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高松宮記念の全頭診断



レシステンシア

○勝ちパターンは「ハイペースからの粘りこみ」。前走の阪急杯は前半4F45.4で入ってそのまま脚色衰えず1.19.2のレコードを更新。頭角を現した阪神JFでも前半3F33.7で入って中盤にやや息を入れながらも後半ギアチェンジを使って再加速。2着のマルターズディオサに5馬千切ってきた。流れた中で後続の脚を削ぎ落として粘り込みを図るのが得意な馬。

○逆に苦手なのがスローペース。マイルCSでは逃げることはできたもののペースを上げきれずに結局最後は「 11.0 - 10.8 - 11.7」とトップスピード勝負なってしまいあっさりキレ負け。チューリップ賞でも後半3Fが「 11.3 - 10.9 - 11.8」とトップスピード勝負になってキレ負け。スローに落としてしまって周りの脚を温存させてしまうとあっさり負けてしまう。

○今回も前回と引き続き苦手なスローになりにくい短距離はベスト。道悪も桜花賞の時に対応してきている。スピード持続性能しか求められない阪神に比べてギアチェンジ性能が求められる中京は本質的にやや適性がズレてるかもだが、阪神JFなど中緩みラップでも強い競馬できているので心配には及ばないだろう。ここは普通に逆らえない1番人気。


モズスーパーフレア

○モズスーパーフレアに対する一般的な印象としては「ハイペースでぶっ飛ばして粘り込みを図る」っていう感じだと思うが、実際その通り2019年のオーシャンSでは前半3F32.3と超ハイペースを逃げ切って1.07.1という高速決着を制し、2019年のスプリンターズSを2着した時も32.8を刻んで逃げてという競馬だった。

○その上で、去年の高松宮記念を振り返る。ラップは「12.1 - 10.8 - 11.3 - 11.4 - 11.2 - 11.9」と前半3F34.2 と比較的落ち着いたペースから中盤息を入れてからの後半再加速のレース質で勝っている。

○もし一般的な見方である「モズスーパーフレアはハイペースでぶっ飛ばして粘り込みを図るのが得意な馬」っていう見方が正しいと仮定したら、去年の高松宮記念はこの馬にとっては苦手なレース質になっちゃうわけだが、本当にそうだろうか。論理的に辻褄が合わないというか、しっくりこない。この時は強敵のグランアレグリアに接戦だったわけでレベルが低かったわけでもない。となると、もしかしたらこういう一旦息を入れたレース質のほうが実は合っているんじゃないか説はある。(馬場とか展開に恵まれたかもしれないが、それにしてもという話。)

○特に最近は本来得意なはずのハイペースに持ち込んで潰れるのが逆に負けパターンとして定着しつつある。ここまでくると去年の高松宮記念みたいにペースをそこそこ落として後半勝負に持ち込んだほうがいいタイプではないか。

○まあ現実的に考えてあのラップが得意だった説は無理筋かもしれないが、オーバーペースにならなかったら再加速も高いレベルでこなせることは去年証明済み。これは疑いようもない事実なので、今回の検討材料としてプラス。

○というか、適性以前に中京1200は構造的にスパイラルカーブなので本当に前がよく残る。高松宮記念も毎年そういう傾向が強い。今の中京も前残り馬場で、今年も去年と同じく恵まれる可能性が高い。その意味で、今回一番前に行ける可能性が高いのは大きなアドバンテージになるだろう。今年はメンバーレベル高いが、シンプルに考えてグランアレグリアより強い馬は不在なので、去年の実績面だけを拠り所にしても今回買えるのでは。 


ダノンファンタジー

○元々折り合いに難しさがあった。そういう気性的にも、中途半端に中盤が緩んだりするより、中盤の緩まない短距離的なレース質や短距離が得意で、実際阪神Cの距離短縮で復活を遂げた。現状高速決着の1600や短距離がベストだろう。

○高速馬場巧者。ローズSでは超がつくほどの高速馬場でレコード決着を制し、阪神カップでも1:19.7の超高速決着。速いラップを連続して踏むのが得意なタイプ。

○一方で、苦手なのが重たい馬場。府中牝馬Sでは重たい馬場×ハイペースというタフなレース質で6着と沈んだ。 

○今回の高松宮記念、距離は大丈夫だろう。高い追走力も持っているので流れには乗れるはず。ただ、週末に雨が降る予報なので馬場が悪かったらちょっと厳しそう。取捨の基準はとにかく馬場か。


