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店に殺されると思った出稼ぎ10連勤

四月の二日、在籍に出勤しようと少し出勤前にのんびりしていると出稼ぎ先からラインが届いた。4月6日から7日間、13日まで私は出稼ぎに行く予定であった。
「お疲れ様です。日程の件ですが女の子が少ないので明日からどうでしょうか?」と言った内容だった。

「明日?!はさすがに無理です。美容院など予約を入れてしまっています。」と返信すると
「明後日の当日入りはどうでしょうか?」と引かない出稼ぎ先。
「当日入りとは?当日そのまま出勤という事でしょうか?」
「そういうことになります。大丈夫ですか?」と返事が来たので少し悩んだ。ソープの出稼ぎというのは大抵「前乗り」といって出勤日の前の日に前乗りで出稼ぎ先に向かい、一日ゆっくりしてから出勤日に備えるというものがあるのだ。その前乗りなしに、ついてそうそう出勤なんて体力が追いつくだろうか。でも出稼ぎ先がここまで誘うってことは女の子少ないだろうから稼げるかも…。色々考えて、仕方ない、やるか!と私は腹をくくった。
「わかりました…。」
「ありがとうございます!日程は予定通り13日までで大丈夫ですか?」

13日まで?!
私は指折り数えてみたが、そうすると10連勤になる。10連勤なんて援デリ初期に馬車馬のように働かされてた以来だ。(最高で11連勤をしたことがある。でもそれは当時17歳だったから出来たのであって、今はどうかわからない。)普段は5時間×5日間というポンコツ出勤の私にそれは耐えれるだろうか。でもドームツアーを前に控えてて次々と推しのグループがツアーを発表している中だったのでお金が欲しかった私は「まあ、やれるっしょ!」とそれを承諾。

その日のうちに荷造りをしておいた。どうせ寮と店の往復なので2着のパーカーとズボン、あとはシャンプー類や化粧品だけを突っ込んで軽い荷物にまとめ上げ、一番大きな荷物は枕となった。そう、出稼ぎ先あるあるなんだけど出稼ぎ先の寮って大抵寝具がまともじゃないのね。大体ドンキで一番安く売ってたであろううっすいせんべい布団に(薄すぎてもはや床で寝てるのと変わらない)うっすい枕。一晩寝れば速攻バキバキの身体が仕上がる最悪の睡眠環境。儲かってんだから寮の環境に金かけろよな。働いてる女が泊まるとこだぞと常々思っている。まともにきちんとベットが置いてある寮を私は1件しか見たことないし、新築で綺麗なマンションであることも少ない。(大抵ぼっろいマンションorアパート)今回は店から30秒のぼろいマンションだったからまだよかったけど、前回は店から離れているうえに大学生が上京して初めて借りた部屋のようなぼろいアパートでめちゃくちゃ寒かった思い出。ちなみにお客さん曰く「出稼ぎの子がみんな不満を漏らすレベルの寮」と言ってたので、たぶん皆お客に愚痴っているのだろうw


そして当日。あんまり眠れず重たい身体を引きづりながら駅へ。
(出稼ぎ前って寝付けないよね?なんで?)
東京駅から新幹線に乗って出稼ぎ先へと向かった。そして到着して1時間後にはもうお客さんを接客していた。我ながらタフだと思う。

さて稼ぎはどうだったかというと、まあまあぼちぼち稼がしていただいた。初回より予約の埋まりは良くなかったものの、当日急に予約が入ったり、前回はほとんどいなかった出張客が多かったこともあり、早番の時間は100分が2本ほど、夕方までは静かで夜は暇かな?と思いながらも気づいたら大体ラストまで埋まるという日がほとんど。金土に関しては完売していたし、暇だったのは日曜日のみ。今回も写メ日記でだいぶ客が釣れたので本当に助かった。

がしかし、問題は体力。最初の3日間は余裕ぶっこき丸だった私も金曜日土曜日の完売で身体が限界を迎え、前回は「ロングが多くて楽」と思っていた客層にも「2抜きめんどいからくんな!!」と半ギレ。
だってショートばっかだった日、殆どマットしてないのに給料が大差なかったから。ロングになればなるほどバック安くなる店って田舎に行けば行くほどそうだよな。マットしまくって2抜きしまくってんのが本当にバカバカしくなる。マットしないでぶん回しのが楽じゃねえか。
いちばんしんどかったのが金土の完売した日だったけど、本来なら帰るはずだった8日目が本当にしんどかった。「まだあと3日も働くの?客全員死ね!!」となってしまうくらいには心に余裕がなかった。いつもなら全力で出来る接客も段々質が落ちているのを自分で感じたので私の限界は1週間だというのも今回で自覚できた。2度と10日間などやらないw

