見出し画像

膣カンジダでお悩みの方へ~薬剤師が本音でオススメする市販薬㉗

膣カンジダとは、カンジダ属の真菌感染によって女性の外陰部や腟にかゆみや腫れ、白いおりものなどがみられる病気です。
カンジダは健康な人の皮膚や口内、腸内、性器の周辺などに常在しており、免疫力の低下などに伴って増殖し、女性では外陰部や腟に炎症が生じます。発症率は高く、女性の約5人に1人が発症するといわれています。
治療では主に抗真菌薬が使われます。まれに再発を繰り返すこともありますが、85~95%は1~2週間の初期治療によって治るとされています。
※外陰腟カンジダ症(MedicalNoteより抜粋) 

一度医師の診断と治療を受けたことのある方が再発した場合、薬局で購入できる市販薬があります。
今回は「膣カンジダ症」が再発した方にオススメできる市販薬を薬剤師の皆さんにセレクトして頂きました。

◎今回推薦してくれた薬剤師のみなさん(小豆田くら子/宇野さらら/日陰ましう/百里香ひかた/ゆきつばめ ※五十音順)


オキナゾールL600(田辺三菱製薬)

カンジタ膣炎を市販薬で治したいという場合は再発といって、以前にも同じような症状で婦人科医の診察を受けたことのある人だけが購入できます。
今回お勧めするのも医療用と同じように1回の治療で終了する膣剤となっています。第一類医薬品の為。薬剤師がいる薬局でのみ購入することが出来ます。
(宇野さらら)

エンペシドL(膣錠) (佐藤製薬)

エンペシドL(膣錠)に含まれるクロトリマゾールはカンジダ菌に対して高い抗菌作用を示します。1日1回就寝前に100mgの錠剤を膣深部に挿入し、6日間連続で使用します。
6錠入り、3080円
薬を6日間使用しても症状が改善しない場合には、他の疾患の可能性もあるので病院を受診するようにしましょう。
また、膣だけでなく外陰部に症状がある場合には、エンペシドクリームの併用が推奨されます。
10g 入り、1958円
(小豆田くら子)

エンペシドLクリーム(佐藤製薬)

抗真菌作用を有する「クロトリマゾール」が配合された、やわらかくてのびやすいクリームです。無着色でにおいもほとんどありません。発疹を伴う外陰部の痒みに効果的です。
10g 1958円(税込)
(百里香ひかた)

メディトリート膣錠(大正製薬)

古くから病院でも処方される、抗真菌薬のミコナゾール硝酸塩が成分で安心。
毎日6日間使用を続けるが、3日使用しても改善がみられない場合や、6日間使用し終わっても症状が消失しない場合は医療機関で受診してください。
第一類医薬品のため、薬剤師がいるお店でしか購入できないが購入の時に相談できるから良い。
膣口部より広い範囲に症状がある場合はクリーム剤の併用がおすすめ。
(日陰ましう)

メンソレータムフレディCC1A(ロート製薬)

1回の使用で治療できる腟カンジダの再発治療薬。使い捨てアプリケーター付き。最初からアプリケーターに膣錠がセットされていて、膣錠の挿入に不慣れな方、挿入初心者の方でも使いやすい。挿入後、腟内の水分でやわらかく崩れて腟内に留まり、腟錠のある所から効果が広がり、有効成分イソコナゾール硝酸塩が腟内部をしっかり殺菌する。1本3,190円(税込)。

膣カンジダ再発治療薬には1回の使用で効果があるタイプと6日間毎日続けて使用するタイプがあるが、購入時の相談で「1回タイプだと挿入を失敗した時が心配なので6日間挿入タイプを購入したい」という声があり、膣錠の使用経験はあるが膣挿入が不慣れという方へは、アプリケーター付き1回挿入タイプを勧める事がある事から、今回こちらの商品を紹介しました。
(ゆきつばめ)

膣カンジダの症状に悩む方へのアドバイス

上記のような市販薬は、過去に膣カンジダの診断を受けた人しか使用できない。
はじめて症状が出た方は医療機関を受診してください。
(日陰ましう)

カンジダ菌は湿度や温度の高いときに繁殖しやすいので、できるだけ乾燥した状態を保つこと、通気性のよい下着を身に着ける、おりものシートなどはこまめに交換するなど、清潔な状態を保つのが大切。また、膣カンジダは、抵抗力が落ちた時などに発症しやすいため、しっかり休息を取るようにアドバイスしましょう。
(ゆきつばめ)

膣内にも原因菌が増殖している可能性があるため、クリーム剤だけでの治療ではなく、膣錠や膣坐剤を併用することをおすすめします。おりものや熱感など膣内部の症状を伴う場合は、必ず膣像や膣坐剤を併用してください。
(百里香ひかた)

カンジタ膣炎はカンジタ菌と言われる真菌(カビの一種)により引き起こされます。そのため梅雨時から夏場にかけて多くなる傾向にあります。多くの人は常在細菌として持っている者であり、陰部のかゆみや腫れ、帯下などの症状を引き起こすときは宿主である人が弱っている時が多くなります。そのためストレスがない生活や、十分な睡眠をとることも必要となります。予防としては、陰部を清潔に保つことと、通気性の良い下着を使用することです。
(宇野さらら)

膣カンジダ症は外陰部のかゆみと、おりものの変化などを症状とする疾患です。ストレスや疲労などによる免疫力の低下などにより、再発を繰り返すことがあります。再発予防には生活習慣の見直しなどにより免疫力を落とさないようにしたり、通気性の良い下着をつけるなども効果的です。
(小豆田くら子)

監修者コメント

外陰部のかゆみと、おりものが増えたと思っても、婦人科受診のハードルは高いですね。市販薬は、いずれの剤形も「再発」したときに利用できる薬です。症状の程度から受診するのか、市販薬を使って様子をみるか、自身の判断が必要になりますね。
再発であれば、各社から市販薬が発売されているので早めに使用することが大事ですね。

<本稿の監修>
坂口眞弓
博士(薬学)。みどり薬局、みすじ薬局、ゆうま薬局代表(東京都台東区)著書に「ここが知りたかったOTC医薬品の選び方と勧め方(南江堂)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」など多数。