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亡父はなぜ正月に「おこづかい額交渉制度」を導入したのだろうか / 外国人が日本株を売ったというニュースを見てあなたはどう考えるべきか / ネットのマンガ連載は才能を生むのか磨り潰すのか~「SPY x FAMILY」を読む~

【週刊ヤマサキシュンスケもくじ】


【ロシュツ】今週のメディア掲載情報

8/5 日経新聞電子版:「人生を変えるマネーハック」
「子どもに金銭教育」をマネーハック(1)
こづかい交渉・ムダ遣い… 子どもに「お金」学ばせる
8/4 AllAbout 賢く生きる3分間マネーハック
55歳以上はお得な点も!?今からでも大丈夫!電子マネーの始め方
8/7 楽天証券トウシル
「2,000万円問題」から、資産形成のためのスムーズな投資デビューへ導く3原則

7/30 講演(キユーピー 企業内講演)
「老後に2000万円」の不安は解消できる!~誰でもできる節約と投資の基礎講座~
7/24 TV NHKニュース9 コメント(京アニ支援の輪)

【ノウハウ】亡父はなぜ正月に「おこづかい額交渉制度」を導入したのだろうか

今週の日経新聞電子版のお題は金銭教育である。最初の週のテーマは「おこづかい」「お年玉」の使わせ方、ということだが、その中でわが家のスタイルをひとつ紹介している。それは「おこづかい交渉制度」である。

何十年も前の話になるが、わが家ではお正月に毎年のおこづかい金額が決まることになっていた。それについて子どもの立場から交渉をする、という仕組みだ。

多くの家庭がそうであるように、わが家のお正月はお雑煮から始まった。母には悪いがわが家のお雑煮は私の好みの味ではなかった。カマボコはもともとあまり好きではないし、とろとろのお餅は飲み込むのが大変だった。大人になってから分かったけれど、味噌の味付けのお雑煮はまったく好みではなかった。しかしお雑煮を食べきらないとお年玉はもらえないし、おこづかい交渉に臨めないルールになっていて、必死に食べていた記憶がある。

そしてお年玉が渡されたあと、子どもが順番に呼ばれる。私は長男だったからいつも最初だ。そこで今年のおこづかいはいくらがいいか自説を述べる。

「友人に聞いてみたがおこづかいはいくらぐらいもらっている」とか、「交友や趣味のために○○と××を買っていたらどうしても不足するのでいくら欲しい」とか、いろんな理由を主張する。父はにこにこしながらそれを聞いているのだが、厳しい突っ込みを入れてくるのだ。

こちらが冷や汗かきながら答弁をしていると、最終的な落とし所を親が判断して一応前年よりアップしてもらう。プロ野球選手の年俸交渉のようなことを行う、そんな日がお正月だった。

おかげで、友人のこづかい水準については詳しくなった(しかもそれをさりげなく聞き出すテクも身につけてしまった)し、自分がそれよりちょっと高い金額をもらっていることも分かった。お金について客観的に考えるきっかけにもなったのではないかと思う。

過去のバックナンバーでも触れたが、父は今年の3月に亡くなった。年初に病名が明らかになり、1年生存率は半分以下ということは聞かされていたが思ったより早い別れになった。いくつかの会話は元気なうちにしておくことができたが、なぜおこづかい交渉制度を導入したのかは聞きそびれてしまった。それがちょっと残念である。

でも案外、聞かなかったほうがよかったのかもしれない。「テレビをみていて野球選手の年俸交渉のニュースをみて思いついた」とか言われて拍子抜けすることになったかもしれない。むしろ今のほうが「親のとてもセンスのある金銭教育」としておくことができる。

さて、あの頃から何十年もかかって、わが家には子どもがふたりいる。まだ未就学児だから定期的なおこづかいは与えていない。しかしもう少しすればおこづかいを与えるようになるだろうし、いずれはおこづかい交渉制度も導入してみたいと思っている。

今の子どもにとって、現金という決済手段がいつまで有効かは分からない。いつかは現金を介さない決済が子どもでも主流となるのだろう(Suicaを渡せば今でもそれはできる)。しかしそれまでにはキャッシュレスでも現金の重みを感じつつ消費する術を子どもに教えていかなければならない。その点では父よりも私のほうが金銭教育の課題はたくさんありそうだ。

いずれにせよ、おこづかい交渉制度をお正月に行うことにしたら、父がどんな感覚で私とやりとりをしていたのかがようやく分かることになる。そのときは、仏前に報告をしてみたいと思う。

……最初はあまり意図していなかったが、ちょうどお盆の時期のコラムっぽくなったようだ。こういうのも依頼を受けて書くコラムではない面白さかもしれない。


【オススメ】ネットのマンガ連載は才能を生むのか磨り潰すのか~「SPY x FAMILY」を読む~

マンガ愛好家諸氏は、最近の新刊が雑誌連載を経由していないことがしばしばであることを承知しているだろう。かつては週刊誌や月刊誌といった雑誌に連載を繰り返し、その後にコミックスが発売されるのが基本であった。しかし今はそれだけではなくなっている。

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