金もないのに電車に乗ったわたしは

バイトに行くため、急いで電車に乗った。
新宿三丁目までは定期券を買ってあって、その少し先まで行きたかったからだいぶ節約になる。

「あ、お金を下ろし忘れた。」
電車に乗ってから気付いた。その先の電車賃が足りない。やばい。
PASMOの残高は59円で、財布の中には14円。
どう考えても駅から出られない。

ここから出してここから出してここから出してここから出してここから出してここから出してここから出してここから出して

窓口に聞けばもしかしたら貸してくれるかもしれない、とネットには書いてあった。
クレジットカードならあるのだけど、クレジットカードで精算とか出来ないだろうか……。
運良く100円くらい落ちていないものか。


なんて考えながら爆睡し、到着まであと一駅。事態は好転せず。
早足で窓口まで行く。
「あのー、お金を下ろすのを忘れてしまいまして…」
「下ろしてきてください」
下ろすにしても地上まで上がりたくない。上がりたくないのだ。
「クレジットカードで精算とか…」
「現金のみです。下ろしてきてください」
食い気味に来た女性担当者に圧倒され、銀行まで走る走る。

5分ほど走って地上に出ると、目の前に青色の大きな銀行が構えている。
中には朝だというのに行列。間に合わないなとがっくり肩を落とした。
しかし、3分くらいでサクッと順番が回ってきた。

下ろしたぞ、200円!!!

惨めさと達成感でいっぱいになった私はもと来た道を走って戻り、窓口へ。
さっきまでの威圧感はもうなく、スパッと精算。
チャージではなく精算だったことに若干の疑問を感じている顔であったが、私は勝ったのだ。

もちろんバイトにも間に合った。

おしまいれーじ

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