インディチャンプ

○はっきり言ってよくわからない。言い換えると、得意条件と苦手条件がいまいちはっきりしない。高速決着の安田記念と低速決着のマイルCSどっちも勝っているから適性の幅は広いはずだが、その割にとりこぼしが目につく。

○使える脚が短いとか、手応え詐欺で有名。確かに、乗り難しさやL1での甘さが目につく。その点で勝ちきれないところはあるのかもしれない。

○気性的に難しい馬で1400っぽいレース質になる安田記念で2年連続好走しているように、1400への短縮も本来は噛み合っても良い条件だが、阪急杯は馬券外の始末。ちょっと短距離路線どうなの感は否めない。

○ただ、阪神競馬場みたいな道中下り坂でなし崩し的に脚を使わされるコースよりも中京みたいなスパイラルカーブでギアの上げ下げを求められる競馬場のほうがあっている可能性は高いだろう。

○今回は多分10倍つかないくらいオッズになるはずで、それなら抑えるか抑えないか迷うレベル。3番手以上の評価はしないだろう。


ラウダシオン

○適性や距離の幅が広い馬で1200から1600までこなせてしまうタイプ。その上、あまり崩れないので安定感あり。

○馬場としても恐らく高速馬場がベストだろうが、ファルコンSとか富士Sみたいな重たい馬場でも問題なく、馬場不問は大きな強み。

○前走のシルクロードSは3着。前哨戦なので評価が難しいが。前半3F33.7とそこそこ流れてラストは消耗戦っぽいラップ。レースレベルは1着シヴァージ2着ライトオンキュー4着リバティハイツと、低レベル。勝ちタイムもイマイチで、ここで楽勝できないようだとG1は厳しいと考えるのがふつう。

○ただ、NHKマイルで高速馬場の中緩みラップでレシステンシアを倒している実績は無視できない。中京の再加速型のラップは得意の可能性が高く、その意味で消耗戦は苦手だったのかもしれない。ペースが落ち着いて中京1200っぽい中緩みラップなら、さらにパフォーマンス上げてくるかもしれない。

○とは言え、この馬に関してはこれといって裏付けがない。レシステンシアは阪神1400であれだけ強かったらNHKマイルみたいな中盤が緩んだラップは得意じゃなかっただろう。苦手条件だったかもしれないレシステンシアに勝ったラウダシオンだが、この実績を手放しで評価するのはどうなのか。。

あまり買いたくないが、人気も加味して最終的には判断したいところ。


ライトオンキュー

○「低速決着の重たい馬場」が得意なタイプ。現状、持ち時計がなくて7秒台のタイムには対応できていない。

○いまいち勝ちきれない。抜け出す反応はいいが、どうしても最後甘くなりがち。脚が最後まで持続できなくて外から差されるのが最近の負けパターンになっていて、前走のシルクロードSはシヴァージ、3走前のキーンランドCはエイティーンガールの外差し馬に強襲されて屈している。

○あと、考えなければいけないのがシンプルにこの馬そんなに強いか?という疑問。前走も2着とは言えレースレベルはいまいちで、この馬はずっとインを通してて騎乗に恵まれた感もあった。G1での好走歴も一度もない。

○今回横山典弘は良い。脚の使いどころが難しい馬なだけ相乗効果は期待できる。馬場も雨で重くなりそうなので、今回の条件自体は良さそうだが条件だけ良くてもこのメンバーで果たして足りるのかは考えるべきだろう。この馬が単勝10倍切るようなら相当過大評価されていると思う。あまり買いたくない。


ダノンスマッシュ

○ちょっとよくわからない馬。スローでもハイペースでも高速馬場でも重たい馬場でも1200なら強いが、なぜか高松宮記念は毎年さっぱりダメ。去年も全然伸びなくて10着で、負けるにしても負けすぎ。なんか去年は元々出る予定がなかったらしいので、仕上げが敗因だったのかもしれないが。

