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夢を見てきた

先日、念願の小山田壮平バンドツアー2024に行ってきました。
人生初のライブ、人生初のライブハウス。人生で一番好きな人に会いに行く。

当日、午前中からソワソワしてandymoriラストライブのDVDやSLS2014の映像を見たり。あと数時間で小山田壮平本人に会えるという事実に全く実感は湧かず。

物販の先行販売のため、開場時間の2時間ほど前に現地に到着。
生憎の天気で小雨が降っていましたが、幸いライブハウスは商店街のすぐ傍にあってそこまで困ることはありませんでした。

ライブハウス前の「本日のイベント:小山田壮平」を写真に撮っている方が他にもいたりして、今日ここに、自分と同じように彼のことを好きな人が集まるんだなぁって、不思議な気分に。

ライブまでの空き時間は非常に時間を持て余し、andymori、AL、小山田壮平の曲を流しながら近くのタワレコに行ったり商店街をウロウロしたり。

何はともあれいよいよ時間が近付いてきて、ライブハウス近辺に段々と人が集まり始めていました。お姉さんにお兄さん、おじさんにマダム、子連れに、外国人のカップルと思しき方まで。本当に幅広い層がいました。

僕の整理番号は大分若い方で、かなり早い段階で入場。ライブハウスは建物の5階にあって、運動不足が祟って商店街散策で既にバキバキの足に鞭を打ち必死で上り…。

ドリンク代を支払って、会場では前列に入ることに成功。ステージまではほんの2、3メートルほど。開演までの30分、緊張と疲労でガチガチになりながら待機。

長いような短いような30分。途中でスタッフさんが各機材の調整のためステージに出てきて、見慣れた小山田壮平のGibson CS-336をチューニングしている様子などを食い入るように見てました。

特に何をするでもなく待ち続けていましたが、どう過ごそうと時間は過ぎるもの。

気付けば開演時間になって、暗転したステージ上にはメンバーの影が……。

という訳で、セトリです。すべては覚えていなかったのでTwitterで他の人のものを参照しました。


セットリスト
1. スライディングギター
2. マジカルダンサー
3. サイン
4. 月光荘
5. 彼女のジャズマスター
6. Life Is Party
7. 16
8. 1984
9. 恋はマーブルの海へ
10. 投げKISSをあげるよ
11. スランプは底なし
12. 雨の散歩道
13. それは風のように
14. ゆうちゃん
15. 汽笛
16. 君に届かないメッセージ
17. 光
18. 革命
19. グロリアス軽トラ
20. 夕暮れのハイ
Encore
21. 時をかけるメロディー(弾き語り)
22. コナーラクへ
23. アルティッチョの夜


暗転した会場にぱっとライトが点いて、鳴り始める腹の底まで揺らすような大音量の陽気なメロディ。スライド奏法を使ったエレキギターの演奏に合わさるアコギの音色。

1曲目、スライディングギター。

目線の先、僅か数メートル先には(文字通り)夢にまで見た小山田壮平が歌う姿が。あとヒゲもじゃのヒロシの姿も。

この時の高揚感は忘れられません。未だに音源でスライディングギターを聴いても、あの眩いスポットライトと小山田壮平の表情、何度も映像で見たギターを弾く姿が浮かんでくる。

指細長くて綺麗だな……Tシャツの袖口から伸びる腕のフォルムが変わらず小山田壮平すぎる……首筋が良すぎる……瞳輝きすぎだろ……とか、色々と感想はあったんですけどなんというかこう、ほんとに夢見心地というか、ずっと夢を見てるような感覚なんですよね。画面の向こうの人間が自分のすぐ目の前にいるっていうのが、ほんとにキャラクターが飛び出してきたみたいな感じで。解像度が高すぎる小山田壮平の姿に脳がバグってました。

小山田壮平だ~~~~~ 小山田壮平………? ほんとに……? 小山田壮平だな………小山田壮平すぎる…………。という混乱した頭がずっとぐるぐるしてて、正直曲自体を全然ちゃんと聴けなかった気がします。

