痔になった話

汚い話だからnoteで書くことにする。


痔を認めた日

最初に違和感を覚えたのは金曜日。
一日ケツがヒリヒリとしてたけど、下痢の日なんかはよくあることだと思って気にしてなかった。

だんだんと痛みが強くなる自分のケツを確認したい気持ちと、絶対認めたくない気持ちがせめぎ合う。
そう。俺は痔なんだろうな。俺は確信に近い形で既に察していたんだ。

憂鬱で重々しい気持ちでトイレに向かい。
パンツを降ろし。
そっと指で触れてみる。

いる。

長年連れ添った俺の肛門から何かぷっくりとしたものがコンニチワと顔を覗かせている。
何かの間違いであってくれ!
一縷の望みに縋るようにポケットからスマホを取り出す。
俺は!!!自分の!!!肛門を!!!撮影した!!!!


HLV発射体制!!!!!!!

俺のケツからキシリア様へのお届け物が発射されそうになっていた。
きっとホワイトディンゴ小隊であってもどうにもならないだろう。

俺は泣きながら月曜日の仕事を休むことにした。
帰りにはボラギノールを買って帰った。

医者に行った日

月曜日。近所の肛門科で診療して貰ったがやはりいぼ痔だった。
手術しないと治らないとのことで木曜の手術が決まった。

昔クレしんのヒロシが痔になった話があったな・・・。
そんなことを思い出しながらバスに揺られて帰った。
ヒロシでさえあんなに辛そうだったのに俺には耐えられるだろうか。
先生に散々ケツの穴を弄り回され、数日後には手術まで言い渡されて心身はボロボロ。
今死ねば幾分か楽なのかもしれない。そう考える程度には憔悴していた。

手術

当日の朝は曇天。
暑さが苦手な自分には大助かりで戦へ向かう武士の如く冷静な心持ちで向かった。

早めに受付を済ませ。念のためトイレを済ませておく。
手術衣に着替え呼び出しを待つ間は緊張で手足が震えた。

「ここに膝を付いてうつ伏せになってね」
言われるままに先生にケツを向ける。
緊張で汗が止まらない。
ケツを広げるために貼られたテープがどんどん汗で剥がれていく。

いよいよ手術がはじまる。
最初は仙骨麻酔だ。
めちゃくちゃ痛いとは聞いていたが実のところめちゃくちゃ痛い。
あとは麻酔が効いてる間に終わるだろう。
そんな考えとは裏腹に地獄の時間が始まった。

おかしい。
麻酔は打って貰ったはずだ。
なのに先生がテープを貼り直す感触。肛門をクスコのようなもので広げ中を確認する感触。全てが鮮明にわかる。
「先生。麻酔ってどれぐらいで効き始めます?」
念のため先生に確認した。
5~10分だそうだ。

麻酔が効いてないのを察してくれ!そう願った。
だが現実は残酷だ。
先生はこのまま手術を始めようとしている。
俺にはわかる。
先生の気配が今まさに手術を始めようとしている。

「先生!痛いです!!」
何もされてないのにとりあえず叫んだ。
痛い?ふむふむ・・・と麻酔を追加してくれる。

その注射も痛いのだ。
患部周辺に直接麻酔をしてくれているのがわかる。
それがかなり痛い。
しかも麻酔を打ったらその箇所を指でぐりぐりしてくる。

「先生!?痛い痛い痛い!!」
麻酔を打ってぐりぐり

「痛い痛い!イッタァァーアアアアアアーーーー」
麻酔を打ってぐりぐり

「イタイ・・・イタイ・・・」
麻酔を打ってぐりぐり

「ア・・・・ァ・・・」
麻酔を打ってぐりぐり

あまりの痛みに体力が限界を迎え声も出せない程にぐったりとしてしまう。
先生はこれ幸いと「ハジメマス」と呟いた。
それに反応することはもうできなかった。

術後

手術が終わった。
先生がこれが取れたよって切り取った痔核を見せてくれた。
「可愛い。これが私の赤ちゃんね」
そう思ったが声に出す元気は無かった。

手術室からベッドまで移動させられ寝かされる。
点滴が終わるまで1時間ほど休むそうだ。

横になってる間に体力も戻ってくる。
意識が鮮明になってくるのはいいが問題が起きた。

今すごくうんこしたい!

強烈な便意を感じていたが術後数分でそんなこと許されるのだろうか。
かなり悩んだ。
未だ朦朧とする頭で一生懸命に悩んだ。
「すみません!うんちしたいです!」
できるだけ恥を忍んではっきりした声でしっかりと伝えた。
「出ないから寝てて下さい」
きっぱりと断られた。

その後

帰りに処方箋を待つ間に麻酔が切れてきてかなりしんどかった。
親切に薬の説明をしてくれている薬剤師さんに殺意を覚えたのは人生で初めてだった。

バスの運転もこんな時に限っていつもより荒かった。
揺れるたびに冷や汗が吹き出す。
なにあの人気持ち悪い・・・。
絶対乗り合わせた人達は思っただろう。
それは本当に申し訳ない。

今はまだ横になっていても痛い。
ロキソニンが効いていてもオナラか便が貯まってくると激痛が走る。
もちろんトイレの後のじくじくとした痛みが離れない。
女性用ナプキンを交換したり座薬を入れる時なんかはプライドが崩れさる。

日本人は3人に1人は痔になるそうだ。
いぼ痔の原因になる痔核も一つではないので再発の恐れもある。
ネタにされやすい病気でもあるから簡単に考えてる人も多いと思う。
虫垂炎を一晩耐えてそのまま緊急手術したり、心臓を患っていて突然死ぬかもしれなかったりとそこそこ経験している俺だけど痔だけはこれっきりにして欲しいと思うぐらいだ。
普段からの予防は難しいかもしれないが食物繊維を取ったり十分な睡眠を心掛けて欲しい。
みんなおしりは大事にしてね。メルファリアより愛を込めて。

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