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調剤薬局の領収書、何が書いてあるの?(前編)~薬局とお金の話①

はじめまして、薬剤師でファイナンシャルプランナーのgorisanと申します。これから連載で「薬局にまつわるお金のこと」を解説することになりました。
調剤薬局でかかる費用には保険が関わっているし、いろいろな制度の影響で変更になったりするので複雑に感じている方も多いと思います。この連載を通して、少しでも分かりやすく理解できる手助けになればと思います。
まずはじめに、誰もが薬局で会計するときに渡される「領収書」について取り上げます。

調剤薬局の領収書って、項目がいろいろあるから何処に何が書いてあるか、すごく見づらいですよね…そこで今回は、領収書に何が書いてあるのかを1つずつ解説させて頂きます。読み終わる頃には自然と領収書の内容が分かるようになっていると思います。

領収書の記載項目一覧


でも領収書なんて薬局ごとに違うんじゃないの?と思うかもしれませんが、平成30年に厚生労働省が記載すべき項目を明示し領収書の見本を発表したので、以前よりは統一され随分と見やすくなったんです。(下図参照)せっかくなので、この見本に沿って解説していこうと思います。

領収書


・患者番号、氏名

・領収書No、発行日、費用区分、負担割合、本・家

・(保険)調剤技術料、薬学管理料、薬剤料、特定保険医療材料料

・(保険外負担)評価療養・選定療養、その他

・合計、負担額、領収書合計

1行ごとに箇条書きにすると、このような内容が記載されています。患者番号や発行日などは解説不要かと思いますので、調剤薬局特有の専門的な部分だけ上から順に解説させて頂きますね。

<費用区分、負担割合、本・家>

領収書_1hiyo

費用区分は保険に関する項目で、国民健康保険(国保)や社会保険(社保)そして公費負担医療(公費)や生活保護(生保)や自費など、今回の医療費がどの保険区分で支払われたのかを記載しています。

たとえ保険証や公費受給者証などを提示していなくても、処方せんに病院での医療区分だけでなく負担者(協会けんぽや会社の保険組合など)番号・保険者番号まで記載されていますので、薬局は処方せんを見て費用区分を把握しています。

そして負担割合は、医療費の総額のうち何割を患者さんが負担しなければならないかが記載されています。多くの方は3割ですが、75歳以上の後期高齢者なら1割、生活保護なら0割、自費ならば10割といった感じです。

ここに公費負担医療が絡んでくると少しややこしくなり、特定の疾患に関する薬だけが1割で他が3割や子供の医療費は市町村の制度によって負担金が異なる(乳幼児医療)などがあるので、こういった場合は詳しく記載されていないことが多いです。

本・家は、保険者本人または家族の扶養かを記載する項目です。薬局によってはこの項目がなく、費用区分の欄に社家(社保家族)や国本(国保本人)などと記載してあるケースもよく見かけます。

例えば「社公、1割、家族」であれば、社会保険と公費負担医療の併用で実質の負担割合は1割、家族の扶養となっていると読み取れます。費用区分は略語になっていることがかなり多いので読みにくいと思いますが、1文字ずつに注目すると読みやすいと思います。

<調剤技術料>

領収書_2gijutu

調剤技術料は、調剤できる体制を整えている評価に対する「基本調剤料」と実際に薬を調剤した手数料としての「技術料」の2つを合わせた料金です。

基本調剤料は薬局に対する評価であり、薬の品揃えやジェネリック医薬品の推進率、地域医療への貢献などをデータから判断して決定されるので薬局によって高いところと安いところがあります。

いろいろな医療機関からの薬を調剤しており、品揃えがよくジェネリック医薬品が高い割合で処方され、24時間対応や在宅など地域医療に貢献している薬局ほど高く設定されています。

技術料は、薬の数や日数が多い程高く、手間がかかる(一包化や半錠、散剤や水剤の混合など)ほど高くなります。これに関しては全国一律なので、薬局ごとの差はほとんどありません。

《後編へ続く》

《引用元》
厚生労働省-00医療費の内容の分かる領収書及び個別診療報酬の算定項目の分かる明細書の交付について

<この記事を書いた人>
gorisan
地方の小規模チェーン調剤薬局の薬剤師。薬剤師歴12年。3児の父。認定実務実習指導薬剤師。FP技能士3級。