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何度生まれ変わっても(声劇用シリアス台本→男1女1)

A→男 B→女

A「俺には好きな人がいる。少し年の離れた幼なじみだ。もう26歳になったっていうのに、いまだに俺の事を子供扱いしてくる」

B「久しぶりぃ〜、あれ?ちょっと背伸びた??」

A「今更伸びる訳ないだろ」

B「そんな訳ないか〜、昔からずっと変わんないもんね〜」

A「うるさい!余計なお世話だ!」

B「ふふっ、私は可愛くて好きだけど」

A「…!!か、からかうなよ!!」

B「昔から可愛いって言うと、毎回顔真っ赤にして照れてたよね」

A「毎回じゃないだろ!話を盛るな!」

B「あーあ、私も大人になっちゃったからなぁ
君と一緒に遊んでた頃はなーんにも考えなくてよかったから、楽しかったなぁ〜」

A「自分で言うほど精神面は変わってないけどな、いまだに俺の事子供だと思ってるしさ…」

B「だって私の中では、君ってずっと中学生。いや、ギリギリ高校1年生くらい?のイメージだし」

A「大学生だよ!!!ギリギリ高校3年生ならまだわかるけど!!」

B「うーん…よく考えたら大学生だったかも…?」

A「よく考えなくてもそうだよ…」

B「まぁでも、私の中身が大して変わってないっていうのは自覚あるかも」

A「自覚してるなら改めてくれよ…」

B「中身はそんなにだけど、見た目は?どう??」

A「い、いや…どうって言われても…」

B「大人っぽくなったと思わない??」

A「そりゃあ、まぁ……」

B「可愛い?」

A「はぁ!!?」

B「あ、綺麗の方??」

A「えっと、それは…」

B「あ、あとね、話変わるんだけど…」

A「相変わらず自由だな…」

B「私、余命1年なんだって。」

A「………………は?」

B「治療法も見つかってない難病なんだって〜
1000万人に1人の確率らしいよ、すごいよね」

A「なんだよ……なんだよそれ!!!!」

B「でもさ、全然怖くないんだ。むしろ、良かったんじゃないかな〜って思ってる」

A「良いわけないだろ!!!」

B「こんな事言うと君は怒っちゃうよね」

A「当たり前だろ!!俺は…お前にっ……!」

B「生きて幸せになって欲しい。って言うかな?」

A「わかってるなら諦めるなよ!!!」

B「無理だよ……」

A「何でそんな弱気なんだよ!!いつもみたいに!いつもみたいに、笑ってくれよ……」

B「だって…………もう君はいないんだもん」

A「……」

B「ひどいよ、急に死んじゃうなんて…」

A「10年前、大学1年生の頃、俺は交通事故に巻き込まれて死んだ。運転手は酒を飲んでいたらしい。」

B「あの時、私まだ高校1年生だよ?受け止められる訳ないじゃん」

A「ごめん……」

B「なんて、言ったって仕方ないけどね。もう伝えられないし」

A「伝わってるよ」

B「こうして命日の度に君のお墓に来てるのも、ただの自己満足なのにね」

A「そんなことない!ずっと見てたよ、ずっと…」

B「それでもさ、来年の命日にはもう来れるかわかんないし、いや…多分来れないと思うから」

A「……」

B「だから、最期に伝えたくて。……好きだよ」

A「俺だって…ずっと……」

B「それじゃあね、バイバイ」

--------【間】--------

A「よう」

B「久しぶりぃ〜、元気してた?」

A「ぼちぼちな。」

B「なんか、変わった…?」

A「変わんないよ、何も」

B「そっか…」

A「ああ」

B「君に会いたくなって、私もこっちに来ちゃった」

A「……」

B「……ごめんね」

A「謝るのはこっちの方だよ」

B「なに〜?ずいぶん素直なんじゃない?」

A「いいだろ、別に」

B「もしかして、私の事好きになっちゃった?」

A「あぁ、好きだよ」

B「っ!……今のはズルいと思う」

A「伝えられないで終わるのはもう嫌だからな」

B「そっか…」

A「うん」

B「……もしさ」

A「うん」

B「もし次があるとしたら…また私を見つけてくれる?」

A「当たり前だろ」

B「すぐには見つからないかもよ?人間じゃないかもしれないし」

A「見つけるよ、絶対に。」

B「そっか……ふふっ、嬉しい」

A「大丈夫そうか?」

B「うん、安心した」

A「またな」

B「うん、また、ね…。」

【心電図止まる音】

A「何度生まれ変わっても」

B「また、君を見つけてみせるから」

〜Fin〜

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