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【著作権フリーのコント】ご自由にお使いください。その30「推理」

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コント「推理」
矢島→ボケ役。探偵。
野村→ツッコミ役。パーティーに招かれた客。

(暗転2人板付き。矢島下手立ち、野村上手立ち)
※少し重々しいBGMを流す。
矢島:皆さんお集まりのようですね。では、早速本題へと参りましょう。今回、この館で起きた殺人事件の犯人が分かりました。
野村:本当ですか?刑事さん…一体、犯人は誰なんです!?
矢島:まず、今回殺された井戸塚正一さんは、館の主であり、この地域でも有名な資産家でした。皆さんは、その井戸塚さんからパーティーに呼ばれてここに集まった。そうですね、野村さん?
野村:はい、そうですが…。
矢島:検視の結果、井戸塚さんは青酸カリによる中毒死であることが分かりました。そして、その成分が、井戸塚さんが飲んだシャンパングラスから検出されました。グラスは、調理場から粉々になった状態で発見されました。おそらく証拠隠滅を図ったんでしょう。そして、そのシャンパンは…あなたが出したんですよね?越崎ミワさん。
野村:ま…まさか、お前が!?
矢島:あなたはここで働くようになってから、妻子持ちである井戸塚さんから必要に関係を迫られていた。もし関係を持たなければウチでは働かせない、とまで言われていたそうですね。
野村:井戸塚め…なんてひどいことを!
矢島:このままでは自分の身が危ない。そう思ったあなたは…彼を殺害した。違いますか?
野村:越崎さん…だからって、何も殺さなくったって…。
矢島:野村さん、私の話を最後まで聞いてください。犯人は1人だとは言っていませんよ。
野村:え?共犯者がいるということですか!?
矢島:はい。確かに実行犯は越崎さんですが、殺害計画を企てたのは、別の人物です。…ですよね、井戸塚正美さん。
野村:まさか…奥様が!?
矢島:あなたは越崎さんから、度々正一さんの誘いがあったと相談を受けていた。長年連れ添った夫から裏切られたと思ったあなたは、越崎さんに青酸カリで殺すよう仕向けたんです。
野村:奥さん…確かに許せなかったとは思いますが…だからって…
矢島:野村さん、私の話を最後まで聞いてください。犯人はこれで終わりとは言ってませんよ。
野村:さらに共犯者がいるんですか!?
矢島:この計画を手伝うために、毒を持った現場から井戸塚さんを遠ざけたのは…執事の村上さん、あなたですね。
野村:村上さんまで!?
矢島:あなたは病気の娘さんのために、井戸塚さんから金を借りていた。しかし返す目途が立たず、仕方なく殺害することに加担した。違いますか?
野村:だからって、殺さ…。
矢島:野村さん、私の話を最後まで聞いてください。犯人はこれで終わりとは言ってませんよ。
野村:まだ共犯者がいるの!?
矢島:井戸塚さんが毒入りのシャンパンを飲むよう席へエスコートしたのは…息子の井戸塚正志さん、あなたですね?
野村:息子さんまで!?
矢島:あなたは庭にある桜の木を伐ってしまった。しかし、お父様に本当のことが言えず、殺害に加担した。違いますか?
野村:いやワシントンか!正直に言ったあいつを見習えよ!それが殺害の理由!?
矢島:そして飲んだシャンパンのグラスを砕いて証拠隠滅を図ったのは、あなたですね。曽根誠さん。
野村:いや犯人多くない!?1人を殺すために、どんだけの人が関わってんの?
矢島:あなたは子どもの頃、井戸塚さんに貸したゲームを返してもらえなかった。それを恨みに殺害に加担したんですね?
野村:動機がしょぼくなってきてんな!桜の木といいゲームといい。そんな動機で殺そうとすんな!
矢島:そしてこの計画が完全犯罪になるように、アリバイ工作に協力したのが、あなたと、あなたと、あなたと、あなたと、あなたですね?
野村:…いや俺以外全員犯人だったよ!!そんなことある!?
矢島:あなた方は井戸塚さんのSNSでのリア充っぷりが許せなくて、殺害に加担したんですね?
野村:許してやれよ!いいだろ別にSNSで何を呟こうが!
矢島:以上が事件の全容です。野村さん、あなただけが犯人ではありません。残念ながら。
野村:何が「残念ながら」なんだよ!逆に犯人じゃないのが悪いみたいな言い方じゃねぇか!
矢島:いえいえ、そんなことはありません!しかし、これだけ大掛かりな殺害計画に、現場でただ一人ハブられているという状況は…何ていうか…ねぇ。
野村:俺が嫌われてるって言いたそうだな!
矢島:ねぇ…実際どうなんですか、皆さん。…あ、野村さんがいたことに今気づいた?
野村:俺どんだけ影薄いんだよ!仮にもパーティー客で呼ばれてるんだぞ!?
矢島:でも良かったじゃないですか。もしあなたも井戸塚さんに何らかの恨みを持っていて、殺害計画の協力を迫られたら、殺人犯になっていたかもしれないんですよ?
野村:いや…実はめちゃくちゃ恨んでましたよ。井戸塚は、金のためなら何でもする男でした。ある日、私の父が経営していた会社を利用し、詐欺まがいのことをして莫大な利益を得ていました。しかし、その見返りをほとんど父に支払うこともせず、警察沙汰になると、すべての罪を父にかぶせて井戸塚はいなくなりました。結果…父の会社は倒産したんです。それ以来、こいつを何度殺そうと思ったか…。
矢島:(周りを見渡して)…あれ?皆さんの殺害の動機よりも、一番恨みが強くないですか?
野村:だから、井戸塚が殺された時は当然の報いだと思いましたし、皆さんが手を下してくれて、正直嬉しかったです。
矢島:何か…ずるくないですか?
野村:は?
矢島:結局、一番得してるのあなたじゃないですか?
野村:いや、刑事さん、何を言ってるんですか?
矢島:いや、ずるいなぁ!何か…この後みんな裁かれるのに、あなただけ何もないの…ずるいなぁ!
野村:ずるくねぇわ!何で一個も悪いことしてないのに、そんなこと言われないといけないんですか!
矢島:でも逆にですよ?声掛けられてたら、あなたも殺害に加担してましたよね?
野村:いや…それは…。
矢島:あぁ、もうこれはやったと一緒だな!
野村:一緒じゃねぇよ!
矢島:どうします?でも抜け駆けは皆さん納得しないでしょ?
野村:しろ!誘わなかったことを後悔しろ、じゃあ!!
矢島:あ、そしたら多数決取りましょうか。野村さんも犯人でいいっていう人…
野村:全員あげるに決まってんだろ!道連れにすんじゃねぇよ!
矢島:とりあえず…罪の内容は後で考えるんで、署までご同行願います。
野村:同調圧力こわすぎ~~~~!!

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