初めてのネトゲ、オフ会の話
皆さんの初めてのネトゲは何だったでしょうか?
世代的にROが多いのかな?僕が初めてインストールしたゲームはTales Weaverでした。
人生では色々な事件が何度も起こる。
古今東西、そんな事件はネットもリアルも女性がきっかけってお話です。
インストール
当時の俺は10代後半。
友人の家に遊びに行った時に勧められたのがTWだ。
PCではハンゲームで麻雀ぐらいしかやったことのなかった俺にはとても新鮮で魅力的なゲームに見えた。
家に帰り、すぐにインストールを行う。俺の生まれた田舎では光回線がまだ通っていなかったのでADSL回線で必死にダウンロードを行った。
ゲーム内で知り合った沢山の人と関係を築いていく。これがたまらなく楽しい。
俺のネトゲ生活はこの時から始まった。
ネトゲ
リアルの友人に誘われて始めたのもあって、ゲーム内でもすぐに知り合いは増えていった。
君の最寄り駅から家帰るまでの間にファミマあるやろ?あ、ローソンの方が家からは近いかーと適当に言ったら偶然当たってしまったらしく、ネトスト(俺)に恐怖してキャラデリしてまった自称キャバ嬢のフレンド。
狩りに誘ったらちょっと待っててーと返事をしておきながら、いい子に待ってる俺を忘れて他の人とダンジョンへ行ってしまう相方。
そんな楽しいゲームフレンド達の中に「ちあり」がいた。
初めてのオフ会
ネトゲに入り浸る毎日。
ちありはある日、富山まで遊びに行っていい?と聞いてきた。
ネトゲで知り合った人と会ったことはなかったが、掲示板のオフ会は何度か経験したことがあったので特に抵抗もなく承諾した。
当時はまだVCしながらゲームをする文化もない時代。
会う約束をして待ち合わせのために電話番号を交換する。
テストも兼ねて一度通話してみる。
もしもし・・・?
携帯のスピーカーから女性の声がした。
会いたいと言ってくれたネトゲ友達は女性プレイヤーだった。
若き日の俺がワンナイトの期待で胸を含ませたのは言うまでもないだろう。
免許を取って間もない俺が駅に車で到着した。
ちありは先に待っていたようで、約束の時間丁度に通話をかけてきた。
今駅の南口出たところなんだけど
車の運転席から駅を見渡すが見つけられない。
見つけやすいように大きく手を振ってもらった。
見つけた・・・!
まさかネトゲで知り合った女の子と待ち合わせをしていたはずが七福神様と出会うことになるとは思ってもなかった!
見つけた。そっち行くからちょっと待ってて
俺はそう伝えて電話を切り、携帯電話をポケットのにしまう前に友達にメールを打っておいた。
「30分後に迎えに行くから出てこい。」
車を降り、どんな会話をしようかを考えながら駅まで歩く。
失礼がないように気を付けなきゃね。
なにせ相手はあの有名な布袋様なんだから。
生贄
ひろしは中1の時に転校して来て以来のオタク友達だ。
幼少の頃から俺の無茶振りを何度も答えてくれているひろしは俺が出てこいと言えば出てきてくれる本当に友達思いな幼馴染だ。
布袋様と友達も呼ぶからみんなで遊ぼうね!と話をしながら車を運転する。
ひろしは家の前で待っていてくれた。
モテたことのない親愛なる友よ。今日は俺がお前のために女性を紹介してやるからな!あ、七福神様だから女神様か!
俺もなんだかんだで友達思いなのだ。
山と田んぼと海しかない富山県を満喫して頂くために3人でドライブを楽しむ。
日も暮れ始めて夕食を済ませる。
そろそろ切り出さなければならない。
この県外からやってきた福徳をもたらす神様は、本日は富山にお泊りになるのだ。
食事を済ませ、ちありが席を外している間にひろしに話しかける。
いいか?ひろし。
今日ちありは泊まりのつもりで来ているが俺の家に泊めるつもりはない。
お前にこのまま俺の車を貸してやろう。
俺の言ってることはわかるよな・・・?
ひろしは車の鍵を受け取り、ゆっくりを頷きながらわかったと答えた。
とっておきの女神様を紹介したんだ。飯代ぐらいは出してくれるだろう。
俺は頑張れと言い残し店を出た。
友人にポンと車を貸してやれるぐらいには俺は友達思いなのだ。
ぐっどらっく
翌日の昼。
ひろしから昼飯一緒に食う?とメールが来たが無視して二度寝した。
次に夜に起きた時にはいつの間にか車が帰ってきていた。
東京
その後もひろしの関係は良好だったと思う。
同じ東京の専門学校に入学し、寮も同室にしてもらった。
珍しくひろしから今から帰るけど家いる?とメールが来る。
風呂か?米か?ちょっとめんどくさいと思いながら居るとだけ返事を返した。
ガチャッ
古い木造アパートの玄関扉が開く。
キッチンで米を炊こうとしていた俺は振り向き、そして目を疑った。
多分二度見はしたと思う。
玄関には先に入ってきて靴を脱ぎかけてるひろしと
ちありがいた。
え?何?付き合ってんの?
