発表され続けていますが、その影響は受けずに身体を動かしてきました。ある程度のキャリア、年齢を重ねてこの時期を迎えられたことで、現状をポジティブに迎えれています。

日本ラグビー協会は5月からの日本選手権開催を目指しているから、僕たちもそれに向けてトレーニングの日程を組みます。一方で、その発表が変わっても平然としていられるような心の準備もしておきます。

個人的にはメリハリを大事にします。チーム練習のない時は別の練習環境(DAHには感謝の嵐)でトレーニングをしたり、誰もいない時間帯のチームのジムでトレーニングしたりと、オフ感を感じながら新鮮な気持ちを保ちます。とりわけTL中止になった今の時期はコロナの影響もあり家にいますが、家族との時間もゆっくり楽しんでいます。もしもみんなの前で試合ができることになれば、極力、ワクワクするようなプレーをお見せしたいですね。

今後、noteをどう運用するかは未定です。いきなり辞めちゃうかもしれません(笑)。ただ、必要としてくれている人が少しでもいるのであれば、何らかの形で続けていけたらと考えています。

今シーズン、購入していただいた皆さん、本当にありがとうございました!
まだの方。この際にぜひ過去の気になった記事を買ってみてください。
そして高い、安い、楽しい、つまらないなどのご意見をお待ちしております。

サポートはいつでもいつのひも感謝。