【著作権フリーのコント】ご自由にお使いください。その13「反抗期」

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コント「反抗期」

矢島→父親。
野村→息子。

（矢島板付き、椅子に座っている）
矢島：（時計をちらちら見ながら野村を待っている）
野村：（無言で上手から入ってくる）
矢島：遅かったじゃないか。こんな時間までどこに行ってたんだ。
野村：（無視して自分の部屋に行こうとする）
矢島：おい、どこ行くんだ？話はまだ終わってないぞ。
野村：…うるせぇよ。
矢島：…今なんて言った？
野村：仕事で家にほとんどいないくせに、こういう時だけ父親ヅラすんな。
矢島：なんだ、その反抗的な態度は？
野村：（立ち去ろうとする）
矢島：ちょっと待ちなさい！（野村の手をつかむ）
野村：放せよ…。
矢島：いいからここに座って話を聞くんだ。（椅子に座らせようとする）
野村：うるせぇ放せよクソ親父！
矢島：…ベタァァァァァァァァ！！
野村：…は？
矢島：ベタすぎるぞお前！そんなベタな反抗期でいいと思ってんのか！？
野村：何で怒られてんの俺！？
矢島：お前も中学生だし、こういう時期がくるだろうと覚悟していたけども…あまりにもひねりがなさすぎるぞ！
野村：ひねりってなんだよ！反抗期にベタもひねりもいらねぇだろ！
矢島：出た出たそのスタンス！みんなもやってるから俺も的な、一番人として魅力がないやつだ！
野村：何だよその言い方！
矢島：だってそうじゃん！今もだよ？クソ親父とかうるせぇとか、汚い言葉使っときゃ反抗期っぽくなれるって思ってるとこ、やり尽くされてるパターンだからね？
野村：パターンって何だよ！意味わかんねぇこと言ってんじゃねぇぞ？
矢島：何が意味わかんないんだよ？お前だって今言われて、ちょっと恥ずかしくなってんだろ？
野村：は？
矢島：このパターンの反抗期が、全国の何百万という家庭で行われてるんだぞ？親の敷いたレールには乗りたくない、俺は俺でいたい！と思っている君たちは、揃いも揃って、ティーンの手垢がべったりついた反抗期のレールに乗り換えるんだ！矛盾してないか！？
野村：何の話だよ！レールとか、手垢とか、反抗期に怒る親が使うセリフかよ。
矢島：あのさ、いつからこれやろうと思ってたの？
野村：は？
矢島：いつから、こういう言葉遣いで親父に反抗しようって思ってたの？
野村：そんなに反抗期の裏側訊く！？
矢島：お願い、教えて！あ、もしかして先週さ、朝食で納豆に醤油かけたくてさ、お前に「しょうゆ取ってくれ」って言ったじゃん？で、そん時無視したじゃん？そっから反抗期の伏線を張ってたわけ？
野村：伏線って何だよ！
矢島：あれは伏線だったのか？って訊いてんの！
野村：そんなの俺に言ってるなんて知らなかったよ。
矢島：え！？じゃあ、ただ聞こえなかっただけ？
野村：そうだよ！
矢島：…つまんねぇぇぇぇぇ！！
野村：面白がるんじゃねぇよ！
矢島：何だよそれ！だったら反抗期の伏線だったほうが、よっぽど面白かったよ！
野村：面白くなくていいんだよ反抗期は！大体父さんは…
矢島：親父って呼べよ！！何もう反抗期の感じから一歩引いてんだよ。手ぬるいんだよ！
野村：だから何で怒られてんの俺！？
矢島：俺が反抗期についてガンガン訊いてきて、それに対して「あれ、なんかちょっと違うな」って思ったんだろ？思ったほどの手応えじゃないからいま辞めたんだろ？
野村：いや、そうだけど！冷静に分析しないでよ、恥ずかしいから。
矢島：何恥ずかしがってんだお前！恥ずかしいのは俺の方だよ！こんなベタな反抗期のレールに乗っちゃって…育て方を間違えたよ！
野村：そこまでなの！？
矢島：なんの前触れもなく家を1週間空けるとか！急に学校の成績が悪くなるとか！そういうの一切なく、上辺だけこすって。お前に反抗期の才能はない！
野村：なくていいわ！いい加減にしろよさっきから！もうこんな家出てってやるよ！
矢島：ま〜たベタじゃん！言い争った末に家出るとか、まじお前…コボちゃんとかで爆笑できるタイプ？
野村：何の話してんだよ！
矢島：そこまでベタだと、もう笑っちゃうよね。あ、お前家出した先で、悪い友達に酒とかタバコとか勧められるけど、それに手出したらベタすぎるからね？めちゃくちゃつまんないし、悪い友達も一緒にすべってるからね？
野村：すべってるって何だよ！！
矢島：ただカラダ痛めつてすべるって最悪だよ？まじカッコ悪いよ？あと、反抗期ってモテないからね？お前みたいにヌルくて、いけてない奴の反抗期、誰の心も動かないから…
野村：もうやめてよぉぉぉぉ！！…じゃあどうすれば良かったんだよぉぉぉ…。
矢島：もう泣くのもベタだよ？会心する片鱗をみせるくだりとかやり尽くされてる…
野村：逃げ道をくれよ！！どんだけ追い詰めたら気が済むんだよ！
矢島：追い詰めてねえって。向いてないんだってお前、反抗期。もう一回普通に玄関から入ってこいって。今までの見なかったことにしてやるから。ほれ。
野村：（矢島に促されるまま上手にはけ、玄関から入ってくる）…ただいまー。
矢島：遅かったじゃないか。こんな時間まで何をしていたんだ。
野村：友達とゲーセンに行ってたんだ。
矢島：そっか、あんまり遊びすぎず、勉強もするんだぞ。
野村：はーい。（自分の部屋に向かおうとする）
矢島：んー…ベタだな。
野村：どうすりゃいいんだよ！！！