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親が思う「子どもに身につけさせたい力」を実際に身につけさせるのは、なかなか難しいです。

 2月28日の朝日新聞デジタルに、「子どもに身につけさせたい力「社会貢献」「資産形成」増加 学研調査」という記事が出ています。

 学研が、小学生がいる家庭を中心とした保護者3011人を対象に、インターネットで実施した「家庭学習の実態と親の教育観に関する調査2023」の結果を発表しています。

 子どもに「身につけさせたい力」として、

第1位は、 社会生活に必要な知識やマナー(80.6%)
第2位は、人の意見を受け止めたり、自分の考えを適切に伝える(78.3%)
第3位は、様々な情報をうのみにせず自分で考えたり判断する力(78.0%)
第4位は、様々な事に関心を持ち、自ら調べたり学ぶ姿勢(77.0%)
第5位は、自分独自の発想や創造力(66.4%)

となっています。以下、第6位の他者とかかわり、チームで協力しながら活動する力(65.7%)、第7位の他者に頼らず、自らすすんで物事に取り組む姿勢(65.6%)までは、いわゆる非認知能力です。
 また、第2位から第5位までは、どれも自分で考える力が含まれています。新しくなった学習指導要領で意識されている内容と合致するものなので、学校教育の中でそれを身に付ける実践が進んでいますが、現実にはなかなか難しいことです。特に第2位の様々な情報をうのみにせず自分で考えたり判断する力と、第3位の様々な事に関心を持ち、自ら調べたり学ぶ姿勢は、インターネットがあたり前の今、様々な情報が乱立している中で、まずはどの情報がより適切な情報なのかを見極める力、リテラシーが必要になるわけですが、どうしても検索の上位に来る情報を重視しがちだと思います。ある意味、これで情報操作が行われている部分があるので、どうしてもその方向に流されがちです。それを回避するためには、とことん調べるしかないのですが、これが難しいわけです。

 また、子どもの勉強・学習の目的~「何のために勉強するのか?」ということについては、

第1位は、様々なものに触れたりいろんな体験をする(62.5%)
第2位は、学校の成績よりも、本人の得意なことや個性を伸ばす(46.6%)
第3位は、学校の授業に遅れずについていくための勉強(46.2%)

となっています。第1位の様々なものに触れたりいろんな体験をするについては、これも近年話題になっていますが、親の経済力に左右される部分が大きく、第1位であるものの、それを実現できる家庭ばかりではないことが気になります。
 また第2位の学校の成績よりも、本人の得意なことや個性を伸ばすと、第3位の学校の授業に遅れずについていくための勉強は、やや矛盾する部分もありますが、第2位について、本人の得意なことや個性が、必ずしも親が望むものではないことだったりする時には、どうするんでしょう。第3位の「遅れずについていく」って消極的だなぁと思いますが、これって結局学校教育に期待していないということなのでしょうか。つまり2位と3位は同じ方向性ってことかなぁと思ったりしますが、どうなんでしょう。

 子どもの勉強・学習において「どんなことが重要か?」という質問の対しては、

第1位は、答えを知ることより、どうしてそうなるのか理由や根拠をじっくり考えること(76.8%)
第2位は、いったん遠回りしても、基本の考え方や理論をきちんと理解すること(72.6%)
第3位は、頭で理解するよりも、実際に体験して感覚や技術を身につけること(54.1%)

となっています。第1位と第2位は、前述したように新しい学習指導要領のより、現在学校教育の中で実践が進んでいるわけですが、先ほどのあまり学校教育に期待していないような回答は、親が学校での教育内容を理解していないのか、あまり関心を持っていないので知らないのか、どういう理由なのでしょうか。
 また第3位は、体験できるようなこと以外、抽象的な概念などは意識していないってことなのかなぁと思ったのですが、これって第1位や第2位と矛盾しますよね。
 調査方法がインターネットなので、紙での調査と違って、じっくり考えて回答していないような気がします。つまり、今指摘したようなお互い矛盾するような回答が上位に来ているというのは、自分のそうなのですが、インターネットでのアンケートって、前に戻って見直すって行動が、紙の調査に比べてやらないことが多いような気がするので、このようなことになるのではないかと思ったりしますが、また別の要因があるのかなぁとも思います。

 その1つが、今回の調査で「家庭での教育方針・子どもとの関わり」という項目があって、

第1位は、親の意見より、子どものやりたいことや向いていることを優先するべきだ(68.1%)
第2位は、子どもの学力・成績や進路、勉強の様子がいつも気になる(61.9%)

となっている中で、子どもの将来をイメージしているが第8位で34.1%である点で、この見解として、

・子どもの意志を尊重したいが、個性や興味関心がつかみきれていない
・今の学びの延長線上に“子どもの将来像”がイメージしづらい
・“放任”というよりは、“迷い”が伺える

としている部分です。

 つまり、親自身が先が見えない状況にあるのではないかということです。少子化が進行している中で、いろいろな問題点が指摘されていますが、それらに対して何らきちっとした対策が取られていないことが多く、社会全体が行き詰まりを感じていることの表れなのでかなぁと感じます。
 だからなおさら、文科省が「社会を生き抜く力」としている非認知能力だったり、「いろいろな体験」や「得意なこと・個性を伸ばす」ための学びが模索されていたり、情報活用能力を重視する結果になっているのかなぁと考えた次第です。


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