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「正義」ではなく「正疑」のココロを持て / 密解消の2つの妙案 / 1980年代ラブなふたりの2010年代恋愛?~「スローモーションをもう一度」を読む

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【ロシュツ】今週のメディア掲載情報

6/29 日本経済新聞電子版 Life is MONEY
老後破綻防ぐ年金生活者の家計 計画的取り崩しがカギ
7/1 Yahoo!ニュース個人
「新しい生活様式」でお年寄りもSuicaとYahoo!ショッピングを使う 高齢者の消費行動に懸念も
掲載忘れ 6/25 楽天証券トウシル
いま投資で考えるべき3つのポジション。アフターコロナを見据えて

(無料)【テツガク】「正義」ではなく「正疑」のココロを持て

「正義」という言葉は取り扱いが難しい。誰だって辞書の意味としての「正義」に反対する人はいない。正義は守られる必要がある。

しかし、誰にとっての正義かで意味合いが異なってくる。A氏を守る正義の考え方は、B氏を時に傷つけることがある。A氏の正義とB氏の考える正義が同じ方向を向いているとは限らない。これが個人の話ではなく、政治や国家間の話で「正義」を言い出すとキリがない。

「公平」とか「平等」という言葉も、言葉そのものは難しくなくても、現実に当てはめようとするとなかなか難しい。例えば、チャンスは平等に与えられるべきだが、結果を平等に配分すればいいというわけではない。能力高く仕事に貢献した人が能力に見合う分配を受けることができなければ、それは彼にとっては不公平だ。

そもそも平等なチャンス提供自体は現実社会でどう行うべきかいいだせば、やっぱりキリがない。だって団塊ジュニア世代とバブル入社組に平等なチャンスを与えることはできっこない(もちろん団塊ジュニア世代は割を食った)。

たいていのことは「条件付き」で説明されなければいけない。あるいは「主語を明確にして」説明されなければいけない。

ところが多くの場合、「条件」や「主語」は明確にされないまま正義が語られている。限定的な話をするとわかりにくくなり、キャッチフレーズには向かなくなるからあ。かくて政治家はシンプルで、一見するとわかりやすい正義を口にすることになる。

きれいな言葉ほど疑いを持っておいた方がいい。

そして、疑うというのは悪いことではない。疑うというと子育ての局面ではたしなめられることが多いが、しっかりとした地頭を持つということは疑問を持って検証するセンス、つまり「正しく疑ってかかる」感覚を持つことである。

寺田寅彦氏(夏目漱石の弟子として有名な東大の物理学者)はエッセイ「知と疑い」で「疑いは知の基である。よく疑う者はよく知る人である。」と書いた。けだし名言である。

(青空文庫で全文読める。短いコラムなのでぜひ)
https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/1694_9657.html

ところが疑うことはなかなか難しい。立ち止まらなければいけないからだ。世の中は疑いを持たずにスムーズに動く方が楽だし効率的だ。疑うのはそれだけで負担になる。

さらに情報の裏を取ろうと調べればさらに時間がかかる。今は検索をスマホ一つで行えるので図書館のみの時代よりぐっと楽になったが、検索した情報の精度もチェックしなければいけない。特に強い意志を持ってアジテーションする情報を疑うには強い気持ちが必要になる。

しかし、疑うことであなたの「知」や「認識」がステップアップすることになるのは間違いない。

きれいなキャッチコピーほど疑ってかかってみよう。本当にそれは実現できることなのか、正しい論説なのか。信じられそうな人の言葉だからという根拠はほとんど無意味だ。

短い文章で断言される言葉ほど疑ってかかってみよう。世の中には極論して数十文字で決めつけられることはあまりない。むしろ感情に訴えているだけかもしれない。

ぱっと見、驚かされる図版ほど疑ってみたほうがいい。置くべき前提は正しいか、出典は適当か、作図の意図は歪んでいないか。


……そして、こういう記事を読んで「私の支持する考えや人物をこの人は否定したいのだろう!」と感じたのならば、あなた自身を疑ってみよう

ここでは、誰のことも否定してはいないのだから。

【コミック】1980年代ラブなふたりの2010年代恋愛?~「スローモーションをもう一度」を読む

好きなマンガの完結を読むのが惜しくなって、最後の数巻、止めてしまうことがある。実はこのマンガも2年前に完結しているのだが、ようやくエンディングを目撃した。よかったなーと思ったので、あえて今、ご紹介したい。

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