もう小山田壮平を見てると表情が緩みっぱなしで、ずっとなんとも言えないニヤけ顔をしていた気がします。なんとなく恥ずかしくて、ヒロシと交互に見たりしてました。

序盤から最新アルバムの曲目白押し。
アコギの曲が続いた後に、小山田壮平がついにいつものセミアコを担ぎ出してきた時はかなり気分が高まりました。

生で見るCS-336。映像に残っていないような2009年頃のライブハウスでも、後藤大樹が脱退を発表したあの2010年の日比谷野音でも、2011年の秋の楽園ツアーでも、2012年のSLSでも、2013年のFUNFUNFUNでも、2014年のひこうき雲と夏の音、SLS 2014の舞台、武道館ラストライブでも。常に小山田壮平と共にあった不動のメインギター。

あの音楽たちを奏でたギターが今目の前に。焼き付けねば、と思って、杢目までしっかり凝視。似合う。当たり前に。馴染み方がもう違う。サトシとピカチュウです。

聞き覚えしかないメロディから入ったLife Is Partyが来た時はもうオ"ッ"ッ"ッ"ッ"ってなってました。

16の後にMCが入って、ギターを担当してくれてる岡愛子さんとの付き合いが意外と長い、みたいな話が。「東京のどこどこで対バンをやったんだよね」「福岡でもやらなかった?」「あ、そうだっけ?福岡でもやったんだっけ」みたいな話に、今までは18年前に出会ったって言ってたんだけど、実際は14年前だとか12年前だとか。結構曖昧で、本当にとりとめのないゆる~い会話。

ギターの岡愛子さんも1984年生まれで、今回の前列三人はみんな1984年生まれでやらせてもらってる、攻めてるね。奈良くんは1994年生まれなんだよね。とかとか。生年月日の話からまぁ来るだろうとは思ったけど案の定の続く「1984」でウヒョ~~~!!って感じでした。夕暮れを思わせる照明、andymori時代の映像で見たことがある、後ろから沈んでいく太陽を思わせるライトが差す様子がメチャクチャに良かったです。

「スランプは底なし」は、少し暗めでヤケクソ気味な歌い方が見れて好き。
「雨の散歩道」は、当日の天気とリンクしてかなり感じるものがありました。

「光」のイントロももうブチ上がりました。というか基本的にandymori時代の曲はイントロで「!!!!!」ってなってた……。アルバム単位ではそこまで愛着ないんですが、「分かるかい? 砂に書いた文字も石に刻んだ名前も 波と風に消えてゆくから 今君の手に触れたいんだ」の一節は最初に聴いたときからかなり好き。

続く「革命」、かなりテッパンのナンバー。andymori後期からずっと歌っている気がするので、小山田壮平本人にとってもかなり思い入れの強い曲なんじゃないかと思っている。同じアルバム革命から、「Sunrise&Sunset」なんかもやってくれそうだなぁと思ってたので、そこらへんが聴けなかったのは非常に残念だけど……。

そして、「グロリアス軽トラ」。
はい、いやまぁ来るだろうと思ってたけど

♪グロリアス軽トラックで行こうぜ 田舎道ケアンズの空の下 ベニスの空の下~♪

高松の空の下!!!!!!!

歌い上げられる地元の名前には流石にフロアから歓声が。悔い、無し...………ッ!!ってなりました。少しおどけたような歌い方がまたね。もうね……。

あっという間に最後の曲、「夕暮れのハイ」。
素朴な情景描写とノスタルジーな雰囲気、優しい歌声。ソロ名義の小山田壮平の真骨頂のような曲だと思います。

「忘れちゃいないよ 素敵な夢を見た」「忘れちゃいないよ 君のまなざしを」「だからこうして今日も走っているでしょう」

この歌詞、もはやわざわざ説明するのも野暮な感じはありますけど。過去に色々あった小山田壮平だからこそ、こうして今も歌ってくれてありがとうという気持ちが本当に強い。

だからこうして今も走っているでしょう、すごく胸に残るフレーズ……。

最後の曲とは言いましたが、勿論アンコールはあります。むしろやってくれないと困る。手拍子の中、小山田壮平がひとりでステージへ。

最新アルバムから「時をかけるメロディー」。
静かな空気の中、スポットライトに照らされて小山田壮平がアコースティックギターを手に取ります。

「♪~光をつれていく 時代に殴られても」


「~……あなたに会えた輝きが 胸に残るうちは」


「時を越えていく 軽やかに舞いながら 誰かの…………♪」


「ちょっと待ってね違うね、なんか違うんだな~歌詞が違うんだよね………」

盛大に歌詞を間違えて、まさかの演奏中断。これには会場からも笑いが。

小山田壮平、andymori時代からまぁまぁ歌詞間違うので割と慣れっこな感じがあります。なんならラストライブの「Peace」とか、DVD化されてるものでも盛大なミスかましたりするし。(実際にここに書いた通りの歌詞間違いではなかったと思いますが、実際にこんな感じの流れで良い感じの雰囲気から突然引き戻されました)

