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【著作権フリーのコント】ご自由にお使いください。その31「マニュアル」

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コント「マニュアル」
矢島→ボケ役。バイトの店長。
野村→ツッコミ役。新人バイト。

野村:本日からバイトで入ります、野村です。
矢島:店長の矢島です。レストランで働くのは初めて?
野村:そうですね、分からないことだらけで。
矢島:大丈夫大丈夫、どこの世界にもマニュアルがあるから、まずはそれを覚えてください。
野村:はい!
矢島:あ、ちょっと待って…(振り返って)1番テーブルさんお願いします!(野村の方を向き直して)それで、まずは接客の五大用語…
野村:…あれ?
矢島:どうしたの?
野村:1番テーブル誰も座ってないですけど。
矢島:あぁ。これね、隠語なんだ。
野村:隠語?
矢島:うちのレストランは、1時間に1回トイレ清掃をするんだけど、飲食店で「トイレの掃除お願いします!」とは言えないでしょ?
野村:そうですね。
矢島:だから、トイレの掃除をしてほしい時は「1番テーブルさんお願いします」って言うようにしてるんだ。
野村:なるほど…。じゃあ、実際に1番テーブルに人がいて呼ばれた時は、何て言うんですか?
矢島:その時は「2番テーブルさんお願いします!」って言うんだよ。
野村:ややこしくないですか!?
矢島:まぁ1番使っちゃってるから、仕方ないよね。
野村:じゃあ全部のテーブル、1個ずつズラして言ってるんですか?
矢島:まぁそうなるね。
野村:2番の時は3番、3番の時は4番っていうんですか?
矢島:そうだね。いいねぇ、飲み込み早いね!ホントに未経験?
野村:何疑ってるんですか?ていうか経験者でも、そんなマニュアルで働いてる人いないですから!
矢島:そうかなぁ。
野村:大体、覚えるのめちゃくちゃ大変じゃないですか!
矢島:でも、うち個人のレストランだし、そんな大きくないから8番テーブルしかないしさ。
野村:じゃあ8番テーブルの時は…
矢島:あ、ちょっと待って…(上手に移動する)どうしたの、ここで突っ立って。バカ、あれはトイレ掃除って意味だろ?早く行ってこいよ!
野村:店員にも伝わってないじゃん!もう辞めろよこのマニュアル、非効率だよ!
矢島:で、何だっけ?
野村:ああ、8番テーブルの時は「9番テーブルさんお願いします!」って言うんですか?
矢島:あぁ、9番テーブルには別の隠語を振り分けちゃってるんだよね。
野村:いつ使うんですか?
矢島:強盗が来た時に使うんだよ。
野村:そんな余裕あります!?命狙われてるんですよ?
矢島:だから9番なんだよ。緊急事態の「急」と数字の9がかかってるんだ。面白いだろ?
野村:全然ですよ!クソつまんないじゃないですか!?
矢島:だから8番テーブルに割り当てられる数字がないから、事実上、欠番なんだ。
野村:いやバカだなぁ!8番テーブルには案内できないってことですか!?
矢島:そうなるね。だから、あそこは基本的に賄いを食べるスペースになってるよ。
野村:いやバックヤードで食べましょうよ!地元の中華料理屋じゃないんだから!もしくは10番テーブルって言うとか!
矢島:バカ、やめろ!(口をふさごうとする)そんな軽々しく口にするな!
野村:…え?これも何かの隠語なんですか?
矢島:できれば口にもしたくないんだが…?
野村:そんな、ヴォルデモードみたいな隠語があるんですか?
矢島:あぁ…それほど恐ろしいことだ。
野村:…一体、どんな意味があるんですか?教えてください!
矢島:店の近くに…ガストができたという意味だ。
野村:いや、恐ろしいけど!!個人経営の店にとっては脅威だけど!!
矢島:地元の商店街がイオンに潰されるのと一緒じゃないか!
野村:そうなんですけど…それ店全体に伝える意味あります!?バックヤードで伝えれば良くないですか?
矢島:やめろ、それ以上言うな…。俺に10番テーブルのことを想像させるんじゃない!
野村:大体、そんなの隠語として用意してなくていいでしょ?
矢島:あーーーーー!!(突然両手を上げて叫ぶ)
野村:何ですか急に!!
矢島:9番テーブルお願いしまーす!!
野村:いや強盗きてたんかい!(両手を上げる)

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