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Lost Dream(2人用コメディ台本男2)

LOST DREAM
A→男、高校生くらい
B→男、Aと同級生
天の声→不問(一言だけなのでBが兼役を推奨)

A(この日、俺の人生は転機を迎えた。きっかけは放課後の些細な言い争いだった)

B「完全に割れてるじゃん…!どうしてくれんだよこれ!!」

A「だから俺もわざとじゃなかったんだって!」

B「ありえないだろ!!これ廃盤になっててもう手に入らないんだぞ!?」

A「悪かったって…そんな大事なやつとは知らなくて…」

B「はぁ!?俺あれ程丁寧に扱えって言ったよな!?」

A「そ、そうだっけ?」

B「…聞いてなかったのか?」

A「い、いや、聞いてなかった訳じゃ……」

B「もういい。最悪だわ、お前なんかに貸すんじゃなかった」

A「そ、そこまで言う事無いだろ!CDの1枚くらいで…」

B「………はぁ。萎えたわ、帰る」

A「あ、おい……」

【間】

A「はぁ…やっぱり素直に謝るべきだったよなぁ…。どうしよ、明日なんて声かけよー、全部
夢だったらなぁ……」

天の声「その願い聞き遂げたぞ」(変な声)

A「えっ!?な、なんだ?今変な声が……
ん、んん……なんだこれ、急に眠気が……」

【間】

A「はっ!あれ、俺いつの間に寝てたんだ…?
もう朝か、学校行かないと……はぁ、気重いなぁ」

【間】

B「おーっす、おはよー」

A「お、おはよ……」

B「なんだよその反応(笑) 腹でも痛いのか?」

A「いや、その……昨日はごめんな……」

B「は?何が?」

A「いや、だからほら…廃盤になったCD割っちゃってさ…」

B「え?廃盤のCD……?あー!ソフトインセクツのインディーズアルバムのこと?」

A「そうそうそれ…『トノサマバッタの3角飛び』が収録されてるやつ」

B「え、なに?お前もソフトインセクツ聞くの!?マイナーだから知ってる人中々いないんだよな〜」

A「…え?いや、昨日お前が勧めて来たじゃん…」

B「は?お前とソフインの話した事ないだろ?」

A「な、何言ってんだよ、昨日話したばっかだろ?」

B「いやいや絶対無いって!そもそもCD届いたの昨日の夜だし」

A「……え?」

B「フリマアプリで偶然出品されててさ!
運が良かったなぁ〜。…ん?てかなんでお前俺がこのCD買ったこと知ってんの?」

A「待ってくれ、今日って…『何日』だ?」

B「えっ?1月23日だろ?」

A「……俺がCDを借りた日の前日だ…」

B「はぁ?何言ってんだお前…」

A(俺は、タイムリープ能力を手に入れていた。正確には起きてしまった現実を夢にする事ができるようだ)

B「聞き終わったら貸してやるよ!あ、でも…くれぐれも丁寧に扱えよ??お前、床とかに置きっぱなしにして踏んだりしそうだし…」

A「ふふっ、やっぱちゃんと言ってたんだな…。
俺が聞いてなかっただけか」

B「何言ってんだ?」

A「いや、なんでもない」

B「変な奴…」

A(その後、俺はこの能力をフル活用した。テスト、宝くじ、SNS。全てが面白い程に上手くいった。が、上手くいけばいくほどに、更なる欲が湧くようになっていた。)

B「お前最近すげぇじゃん!どうしたんだよ
テストも上位だし、YouTubeの登録者も今15万人だっけ?やばいよなぁ!」

A「いや、まだだ……もっと上手くできる」

B「いや、もう十分だろ…これ以上良い結果になるかなんてわかんないんだし」

A「わかるんだよ、俺には……」

B「はぁ?」

A「もう1回…もう1回だ……」

B「なんか今日変だぞ!いくら何でも夢見すぎだろ!」

A「夢…これは夢……?確かに夢かもしれない……?」

B「ホントだよ、今夢みたいな状況だぞ??
高望みすんなって」

A「これが夢…これまでも全部…夢……?
でもそれなら現実の俺は……?」

B「お、おい…どうしたんだよ」

A(何気ない一言が急激に俺の心を蝕んだ。何度もタイムリープを繰り返すうちに夢と現実の境目が曖昧になっていたのだ)

