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近所のおばあちゃんから学んだ草むしりのマル秘アイテム

「あらまぁ、にぃちゃん! ひっつき虫ぎょうさんついたなぁー」
「えっ? うわっ。なんやこれー!」

10月下旬のとある日曜日、自治会の地域清掃、草むしりに参加しました。
そして私の上着から靴にまで、まるでハリネズミの針みたいに、体中にひっつき虫がついてしまったのです。
(こんなことになるなんて思ってもみなかった……)

 ―ひっつき虫―
虫といっても昆虫ではなく、動物や人間にひっついて勢力を拡散させる植物の実のこと。表面にトゲがあるオナモミ、ねちょっとして粘着力があるヌスビトハギなどたくさんの植物があります。地域によっては、「くっつき虫」とか「ひっつきもっつき」などとも言うらしいです。


いやー、それにしてもほんと困ったことになりました。調子にのって側溝の草刈りなんかするんじゃなかった……。


この日の参加者は30名ほど。うち男性は7,8名でした。はじめは歩道の端の草をむしっていたのですが、しばらくして近くにいた おっちゃん から声かけられました。
「にいちゃん! 一緒に側溝の草刈り手伝ってーや!」
次々と側溝に降りていく男性陣、私も行かざるを得ない状況です。仕方なく、水泳の苦手な子がプールに入るように、私は側溝に慎重に降りていきました……。
歩道脇の雑草と違って、側溝の中はまるで映画フィールド・オブ・ドリームスのトウモロコシ畑のよう!! 雑草は長く生い茂り、しかも茎が太い。持っていた錆びた鎌では刃が立たず、力いっぱい引きちぎるように草刈りしていきました。

……結果この有様です。他の男性陣は、レインコートみたいなツルツルした生地の作業着を着ていました。そのためか、ほとんどひっつき虫がついていませんでした。
(みんなひっつき虫対策してたんだな! やられたぁ~~!)

それにしても、これは本当に困った。どうしたものか?
困りながらも手を止めるわけにはいきません。私は必死に上着についたひっつき虫を取り続けました。


しばらくすると、私の様子を見ていた近所の腰が曲がったおばあちゃんがニコニコ顔で声をかけてきました。
「にーちゃん、えらいひっつかれたな~」
「はい~、ホンマ大変ですわ~」
「そんなんしてたら日ぃ暮れるでぇー。これで拭き取ってみ」
「!?」

渡されたのは『ウェットティッシュ』だった。
「これ使えば簡単に取れるでぇ! コロナもひっつき虫も一網打尽や。ケッケッケッ」
「あっありがとうございます……」
変な笑い声に戸惑いながらも、藁にもすがる思いの私に選択の余地はありませんでした。お礼を言いながら、さっと袖をウェットティッシュで吹いてみました。
す・る・と……。

 何ということでしょう♪♪~~
上着全体にビッシリくっついていたひっつき虫が、ウェットティッシュで拭った部分だけきれいさっぱり取れて無くなっているではありませんか!!♪♪~~

「どや、取れるやろ」
おばあさんは自慢げです。
さらにもうひと拭き。
(めっちゃ気持ちいい~~)

まさに神様仏様おばあちゃま! いや、おばあちゃんが女神さまのように輝いて見えましたよ。

もう止まらない。あっという間に上着のひっつき虫はウェットティッシュに引っ付いていきました。
(いや~、ほんと気持ちイイ!!)
もう一度、側溝に飛び込んでいきたいくらいの気分です。

この驚きと快感を皆さんにも伝えたい!!

“おばあちゃんの知恵”とは言うが、まさか、おばあちゃんから『ウェットティッシュ』というマル秘アイテムが出てくるとは夢にも思いませんでした。それにしてもなんでこんなに取れるのだろうか? 
私にはその答えはわからないが、
「ひっつき虫はウェットティッシュが大好き」
これだけは間違いないようだ。

おばあちゃん! ホントにありがとう! これで安心して家に帰れるよ!!

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