あの時、友人も自分から話そうとはしなかったから俺も興味がなくて翌々日ぐらいにはすっかり忘れてしまっていたぐらいだ。
まさか関係が続いていたとは・・・
困惑する俺を尻目に2人は照れくさそうに笑っていた。
俺の気分はアンハッピーだった。
地元
専門学校生活を終わりを迎え、俺とひろしは富山に帰っていた。
地元で仕事を見つけ、お互いに実家で夢のこどおじ部屋生活と言うやつだ。
昔と同じ生活。と言うには一つ変わったことがある。
七福神:布袋<ちあり>が富山に引っ越してきたのだ。
地元の友達で集まって遊ぶ時はセットで呼ぶことも何度かあった。
ひろしとちあり。俺と他の幼馴染の数人でカラオケに行った時だ。
ねぇ~ひろし~甘いもの食べたぁ~い
歌う曲が途切れ、休憩がてら雑談が始まりそうな時、ちありが突然ひろしに言った。
想像して欲しい。布袋様が甘えるような声で彼氏に甘いものを所望しているのだ。
俺達は吹き出すのを必死に堪えながらトイレに走った。
爆笑で息が吸えなくなり危うく揃って窒息するところだった。
俺たちがトイレで死にかけてる時、1人だけ笑ってない奴がいたんだ。
TSUTAYA
かつやはひろしと同じく俺のオタク友達だ。
KeyやLeafを好んだ俺とは少し違い、シスプリが大好きだった。
女の子に兄様と呼ばれたいと言っていたが実の妹からは兄ちゃんと呼ばれていた。
かつやはひろしと仲が良く、2人でもよく遊んでいた。
俺が色んな人と広く遊ぶのが好きだったのに対して、2人はいつも一緒だった。親友ってこういうのを言うんだろうと思っていた。
前述のカラオケに一緒に行った友人と外食していた時だ。
かつやのことで話があるんだけど・・・
口を開くのすら苦痛な様子で気まずそうに語り始める。
こいつのこんな顔は見たことがない。嫌な予感がした。
「かつやが・・・ひろしの彼女と一緒にいるの見たんだよ」
え?ちあり?ひろしも近くおったんじゃない?
「絶対2人だった。TSUTAYAの駐車場で・・・・その、キスしてるの見た」
は?キス?いやいや流石に信じられんってw
「めっちゃキスしてた。絶対べろちゅーしてた。かなりのべろちゅー」
まじかwwwwww
何故かこの世の終わりだとでも言うほどに落ち込む友人。
その表情はひろしの心中を察したのか、かつやの不貞を嘆いたのか。
布袋様のべろちゅーシーンを想像してしまった俺は胃のものが込み上がってくるのを必死に抑え込みながら、泣きそうなぐらいに落ち込む友人に忘れようとアドバイスすることが精一杯だった。
落ち込む友人に何もしてやれない非力な俺は、ここにいない他の友人達にメールを送ることしかできなかった。
かつやがひろしの彼女とTSUTAYAでべろちゅー
携帯の一斉送信機能をメアド変えました以外で使うことになるとはな。
後日談
その件から俺たちは自然と疎遠になった。
嫌いになったわけじゃない。会えば話すし、用事があれば連絡もする。
ただ、みんな一斉に大人になったのだ。
ガキの頃知っている友達のNTR事件で大人にならざるを得なかった。
気づけばひろしとかつやも一緒にいるのを見かけなくなった。
多分、どこかで浮気がバレたんだろう。
いつまでも隠しておけるほど田舎は広くない。
福徳をもたらすはずだった布袋様は俺たちの小さな友情を壊して消え去ったのだ。
かつやはその後、他の女性と結婚した。
結婚式にはべろちゅーを目撃した友人と俺だけが友人として参加した。
ひろしは今でも1人で実家暮らしをしている。
仕事が終わったらパチンコに行くのが唯一の趣味になっているようだ。
人間、生きていれば恋をするものだ。
好きになる相手は選べないのかもしれない。
ただ、愛の言葉を口にする時は他の誰かの幸せを奪うこともあるってことを忘れないで欲しい。
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