三万九千フィート



月が綺麗な夜でした。


夕方家に帰ってベッドに倒れ込み、スマホをいじっていると、あっという間にスマホの光が眩しく感じるほど時間が経ってしまいました。

すっかり闇に目が慣れているので明かりを付ける気にもなりません。朝開け放たれたカーテンの外も真っ暗。微かに聞こえる鈴虫と灯りが付いているお家が数軒、そして夜に浮かぶ明るい月。
いつも暗くなるとカーテンで締め切ってしまうのですが、今日は外の景色がとても綺麗に見えました。今この月を誰がみているだろう。

私は新しい場所に行った時。いつもと違う景色を見た時。その場所の夜を想像します。
ここにも夜が訪れて、暗くなったらこんな感じなのかな、とか。建物や、絵やお店の棚を見ても思うことがあります。全てのものがそれぞれの場所で夜を乗り越えているんだなって。不思議な気持ちになります。

もちろんものだけではなく人も然りですよね。
私が知っているあの人も、私が出会ったことがない人も平等に夜が訪れていて、みんなそんな夜を誰とどう過ごしているんだろう。家でお風呂に入っている人。お店で閉めの作業をしている人。友達と飲み明かそうとしている人。散歩している人。ホテルで過ごしている人。運転している人。独りで過ごしている人。誰かと過ごしている人。早くこの夜が終わってほしいって思っている人。この夜が終わらないでほしいって思っている人。
あなたにとって今日はどんな夜でしょう。
この夜をどう感じているでしょう。

私は、今日は×××感じます。
はい、私はともあれあなたです。

あなたの夜はどうですか?

おやすみ、と包み込んでくれる夜もあれば
まだ寝ないで、と引き止めてくる夜もありますよね。

もしあなたが今日なかなか寝付けない夜ならば、きっと夜に好かれているのかもしれません。せっかくですし無理に寝ようとせず、夜に寄り添ってみるのもどうでしょう。きっとみんなに眠っていかれるのが寂しいんですよ。ちょっとぐらい付き合って起きてるのも良いかもしれませんね。

私のこの部屋も、一人暮らしですし当然のことですが、私の寝ている間も変わらずそこにあって、それぞれ朝を迎えています。
朝出かける準備をした時の残骸。帰ってきた時の荷物。一人暮らしの部屋は、全て自分の過去の置き物です。自分が動かさなければ、誰も動かさない。これだけ散らかした過去の自分を恨ましく思いながら、いつか片付けようと置いてあるものが一つや二つ、、、。これらを片付けるのはまた明日にしましょう。

最近の夜は寝苦しかったですが、今日は穏やかな夜です。こうも穏やかだと、人との繋がりを求めたくなってしまいますね。
けどそれは私が求めていいものではないので、今夜もなんとかやり過ごそうと思います。

一緒に住んでいる人がいたら、また違うのかもしれませんね。想う人と過ごす夜は特別ですから。私も終わってほしくない夜を過ごしたいものです。

さて、夜の思考は禁物です。呑まれないように自衛として早いとこ寝てしまいましょう。

それでは、全ての人へ。場所へ、ものへ。
そして、読んでくれたあなたへ。

おやすみなさい。

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