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基本的な研究の大切さを再認識させられます。

 12月5日の朝日新聞デジタルに、「100年前の太陽観測、英王立学会の論文に 観測者は長野出身の教諭」という記事が出ています。

 素人感覚ですと、「太陽の黒点観測」なんて、100年前でもどこかの機関がきっちりとやっていそうに思うのですが、案外そうもでもないんですね。1921~34年の14年間ですから大正10年から昭和9年ですけれど、「第1次世界大戦から第2次世界大戦直後の間は、国際太陽黒点相対数の元データがスイス国内のものを除いて体型的に保管されておらず、独立した観測者による確認・再較正が必要」だということで、旧制諏訪中学(現諏訪清陵高)の地理の教諭だった三沢勝衛が行った観測は、非常に貴重かつ重要なデータなんだということです。

 この新聞記事の元ネタは、「長野県は宇宙県」連絡協議会12月5日付けのプレスリリース「約100年前の太陽黒点観測が最新天文学に貢献」ですので、詳細はリンク先で確認してください。
 なおリンク先には、三澤の黒点スケッチがデータベース化されている、名古屋大学学術機関リポジトリへのリンクが貼ってあります。

 また、王立天文学会月報には、「1921-1934年の三沢勝衛の黒点観測:ウォルファー-ブルンナー遷移期の主要参照資料Katsue Misawa’s sunspot observations in 1921–1934: a primary reference for the Wolfer–Brunner transition)」 というタイトルで掲載されています。

 さらに、2024年1月20日に、人間文化研究機構 創発センター基幹研究プロジェクト「横断的・融合的地域文化研究の領域展開:新たな社会の創発を目指して」国立国語研究所ユニット「地域における市民科学文化の再発見と現在」の「市民科学」プロジェクトのシンポジウム 「諏訪の地理、信州の地理と市民科学」と題して予定されています。参加費無料で、対面とオンラインの併用で実施されるとのことです。内容は以下の通りです。

・13:00〜13:10 概要と挨拶
 概要説明…大西拓一郎(「市民科学」プロジェクト代表者)
 日本地理学会から挨拶…小口高(日本地理学会会長)
・13:10〜14:30 地理・方言
 諏訪の地形と文化…小口高(東京大学)
 言語地理学からみた諏訪…大西拓一郎(国立国語研究所)
・14:40〜16:00 気候・民俗
 歴史時代の気候変動解明の鍵を握る580年間の諏訪湖御神渡資料…三上岳彦 (東京都立大学)・平野淳平(帝京大学)・長谷川直子(お茶の水女子大 学)
 民俗地図で読む正月観の変遷—年取魚に注目して…安室知(神奈川大学)
・16:10〜16:50 三澤勝衛・全体討議
 信州の教育者 三澤勝衛先生—研究・教育実践から学ぶこと…北澤潔(長野 県上田高等学校前校長)
 全体討議

 まだ申し込み受付は始まっていませんが、オンラインで参加してみようと思っています。


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