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日本が契約するワクチンは3億6400万回分 一部を台湾へ提供

 日本は現在、米ファイザー社と1億9400万回分のワクチン供給契約を結んでおり、米モデルナ社とは5000万回分の供給契約を結んでいる。いずれも既に承認され、接種も始まっている。

 これに加えて、日本は英アストラゼネカとも契約を結んでおり、数は1億2000万回分にもなる。既に承認されており、承認済み3社の契約数は年内で合計3億6400万回分にのぼる。1人2回の接種が必要であるので、1億8200万人分に相当し、16歳以上の接種対象者どころか日本の人口を大きく上回る。なお、接種対象者の人口はおよそ1億1000万人である

アストラゼネカ製ワクチンは台湾へ

 しかし、アストラゼネカ製ワクチンは血栓症のリスクが指摘されており、国内では使用されていない。そこで、アストラゼネカ製ワクチンを台湾へ輸入することが検討された。6月4日には124万回分が提供されるという。

 提供の理由は「東日本大震災の支援の恩返し」だ。日本に送られた義援金の中でも、台湾からの義援金が世界最高と言われ、日本ほど大きくない台湾から253億円もの義援金が届いた。支援する相手国として選定するのは当然である。その台湾では感染者数が増加しておりワクチンの必要性も高まっているが、中国からの妨害もあって調達が上手く進んでいないようだ。

 筆者はアストラゼネカ製ワクチンはまず日本の高齢者へ使用して接種数を稼ぐべきと考えているが、仮に打ち手や会場に制約があって思うように使用できず大量に余るのであれば、必要とする国に提供して全世界でコロナのリスクを下げるのは当然だ。特に台湾は重要な交流先でもあり、状況の早期回復のために協力することで、日台双方の利益につながる。産経新聞も「恩に報いる好機でもある。できるだけ多くのワクチンを、速やかに提供したい」と主張した。

ワクチン契約の経緯

 アストラゼネカ製ワクチンを海外に提供しても国内の接種に影響は無いとみられている。

 ファイザー製ワクチンの供給数は当初、1億2000万回分であった。モデルナ製と合わせれば8500万人分、さらにアストラゼネカ製を合わせれば1億4500万人分となり、3社で全人口をカバーできる計算だった。

 その後、ファイザーとの契約が1億4400万回分の供給という事に改められた。ファイザー製とモデルナ製を合わせると1億9400万回分、人数にして9700万人分となり、接種対象者の人口には届かないものの、接種を拒否する人が一定数いることを考えると、接種希望者の全員が接種を受けられる数量だっただろう。

 ただし、ファイザー製との契約数は、特殊な注射器を使用する前提だ。日本では1つの瓶から5回しか接種できない通常の注射器をまず使用するため、1億4400万回分からは実際は目減りする。この注射器を使い続ける場合、接種可能数は1億2000万回分にとどまり、モデルナ製と合わせると1億7000万回分、人数にして8500万人分にとどまってしまうという懸念があった。

 しかしその後、政府はファイザーとの契約数を5000万回分積み増し、ファイザー製とモデルナ製だけでその契約数は最大2億4400万回分(1億2200万人分)となった。ファイザー製ワクチンの瓶1つから6回接種可能な注射器の調達数は、注射器全体の9割にのぼることとなり、16歳以上の全員が確実に接種可能な契約数を確保した事になる。

 ファイザー製ワクチンは市町村が設置する接種会場や病院での接種に使われ、モデルナ製ワクチンは国や県、政令市が設置する大規模な集団接種会場で使用されていく。また、6月21日から開始される大学や職場などでの接種でもモデルナ製ワクチンが使用される予定だ



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