○高松宮記念はペースが落ち着きやすいので、ペースが落ち着くとダメな馬なのか?っていう見方もできそうだが、スプリングSなんかはどスローで強い競馬できていて、その説はなさそう。

○スプリンターズSは2着だったが、3着アウィルアウェイ、4着ミスタメロディーと怪物グランアレグリア 以外は大したレベルではなかった。今年の高松宮記念は中距離路線のG1クラスのメンバーが出てくるわけで、去年・一昨年の高松宮記念よりレースレベルは数段高い。人気背負ってこのメンツに勝つのは例年以上に簡単ではないだろう。


サウンドキアラ


○立ち回りが抜群にうまいタイプ。先行できるし操縦性も高い。動くべきところで動ける。適性の幅も広くて馬場不問。イメージとしては女の子番インディチャンプ。

○ヴィクトリアマイルみたいに高速馬場でもちゃんと好走できるし、この時強敵ノームコアに先着は超凄い。一方で、重たい馬場の京都牝馬や京都金杯でも勝ちきれている。 

○前走の阪神Cでも後方から外を回してよく伸びて4着。あの感じならまだまだやれるし、ペースが落ち着けば1200でも問題ないと思う内容だった。

○今週の天気によりけりだが、雨が降った時に重たい馬場でも問題なく走れるのは大きな強みになる。今回は高速馬場巧者が多い印象なので、時計が掛かったほうが相対的に有利になりそうかなと。非常に狙い目。


マルターズディオサ


○阪神Cがとんでもなく強い。間違いなくこの馬が一番強い競馬をしていた。勝ったダノンファンタジーが終始インを通してロスが全くない騎乗だったのに対して、マルターズディオサは終始折り合いを欠きながら外外を回して差しが決まる中でしぶとく粘ってた。で、ここで逃げて潰れたイベリスは次走京都牝馬Sで勝って、外回したジャンダルムは阪急杯で3着だった。となると、あんだけ外回して先行して潰れなかったマルターズディオサはどんだけ強かったんだっていう話で、あれだけの高速決着ハイペースなら距離ロスは致命的だったはず。成長もあるかもだが、こんなに強い馬とは思わなかった。G1でも通用してくるだろう。

○秋華賞の時から逃げて暴走したりと気性的に距離短縮が嵌る兆しがあったわけで、ここがベスト距離っていうのも納得は納得できる。例えば紫苑Sの時とか結構時計かかっていたわけで、桜花賞や秋華賞も結局馬場が敗因というより折り合いを欠いてしまったのが敗因だった。なので、高速馬場じゃなくても対応できるはず。前走の感じだと1200でも余裕で先行できて追走も問題ないだろう。レシステンシアとダノンファンタジーが出走する以上、この馬は原理的に人気しないはずなので多分本命。


その他の馬

・アウェルアウェイ
→ハイペースのバテ差しが得意。タフな馬場のほうがいい。ただ、スプリンターズSよりレベルは高くなるので厳しそう。

・アストラエンブレム
→ハイペースのバテ差しが得意。厳しい。

・エイティーンガール
→重たい馬場の低速決着が得意。厳しい。

・カツジ
→スワンSでは「12.6 - 11.2 - 11.7 - 11.4 - 11.1 - 11.0 - 12.2」で逃げ切り勝ち。重たい馬場でペースが落ち着いたらおもしろい。速いラップを連続して踏むのが得意な馬。スローになりやすい中京は噛み合いそうで不気味さはある。

・セイウンコウセイ
→スプリンター路線の中だけで見れば結構上位の馬でリピーターだが、今年のレベルは高くさすがに厳しそう。

・ダイメイフジ
→先行できるのはいいけど、厳しいだろう。

・トゥラヴェスーラ
→厳しい。せめて前走好走してくれないと。。

・レッドアンシェル
→高速馬場巧者。馬場も向かなさそうで厳しいだろう。

・ミッキーブリランテ
→好走パターンはイン突き。前走和田が上手く立ち回って良く伸びた。今回も和田で去年のクリノガウディーがうっすら蘇る。うぅ、、トラウマ。基本外枠なら消しで、内枠なら一考したい。


<注目馬>
レシステンシア
マルターズディオサ
サウンドキアラ
モススーパーフレア




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