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俺の相棒

2011年 秋
梅雨の雨が降る日 親父が一台の車を買ってきた。オープンカーらしい布製の屋根に、落ち着いた深緑のボディ 丸っこいデザインはおたまじゃくしのようでとても印象的だった。そこで僕は「何て車?」と尋ねたら、親父は笑顔で
「マツダロードスター」
と言った。
これが僕と8年後の僕の相棒との出会いだった。

NBというらしい型式のその車は、中古車ディーラーで格安で売られていた、それを親父がさらに値引きしてもらい買ってきた。
買ってきたばかりの状態は本当にひどく、エンジンは吹けない 幌は破けてボロボロ 内装もシートの革が刷れてビリビリ オーディオは何も聞こえない
何度も息継ぎを起こしながらなんとか走っている姿は、まるで捨てられた犬のようでとても可哀想に見えた。

そんな中親父が一言
「これ一緒に直すぞ」 と。
当時、僕は中学3年生で車に興味はあったが、知識はまるでなくてタイヤ交換の仕方も知らないレベルだった。
でも、その車の持つ不思議な魅力に惹かれ考えるよりも前に
「当たり前だろ親父ぃ!!」
と言っていた。
これには自分も驚いたけど、不思議と当たり前だろって言葉がしっくり来た。
そこから少しずつ親父に教えてもらいながら、コツコツと直していって2012年の夏頃にはとっても元気に走るようになっていた。

ひとまずしっかり走るようになってひと安心した我々車バカ親子(このころには僕はすでに車好きになっていました)はロードスター改造計画を立て、より速く かっこよく走れるようにさまざまな手を加えていった。

エンジン&ミッション載せ換え ダウンサスペンションを車高調整式サスペンションに交換 マフラー交換 etc…
自分達で出来ない事は、プロのショップさんに頼むこともあったが、基本的に出来る作業は親子で行った。
部品を交換すればそれに応えて動きが変わるのが分かる楽しさがより一層僕を車に引き込んでいった。

親父に乗せてもらってツーリングも沢山行った
1台で楽しむのも良いが、数台で色々な場所に行くのはワクワクするし、そこでしか聞けない談義などが開かれていてとても楽しい。1台の車が大きな人の輪を作ってくれたみたいで「車好きで良かった」と思えた瞬間だった。

このころから、「自分で運転してみたい」
と思うようになり、高校卒業と共に運転免許を取得!!
しかし大学は遠方になるので、しばらく乗れなくなるなぁと思っていたら、親父から
「これお前にやるよ、大学合格祝い」
と一言。
そんな事は思ってもいなかったのでビックリすると同時に、嬉しさと、沢山の思い出がつまったこの一台を潰すわけにいかない
という責任感が湧いてきた。
「大事に乗るからな!」
こう親父に返すと車のキーを預かった。
親父の相棒が、僕の相棒になった瞬間だった。

それが3年前
今では外装もガラリと変わり、慣れなかったシフト操作もスムーズに出来るようになったし、サーキットでドリフトをやってみたり、相棒というより愛棒と書いた方がしっくりくるほど思い出が詰まっている。


この車を通じで沢山の人と出会った、同じハッシュタグで投稿しているYUH(@YUH_7929)さんもその一人で、僕の相棒をめちゃかっこよく描いてくださった。


車を好きになっていなければ絶対に出会っていなかったと思う人も大勢いる。

そろそろ走行距離が30万キロになろうとしているのに、トラブルも一切起こさず走ってくれている事に感謝し、日頃のメンテナンスを欠かさずもっと大事にしてあげたいと思う。
きっとこの車じゃなかったら、僕は車の魅力に気づけなかったと思う。

これからもよろしくな相棒!!!!!

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