B「だ、大丈夫か??めちゃくちゃ顔色悪いぞ…保険室で寝とけよ」

A「保健室…?お前、俺の事を夢にしようとしてるのか…!?」

B「はぁ?お前何言って…」

A「やめろぉ!!俺は夢じゃない!!!」

B「ほ、本当にどうしたんだよ!?」

A「違う…夢じゃない…俺は、俺は現実だ…」

B「疲れてんだよ、お前……。そうだ!甘いもん好きだったよな?駅前のケーキ屋で何か買ってきてやるよ!あそこ有名だし……」

A「ゆぅぅぅぅぅめぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」

B「ヒッ!?な、なんだよ!?」

A「わざとやってんだろぉぉぉぉ!!!!!!
俺は誤魔化されないぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」

B「や、やめろ!!うわあああぁぁぁぁ!!!」

A(我に返ると血まみれ肉塊が目の前に転がっていた。さすがにまずいと思った俺は、すぐさま能力を使った)
「っっはぁ!はぁっ…はぁ……!!戻っ…た……。はぁ…くそ……学校、行かないと……」

B「おーっす、おはよー」

A「…っ!お、おはよ…」

B「なんだよその反応(笑) 腹でも痛いのか?」

A「そ、そんな事ねぇよ…」

B「そうか?ならいいけど。ところでさ、昨日駅前に救急車来てたろ?あれ、結構やばいらしくてさ」

A「あぁ…あったな、そんな事も……」

B「救命病棟に運ばれたらしいぞ…」

A「救命!き、ゅめっ!!っくぅ!!はぁっ…はぁ…!!」

B「ど、どうした!?大丈夫か!?」

A「あ、あぁ…小文字だったからな、まだ大丈夫だ…」

B「こ、小文字?なんの事だよ」

A「大丈夫…俺は大丈夫……」

B「そ、そうか…?あ、じゃあさ!昨日のアニメの話しようぜ」

A「おう、昨日何やってたっけ?」

B「お前モグリかよ?笑
ほら、今話題の転生ものだよ」

A「あー、あれな!『転生先の悪役令嬢が伝説のボクサーになった件』!」

B「そうそう!王道のサクセスストーリーで、いいよなぁ〜、ビックドリームって感じで 」

A「ドリィィィィィィ!!!オラッ!!!」

B「ブフッ!!!?」

A「英語もアウト!!アウトぉぉぉぉ!!!」

B「な、なんなんだよ!!急に殴ってくるなんて、お前おかしいぞ!?」

A「す、すまん…主人公に感情移入しちゃって、つい…」

B「どのタイミングで感情移入したんだよ…」

A「感受性豊かだからさ…」

B「そ、そういう問題か…? あ、でも相手をKOした時の主人公のセリフはかっこよくて感情移入しちゃうよな!」

A「そ、そうそうそれ!なんてセリフだっけ?」

B「『これが…真の覚悟がある者の拳……ゆめゆめ忘れないことだ』」

A「うわあああぁぁぁぁ!!!」

B「ヒッ!?」

A「ダブルパンチ!!ダブルパンチ!!!!!」

B「グフッ!!!ゴフッ!!!」

A「2回連続!!!2回目が2回連続!!!だから!!ダブルダブルパーーーンチッ!!!!」

B「はぁ…はぁ……お前、本当にどうしたんだよ?おかしいぞ…??」

A「わ、悪い…今日ちょっと調子悪いみたいだ…」

B「今日はもう休めよ…落ち着いたら旅行行こうぜ、前テレビで良さそうなとこ見つけたんだよ」

A「そ、そうなのか…」

B「そうそう!めちゃくちゃ雰囲気良かったんだよなぁ〜、いい旅・夢気分で見たんだけど……」

A「ゆぅぅぅぅめぇぇぇぇぁぁああ!!!!!!

B「!?や、やめろ!!うわあああぁぁぁぁ!!!!」

A「はぁ…はぁ……ダメだ……。「夢」と聞くと人を殺してしまう…俺は、俺はどうしたら…………
……そうだ。俺自身を夢だった事にすればいいんだ……。はっ…ははははは!!!なんだ簡単じゃないか!!!」

【間】

B「……はっ!!なーんだ夢かぁ。知らない奴に殺される夢、妙にリアルだったな…。ま、どうせ夢だし、気にしなくていいか!」

〜fin〜


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