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暮らしの薬学【消臭・芳香・防臭剤編】~④臭いを防止するために

赤ちゃんの使用後のおむつをしばらく置いておくと臭いが気になりますね。でも赤ちゃんがいるところに消臭芳香剤を置くのって、大丈夫なのでしょうか?

消臭芳香剤は、生活空間のにおいをコントロールできる上で、重要な日用品ですが、その香料が、化学物質過敏症を起こす可能性もあり(①におい、悪臭とはQ&A参照)、日常生活での使用をよく考えなければなりません。いずれにせよ、悪臭発生を抑えることが基本です。
日常生活でできる悪臭防止対策は、「くさいものには蓋をする」「においのもとは素早く片付ける」です。


日常生活でできる悪臭防止対策


① 使用済みおむつ
 赤ちゃんのおむつは、使用後、オムツに付着している便は、必ずトイレに流しましょう。尿や便がついた部分をできるだけ密閉するように小さく丸めていくのがコツです。また、大人用の使い捨てオムツも基本的には同じです。小さくまとめても臭いが外に漏れることがあります。新聞紙で包むと、においが外に漏れてくるのを遅らせることができます。また、ポリプロピレン素材の袋は、においが漏れにくい性質があります。お菓子の袋などを活用するのもいいでしょう。いずれにせよ、ゴミの収集日まで何日もゴミ箱に入れたままだと、においが漏れてきてしまいます。ごみ箱はきっちり蓋をする、空になったらごみ箱を洗剤でしっかり洗うことも防臭にとって大事です。

② トイレ
トイレの臭いの原因は、アンモニア臭と、水気のあるところで繁殖したカビの臭い、下水の臭いがあります。アンモニアはアルカリ性なので、床や壁にとんだ尿を酸性洗剤で清掃し、中和して臭いを取り除くのが基本です。カビを原因とする臭いについては、市販されているトイレ用の塩素系洗剤、それがなければ浴室用の塩素系洗剤を用いてカビを取り除きます(【家庭用洗剤・除菌/漂白編】~③漂白剤の選び方と注意事項参照)。
 便器の縁裏やタンク内にこびりついたカビは、中性洗剤を使い定期的にブラシで掃除をしておくことで抑制できます。(※塩素系洗剤と酸性洗剤を混ぜると、有毒な塩素ガスが発生するので注意しましょう。)
トイレの中には常にたまっている少量の水(封水と言います)が尿や便のにおいを封じる役割がありますが、この水が不足していたり、下水管から臭いが伝わってしまうと下水臭となります。いずれにせよ、臭いの原因を取り除く掃除が基本です。

③ 室内
室内のにおいの原因のほとんどが「菌やカビ」だと言われています。エアコンからの不快なにおい、玄関、靴箱周辺の嫌な臭い、雨期の洗濯物の室内干しも菌やカビが原因であることが多いです。いずれにせよ菌が繁殖しないよう湿気を取り除く、カビ対策をすることです。扇風機やサーキュレーターで風を当てるなど、水をたまらせないようにして、湿気をコントロールします。

Q.子どもが消臭ビーズをあやまって食べてしまいました

ゼリー状の消臭剤(消臭ビーズ:商品名)は、見た目がお菓子のようで、0~5歳の乳幼児だけでなく65歳以上の高齢者も誤飲事故が増えてきています。
芳香、消臭剤などを誤飲、誤食した場合、成分組成からみて毒性は低く、大量でない限りほとんどの場合経過観察ですみます。一般的な対処法として、ゲルや粒の製品を少量食べたり、液体製品をなめた程度であれば、水や牛乳を飲ませて様子をみます。ただし、パラジクロロベンゼンが含まれているものは、牛乳を飲ませず、水を飲ませて吐かせるようにします。
また、商品のパッケージに書かれている使用上の注意を確認し、その記述に従うこと、そして、医療機関を受診するときは必ず現物を持参します。

もっと勉強したい人に ~ 参考リンク・参考図書

●使用済みオムツのにおいがゴミ箱から漏れて困っています。においを抑える方法を教えてください。(エステー)
https://products.st-c.co.jp/plus/question/10335/
●悪臭防止法パンフレット(環境省)
https://www.env.go.jp/content/000185903.pdf
●香害と化学物質過敏症について(ご理解・ご協力をお願いします)宝塚市
https://www.city.takarazuka.hyogo.jp/kyoiku/1015180/1047354.html
●家庭用芳香・消臭・脱臭・防臭剤安全確保マニュアル作成の手引き(新版)平成30年11月19日 芳香消臭脱臭剤協議会 
http://www.houkou.gr.jp/criterion/pdf/manyuaru02.pdf

<参考図書>
環境法 第2版
健康と環境の科学

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<書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。