途中「10日もやれる気がしない」と仕事終わりに呆然とする私に店がとった行動は「出勤1時間遅らせるから頑張って☆」だった。
確かに一時間長く寝れるのは助かったんだけど、それより「無理しないでって言って帰らせろよこの野郎!どんだけ働かす気だ!!殺す気か!」と心の中で思ってしまう私。
有難いんだけど夜に来る怒涛の100分連ちゃんがきつすぎて私は毎日twitterで「客死ね!」と呟いていたように思う。ちなみにこの10日間99%の人とマットをしている。しなかった人はショートコースの3人だけ。もう大好きなマットがこの期間ばっかりは大嫌いになり、ローションを溶いてかき混ぜながら笑顔で客と会話する傍ら「またマットかよだる。動くのヤダ。死ね」と心の中で呟いていた。

長丁場のストレスからか私は口内炎が出来ては消え、また出来てを繰り返していた。いつもなら規則正しい食事で満足できるというのに、この期間中は何仕事終わりに何度も過食を繰り返していた。もうストレスの逃げ場が食しかないのである。狂ったようにナナチキのガーリック味を食べたのでしばらく揚げ物は見たくもない。
出勤する時も、与えられた部屋に入るたびに「またこの湿気まみれの部屋で1日過ごすのか」と気が落ちる。暇な時間にインスタを見ればみんなが楽しそうに遊んでるのを見て恨めしくなるのでSNSを見るのを辞めた。
「こんなしんどい思いをしてまでまんこ売る意味とは?」などと普段考えないようなことも考えた。

そして最終日、最後のお客さんを見送ると「終わったーーーーーーーーー!!」と部屋でガッツポーズをしながら叫んだ。
そしてコールがなり、応答すると「この10日間ロングのお客さんばかりで大変でしたよね、本当にお疲れさまでした。めちゃくちゃ頑張っていただきありがとうございます。素晴らしいです。」とスタッフさんからねぎらいの言葉をもらった。

清算を終え、スタッフさんにお礼を伝え、寮に戻ろうとすると店長から「〇〇ちゃん、ちょっと良い?」と呼び止められた。「まさか悪いアンケ出た?」と身構えながら行くと、店長からこんな話をされた。

「あのな、〇〇ちゃんはこの10日間、すべてのお客さんから高評価のアンケばかり出して、皆が凄かった!って言いながら帰っていったの。そんな女の子、中々いないからめちゃくちゃ凄い事なのよ。でも○○ちゃんはそれを偉そうに思ったりもせずいつも謙虚で低姿勢でしょ?是非そういう子に、うちのグループの講習員をやって欲しいと思っている。社長に近々話すから、この話受けてくれる?」と言った内容であった。

「私なんかでよければ、喜んで受けさせていただきます」と答えると
「そしたら月給とか決めて、また声掛けさせてもらっていい?」と店長

「はい、ぜひよろしくお願いします」
「本当に謙虚でいい子やな~。気持ちが良いわ。気つけて帰るんやで!!」とバリバリ関西弁の店長は手を振って私を見送ってくれた。

疲労はマックス、メンタルもボロボロだったけど、私の仕事ぶりを認めてくれて講習の仕事まで任せようとしてくれる店長の話を聞いたら、在籍と比べたらクソみたいなバックも、たっかい雑費も、まあいいか。と思えた。


出稼ぎ中
「最後までたどり着かないマットって、どんなマットしてんの?」
と全ボーイに聞かれ、たいそうすごい技があるんだろうとみんな私のマットを知りたがったが、私のマットは技が凄いというよりは要所要所が的確で、ちんこを見れば弱点が分かるという特技のお陰なのである。あとは8年分の接客してきたお客のデータと経験のおかげ。いつも向上することを忘れず、心を込めてマットするということを心がけてきてよかったなと思う。

今では在籍でも講習を担当し、働いている街で「マットと言えば萬ちゃん」と言われるようにまでなって来たけど、私の目標は日本一マットが上手いと言われるようになることだ。
これからも「凄いね」と言ってくれるスタッフさんやお客さんの言葉に甘えず、常に更新することを考えながら良いソープ嬢になっていきたいなと改めて思えた出稼ぎであった。

そして今回の出稼ぎで、本当に金のありがたみを知った。こんなにしんどい思いをして稼いだのだ。本当はストのドーム全日行くつもりであったが、1日行くだけにすることにした。
家計簿も4月から始めたので、万年塗り替えられなかった「貯金できないソープ嬢」から脱却することも努力していこうと思っている。

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