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日常ですぐ使える笑いの技術【第1回】ボケ編①まず、ウソや誇張ができる人になろう

基本的な笑いの仕組み
「フリ・ボケ・ツッコミ」

笑いの仕組みには、基本的に3つの流れがあります。話題提起を行う「フリ」、話題を脱線させ、間違った概念を提示する「ボケ」、ボケによる脱線を修正し、正しい概念を提示して話題を本線に戻す「ツッコミ」です。状況によっては、フリがなく、唐突にボケが提示されることもあります。お笑いのネタに置き換えた場合、こうなります。

A:このお店では、何がオススメなんですか?(フリ)
B:はい、ハンバーグです。
A:そうですか。じゃあ、エビグラタンください。(ボケ)
B:いや、そこはハンバーグ頼めよ!(ツッコミ)

Aがお店のオススメを尋ねていますが、これがこのネタにおける話題(フリ)になっています。これに対し、Bがオススメといった「ハンバーグ」を頼まず、それとは異なるメニューをAが頼んでいます。普通オススメを尋ねたわけですから、常識的には、そのメニューを頼むか、他のオススメを尋ねるかのいずれかが、流れとして妥当だと考えられます。

しかし、Aはそのどちらでもなく、「オススメで言われなかったメニューをさらっと頼んだ」ワケです。これが話題の脱線(ボケ)です。これに対し、Bが「オススメを尋ねたのだから、そのメニューを頼む流れが妥当ではないか」という趣旨の言葉で、話題の本線修正、および正しい概念の提示(ツッコミ)を行っています。
かなり堅苦しい書き方をしてしまいましたが、以上が基本的な笑いの仕組みです。

ボケについても色々書きましたが、要するに、ズレ(常識からの逸脱)を意図的に起こすことがボケであり、偶発的でなく、明確な笑いの発信者がいる状態です。「天然ボケ」とよくいわれるものは、本人がボケた意識がない、つまり意図的なものではないので、ボケとは分けて考えられるべきです。
 
意外に簡単なボケ方「ウソ・誇張」
お笑いをよく知らない方の多くは、ボケること自体がとても難しい、というイメージをお持ちだと思います。もちろん、ボケにはテクニカルなものも数多くありますが、それは次号で細かく紹介するとして、今回は、ボケの中でも初心者から始められる「ウソ」「誇張」の2つをご紹介します。

「ウソ」は文字通り、ウソをつくことです。対応するツッコミのフレーズは「ウソつけ!」「そんなわけねぇだろ!」などです。手始めに、自分の個人情報からウソをついてみましょう。

≪「ウソ」のボケ例≫
・名前でウソをつく「どうも、ジョニー・デップです」
・年齢でウソをつく「今年で10万25歳になります」
(「デーモン小暮かよ!」というツッコミが来そうですね)
・見た目でウソをつく「こう見えて身長が3mあります」

私が開催している「ユーモア・スキル養成講座」では、2人1組になって、ウソを言う人と、直後に「ウソつけ!」という人に分かれて、簡易的なボケ・ツッコミ体験をよく行っています。

ボケること、ツッコむことに慣れることができますので、ぜひご友人とやってみてください。ただし、ウソか本当か分からない微妙なウソは、相手を困惑させてしまう可能性があるので、思い切ったウソをつくようにしてください。

「ウソ」のボケがうまくいくようになってきたら、「誇張」にも挑戦してみましょう。「誇張」は「ウソ」に似ていますが、大きさや程度を誇張して表現することです。昔ながらの青果店で、店主が「はい、○○万円!」なんて言うのと同じことです。

≪「誇張」のボケ例≫
・人(部下)をホメるとき
「君、字がうまいね。パソコンにキミの字のフォントが欲しいぐらいだよ。」
(対応するツッコミ「そんな上手いですか!?」
「この前の資料、最高だった!表紙見ただけで企画が通るぐらい良かったよ!」
(対応するツッコミ「いや読んでないじゃないですか!」)
・美味しいものを食べたとき
「この味がするガムずっと噛んでたいわぁ~」
(対応するツッコミ「どんだけこの味好きなんだよ!」)
「うわー、もう病気になってもいいから毎日食べたい」
(対応するツッコミ「そこまでして食べたいのかよ!」)
・物の程度を大げさに表現するとき
「この資料コピーしといて。君に社運がかかってるぞ!」
(対応するツッコミ「いや、コピーごときで何言ってるんですか!」)
「備品の輪ゴムがなくなったから、とりあえず、マレーシアのプランテーション、買収しといて!」
(対応するツッコミ「いや、やりすぎでしょ!」)

誇張がボケとして優れているのは、人をホメたりする際に使えることです。上司に向けてはヨイショをするのに使えますし、部下に向けてはホメた流れで、砕けたコミュニケーションを展開するのに使えます。

近年、仕事以外では全くしゃべらない、飲み会に誘っても部下が断るなど、上司と部下の人間関係を問題にする職場が増えています。そのような中、笑いは上下関係に弾力性をもたらしてくれます。

つまり、「何でも言い合える関係」を構築するのに役立つのです。今まで人を積極的に笑わせたことがない人も、まず、楽な気持ちでウソをついたり、誇張してみたりしてはいかがでしょうか。

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