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L-1Aビザでアメリカに社内異動するお話

5年くらい前に東京で唯一のチームメンバーとして会社に入って、自動化ツールをあれこれ作ったり、最適化をたくさんやったり、マニアックなプロジェクトを勝手に立ち上げたりと、いつの間にやらチームの中心的な役割を担うようになった挙句、チームのマネージャーをやるようになって日本サイドに人が増えて、さらにアメリカサイドのチームメンバーも自分が見るというスタイルになった。

で、マネージャーとして仕事をする場合、アメリカ側からやったほうがやりやすいなーという印象は常々持っていて、仕事環境が変わって苦労することなしに会社のサポートも得ながら環境を変えることができるよい機会だと思ったので、アメリカに行くことにした。アメリカのオフィスはシリコンバレーの北端に位置するPalo Altoにあって、ニューヨークより家賃が高いのではないかというクレイジーな状況だけど、まぁなんとかなるでしょという楽観的な姿勢。

大学卒業と同時に日本に帰ってきて就職して、思いの外長い時間を日本で過ごしてきたので、そろそろ環境の変化が欲しかったというのが一つの大きなモチベーション。さらに、今後の人生を生きていくにあたって海外生活する可能性は常に高く、フットワークを軽くしておくことで「いつでも必要になれば動けるよ」というメンタルを持てるようにしておきたかったこともある。まだ小さい子供と一緒に動くことで人生がハードモードになりうるリスクはあるけど、それも含めて大きな学びにしていければよいのかな、とかそんな感じ。

L-1Aビザの取得

社内異動でアメリカで働くことができるL-1ビザは駐在員とかでもポピュラーな選択のようだけど、その中でもL-1Aはマネージャーやエグゼクティブ向けのカテゴリーで、最低でも1年間のマネージャー業務と実績を証明することでより長期にわたってビザを延長できる(最長7年。社内スペシャリスト向けのL-1Bは5年)。さらにアメリカ永住権(グリーンカード)の取得でも有利。具体的には、EB1Cという優先プログラムの条件がL-1Aと同等で、これを使うとそのほかの被雇用者向け移民ビザで必須となるLabor Certification(国内で同等の仕事ができる個人が見つけられなかったことを証明するプロセス)が不要となり、かつビザの状況の変更を要求するI-485を同時に提出することができるため、1年から1.5年で永住権が取得できることが多い模様。

本格的に前に進め始めたのが2018年の前半からで、なくてはならないビザの取得プロセスは以下のようなタイムラインで進行した。

2018/3/E 社内の人事チームからのトリガーで、法律事務所とのやりとりを開始。必要なドキュメントや、現職での職務やらチームの構成やら何やらを資料としてまとめて法律事務所の担当に提出。
2018/4 法律事務所側からもっと詳しく書いてくれと要望が来るので、それに答える形で資料をアップデート。USにいる自分のマネージャーも似たような資料を作ってた。2018/5/Bに全ての書類が揃ったのでレビューを開始。
2018/5/E I-129の嘆願書という形でビザの申請を準備が整いかけたところで、やっぱりL-1Aだとダメかもみたいなことを今更になって言われて焦る。さらに、大企業ならではのBlanket Visaの枠がなくなったので、Individual Visaとして申請する必要になり、より時間がかかる上に審査が厳しくなることが判明。マネージメント業務が1年以上あることをきちんと明記する形で資料をさらにアップデート。
2018/6/E アップデートした資料を移民局に提出。2週間くらいで返事が来るよとのことで、移民局から返ってきた返答はRequest For Evidence (RFE)。I-129とサポートレターでは証拠不十分なので、追加資料を出せというお達しで、法律事務所の担当者から資料のアップデートと追加資料の作成をリクエストされる。
2018/8 追加資料の作成と法律事務所への提出はすぐにできたものの、7月一杯はUSにいるマネージャーが休暇だったので資料のレビューがあんまり進まず、8月に入ってから資料をまとめにかかる。
2018/9/B 法律事務所の担当からRFEの提出した旨の通知を受ける。
2018/9/M I-129が承認されたことが知らされ、次のステップとして大使館でのインタビューの準備を始める。
2018/10/M 大使館でのインタビューを無事に終えて、数日後にL-1Aビザのスタンプが押されたパスポートが送られてきた。

とまぁ、そんな感じで、結局半年以上かかってビザが下りた。特別急ぐ理由もなかったのでのんびり気味に進めたという事情もあるし、のんびりしてたらBlanket Visa(大企業はあらかじめLビザの枠をもらうことができて、これがあると移民局での審査をスキップして大使館でのインタビューに進める)が枯渇してしまったために余計に時間がかかってしまったというオチ。

さらなら遅れを招いたのがRFEだけど、どうやらトランプ政権によるビザや永住権取得ルールの厳格化で、LビザについてもRFEされたり却下されたりするケースが目に見えて増えている模様。トランプが目の敵にしているH-1Bに関して言えばもっとひどい状況らしい。自分の場合も、正式にマネージャー業務についてから日が浅かったので、サポートレターや追加資料でマネージャー業務の正当性を主張するのに多くのエネルギーを費やした。

資料をぱっぱか作ってBlanket Visaが使える場合、うまくいけば2ヶ月もかからずにLビザは発行されるものだと思うのだけど、運が悪いとこのくらいかかるようです(下手したら却下されることも)。

現場からは以上です。

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