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クリニックで受診する場合とOTCで治す場合の比較、どっちがお得?(皮膚炎編)~薬局とお金の話⑯

調剤薬局で薬をもらう場合と市販薬(OTC)を買う場合、金銭面でメリットがあるのはどちらか?どんなデメリットがあるか?について、薬剤師でありファイナンシャルプランナーであるgorisanが比較させていただきます。

今回は「皮膚炎」というテーマですが、火傷から感染性湿疹そして乾燥による肌荒れまで幅広い症状があります。火傷や感染性湿疹などは受診が望ましいと考えられますので、今回は乾燥による肌荒れについて考えていこうと思います。

※効果効能が同一であり、費用比較のしやすい代表的なスイッチOTC、ヒフメイド油性クリーム(有効成分へパリン類似物質)を用いて、比較をさせて頂きます。

・ヒフメイド油性クリーム 50g 希望小売価格 税込1280円

<クリニックを受診する場合>

クリニックを受診することで、医師の診察により症状に合う医薬品を処方してもらえるので、アトピー性皮膚炎や感染性皮膚炎など類似症状を見逃しにくいというメリットがあります。

保険適応の場合は3割の自己負担で済み、高齢者であれば1割の自己負担です。ただし薬価だけでなく、受診料や検査料、薬局での調剤料が別途必要になります。

初診料(2280円)+処方箋料(680円)+別途検査処置費用

※2回目以降は、再診料(730円)+処方箋料(680円)+別途検査処置費用

調剤基本料1(420円)+地域支援体制加算(380円)+後発医薬品体制加算2(220円)+薬学管理料(初回は570円、2回目以降は手帳持参で430円)+調剤料(100円)+薬剤料

※調剤基本料や地域支援体制加算、後発医薬品体制加算は薬局ごとに異なりますが、今回は一般的な調剤薬局に多い上記の算定項目で計算させて頂きました。

・ヒルドイドソフト軟骨 1g 20.9円(50gでは1045円)

※ジェネリック医薬品なら4円(50gでは200円)

ただし、病院までの往復と待ち時間、薬局での待ち時間を考えると、数時間はかかります。病院によっては予約が必要なので、予定を合わせる必要も出てきます。この時間が最大のデメリットです。

<ドラッグストアや通販で購入する場合>

ドラッグストアや通販で購入する手軽さが最大のメリットです。ドラッグストアでも薬剤師または登録販売者に相談すれば適切な医薬品を選ぶことができます。通販なら外出せずともネットですべて完結してしまいます。

皮膚の乾燥など緊急性の少ない疾患ではインターネット購入が非常に便利なので、化粧水や乳液など肌ケア商品と同じように購入されるケースも多く、特にヒルドイドは保湿クリーム代わりに使用されている方も多いと聞いています。

<実際に費用比較してみよう!>

乾燥による肌荒れは短くとも数ヶ月、人によっては一年を通してケアが必要となります。今回は比較のため1クール(3ヶ月)使用すると仮定して費用比較をさせていただきます。

患部の広さにもよりますが、1日に5gくらい使用すれば十分な範囲をカバーできると思いますので、10日で50gを使うと仮定して50gでしたら9本必要となります。

クリニックを受診する場合は、この間3回は最低でも受診することになるので、初診料+再診料ですね。薬局は薬学管理料が570円+430円で計算すると以下のようになります。※今回は3割負担で計算しています。

(クリニックを受診する場合)

初診料(2280円)+処方箋料(680円)+再診料(730円×2)+処方箋料(680円×2)+調剤基本料1(420円×3)+地域支援体制加算(380円×3)+後発医薬品体制加算2(220円×3)+薬学管理料(570円、2回目以降は手帳持参で430円×2)+調剤料(550円×3)+薬剤料(20.9円×450g)

=6398円(四捨五入で計算)

3割負担であれば6400円くらいです。実際には処置が検査が加わる場合もありますので、あくまでも参考値として考えてください。

(ドラッグストアや通販の場合)

・ヒフメイド油性クリーム 50g 希望小売価格 税込1280円

1280×9本=11520円

ドラッグストアや通販では希望小売価格の1~3割引くらいで売られていることが多いので、実際には10000円くらいだと思います。

このように市販で買うよりも通院したほうが安いので、通院して処方してもらおうと考える人も多いですが現在は少し難しい状況になっています。

その理由は子供に処方してもらったヒルドイドを自分の保湿に利用している親が問題となったからです。小児医療で自己負担無料で処方してもらいヒルドイドをタダで利用していることが社会問題となりました。

ヒルドイドは確かに優れた保湿剤ですが、医療機関で処方してもらえるのは治療が必要な方だけです。保湿目的であればOTC、治療が必要な場合は医療機関を受診するという方針でよいでしょう。

<この記事を書いた人>
gorisan
地方の小規模チェーン調剤薬局の薬剤師。薬剤師歴12年。3児の父。認定実務実習指導薬剤師。FP技能士3級。