月の輪祭り〜アフターコロナ その1
安来市には月の輪神事という政(まつりごと)があります。
日本の祭りネットワークにも記載されている歴史のある催し事なのです。
天武3年(674年)に、語臣猪麻呂(かたりのおみいまろ)の娘が海岸でワニ(鮫)に襲われ亡くなったことが記されています。 その娘の霊を慰めるため、毎年8月14日から4日間、踊り続けたといわれ、その慰霊祭が月の輪神事の起原とされています。
1300年続く神事です。
安来市では、その月の輪神事に合わせ、月の輪まつりが開催されていました。
長い歴史のあるお祭りで、旧国道9号線の区間を夜間通行止めにして長い時は3日間にわたって「月の輪まつり」が行われていました。
結構大きなお祭りだったのです。
2020年、コロナ禍に突入したことで、全国的にこういったお祭りは中止となりました。月の輪神事は行われていた記憶がありますが、月の輪まつりは中止となりました。
そして、コロナ禍が開けた2023年。
花火だけ再開予定でしたが、雨にて中止。
安来市としては、花火をしたことでお祭りをしたという実績にしようとしたのかも知れませんが、花火だけでは何だか寂しいですよね。
安来市では無く、明治町町内会、お祭りが無いのは寂しいと考えたのか、1町内のほんの一区画だけ、通行止めにして食べ物やビールなどを販売しながら少しだけ「おまつり」を行っていました。
それでも人が結構集まっていて、お祭りに参加したいという人達がいるのだという事が解ったのです。
その時の、お祭りの区間が下の図です。
町内という自治会が、警察とやり取りをし、通行止めや交通整理の人を配備して行ったのです。さすがに夜店を呼び込むことは出来なかったようですが、気合いが入っていますね。(*^_^*)
2024年、今年の「月の輪まつり」はどうなるのかというと、8月11日に花火、8月14日に安来市役所安来庁舎周辺でステージイベントが行われることとなっています。
2023年よりは進歩したと言えるのかも知れませんが・・・
隣の市である、松江市、米子市は確りお祭りを再開するようです。
そんな中、かなり規模を縮小してきている月の輪まつり。
何が原因でそのようなことになっているのかという疑問はおきますよね。
まぁ、最も影響があるのは安来市の財政ではあろうと思うのです。
ただ、どのような経緯であるのかを確認する上で、安来市の人口の推移なども確認しながら調べることが出来る範囲でちょっとずつ調べてみようかと思っているのです。
お祭りとはなにか?
折口信夫(民俗学者:1887~1953)は、著書「大嘗祭(だいじょうさい)の本義」の中でこう書いています。
“昔は、神の威力ある詞を精霊に言ひ聞かせると、詞の威力で、言ふ通りの結果を生じて来る、と信じて居た。此土地の精霊は、神の詞を伝へられると、其とほりにせねばならぬのである。此が、まつるといふ事で、又食国(ヲスクニ)のまつりごとである。”
“神又は天子様の仰せを伝へる事が、第一義である。処が、天子様は、天つ神の詞を伝へるし、又天子様のお詞を伝へ申す人がある。(中略)かうした人々の事を、御言持(ミコトモチ)といふ。此意味で、天子様も御言持である。即、神の詞を伝達する、といふ意味である。
つまり「まつる(奉る)」の意味は、神のお告げを伝える儀式であったと云うことになりましょうか。
折口信夫は、「政(まつりごと」と「祭り」について、こうも書いています。
“私は、祭政一致といふ事は、まつりごとが先で、其まつりごとの結果の報告祭が、まつりであると考へて居る。”
通して考えてみると、
神の言葉が伝えられ、その通りにすることを”まつる(奉る)”と云い、まつることで大地の恵みを得て繁栄をする事を”政(まつりごと)”として、その結果を神様に報告することが”祭り”であると云うことなのかも知れません。
そういう視点から見れば、祭りを疎かにすると云うことは政を疎かにすることと云うことも出来そうですね。
ちなみに、「大嘗祭の本義」という本、Kindleで無料で読むことが出来ます。
興味がおありでしたらぜひ読んでみてくださいね。
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