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誰もが「失敗から学べ」と口にするが「失敗の仕方」は教えてくれない。

オシエルズの矢島です。
ありがたい事に、学校での講演の仕事が増えています。昨年の書籍が売れていることと、今年のNHKあさイチの出演が決め手となって、活動が浸透しているなと感じます。
講演では他の先生(講師)の方と一緒になる機会が多く、その度に学びがあります。ただ、一つ気づいたことがあるとすれば、ほとんどの人が「失敗することはいいことだ」「失敗を恐れずチャレンジしよう」「失敗から学ぼう」と口にするのに対して、「じゃあどうすれば失敗できるのか?」ということに触れないことでした。
失礼ながら、高校生だって失敗から学べることが多いなんて、大人が頭ごなしに言わなくたって分かってます。「失敗を恐れずチャレンジしたい」と頭では分かっているけど、それができないから困ってるんです。
テレビ番組「しくじり先生」が流行ってからは、学校の講演でも「講師自身のしくじり(失敗談)を話させる」タイプのものが増えてきました。成功体験ではなく失敗談を話すことで、親近感を持ってもらいたいという目的もあるんでしょう。
ただ、身もふたもない話ですが、結局それって他人の失敗ですよね。感情移入や追体験にも限界がある。所詮はイメージの世界で頭での理解に終わってしまう。「へぇ、この人もこういう失敗したんだ」と頭で理解できても、だから失敗を恐れずチャレンジしようとはなりづらい。
もし失敗談を共有して、それが即子どもの行動パターンに反映されたなら、学校の先生方がこんなにキャリア教育やコミュニケーション教育に苦戦するわけがない。
つまり、大事なことは「失敗の大切さを伝えること」でも「自身の失敗をオープンにすること」でもなく、「相手に失敗の機会を与えること」なのです。
とはいっても、失敗をすることは恐いし、何事もチャレンジには勇気がいる。それを後押しするのが「心理的安全性」です。誰が何を言っても大丈夫な雰囲気、そして、誰が失敗しても受け入れられて、それに向けたチャレンジを称えられる場づくりをすることが、ファシリテーター(先生・講師)の役割なのです。
僕は日本で数少ない「笑いと心理的安全性」のスペシャリストです。僕なら確実に笑いの力で心理的安全性を生み出すことができます。失敗を誘発するコミュニケーションゲームを「ただやる」のではなく、そこに向けたアイスブレークを自然な流れで行うことができます。
さらに、用意したゲームやプログラムをこなすことが目的ではなく、「あ、この空気ならもう次の失敗ができるな」と思った時に内容を進めていきます。
僕がワークの中でいつも考えているのは、「頭から身体、身体から心、心から頭」という順番で、3つのステップで進めることです。
最初は失敗を怖がった時の身体の使い方を理解させ、それを意識的に変えさせるようにします。次に自分の失敗をオープンにし、また相手の失敗も受け入れてオープンしやすくさせます。最後に、失敗を恐れずたくさんのアイデアを生み出させ、その取捨選択や発展(作品の完成)までをフォローします。
具体的なゲームは数知れませんので、ここでは割愛しますが、僕が実施するワークは簡単なコミュニケーションゲームが多く、その中で楽しく失敗できることを学び、またオープンにする大切さを理解することができます。
そして参加者は、「失敗するためには安心感が必要なんだ」と気づきます。相手に失敗を恐れずチャレンジしてもらうために、まず自分自身が失敗に寛容でいようと思うようになります。「失敗の仕方」というとどうも失敗する側の責任によりがちですが、本当は、失敗を歓迎する場づくりの仕方を考えなくてはいけません。つまり、失敗させる側のスタンスが重要であり、この人間関係が時に逆転するなど、有機的に関わっていることが理想だと思います。
最後に、日本で1人でも多くの人が、失敗の重要性を説くのではなく、具体的に失敗する方法を身体で理解させるようになってほしいと、僕は心から願っています。

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