「ごめんなさいもう一回!(笑) もう一回ね(笑)」

会場からは「頑張れーッ!」「頑張って~!」って声が飛んでました。小山田壮平本人もすごい恥ずかしそうに笑いながら、なんとか立て直してその後演奏を完遂。

続いて、メンバーも戻ってきて「コナーラクへ」。

小山田壮平が19歳の時に旅の中で出来た曲。相当昔に一度ラジオで公開されたことがあるらしいです。Youtubeでその時の音源をアップしている人がいて、それで知りました。小山田壮平も存在自体を忘れていたのを、Youtubeを見てて思い出した、とどこかで話していた記憶が。

「神様がいるのならばそれは僕の中」っていう詞を10代で書いてたの、すごすぎる。「砂利弾きながらコナーラクへ」「影連れながらコナーラクへ」というフレーズもかなり好き。

続く「アルティッチョの夜」で、1時間半のライブは終了。あれよあれよという間に終わってしまいました。

「幸せでした、ありがとう」と言いながら去っていってしまった。行かないで…………。

ガッツリ涙を流すことこそなかったけれど、半分以上の時間目をうるうるさせながら小山田壮平のことを眺めていた気がします。

香川という事で、MCでヒロシとうどんの話をしたりしていたんですけど(どのタイミングでやってたかは忘れた)、そのゆるい会話の雰囲気がandyそのもので、あぁ、同じだなぁって、そんな些細な事ですごく感動した……。

「みんなね、うどん食べたよね。僕は前乗りだったから昨日食べたんですけど……奈良くんがうどん屋さんをオススメしてくれて。〇〇ってところなんだけど、俺が行ったときは行列が凄かったから...…あの、〇〇?ってところに……ね、美味しかったですよ」

「ヒロシはどう?食べた?なんかその、カレーうどんがオススメだって話だったけど、食べたんだっけ」
「おれは……あの、白い衣装着てたから...……」
「あぁホント……」
「暑くて、冷たいうどんが、食べたかったから...…食べたかな。奈良くんと一緒に、いったんですけど、そう」
「あ、奈良くんはカレーうどん食べたの?」
「ハイ」
「その、服は大丈夫だった?」
「ハイ、あの……頑張りました」

みたいな話をしてました。本当にゆるゆるでした。グダグダと言ってもいい。食べ物の話題振られるヒロシが覚えありすぎてアツかったです。

ネット上にandymoriスタッフさんのブログみたいなのが残ってるんですけど、ライブの報告とかツアーでの移動とかの合間に、凄い頻度で食事するヒロシの記事が書かれてました。

小山田壮平、演奏してる時の立ち姿とかギターの弾き方とか、andymori時代から何も変わらないなぁって思う事もあるんですけど、やっぱりそれ以上に変わったものも多いのかなと感じました。

確かに刻まれた顔の皺とか、深みを増した歌声とか、改めて2010年の日比谷野音とか見ると、びっくりするくらい雰囲気が違う。あくまでも”今の小山田壮平”というか、"andymoriの小山田壮平"とはまた少し違った場所にいるのかなと感じました。まぁ、当然と言えば当然なんでしょうけれど。

同じ人だ、と実感する時もあれば、どうしようもなく別人のように見える時もやっぱりあります。

焦燥感、虚無感、無常観、破滅的な雰囲気。あの暗い瞳をした小山田壮平が、十数年の時を経て、ずいぶん変わったなぁと思います。同時にあの時のandymoriって、本当に奇跡だったんだなと。

あんまりずっとandymori時代のことを引きずって話し続けるのもよくないのかなとは思うんですけどね……。未だにあの頃の小山田壮平を求めてしまう、残酷で傲慢で身勝手な気持ちもどうしてもあります。

モンゴロイドブルース、ずっとグルーピー、僕がハクビシンだったら、Transit in Thailand、バグダッド、SAWASDEE、Weaponsとか……もう恐らく歌ってくれないであろう、そこらへんの大好きな曲達なんかも、もう一度聴いてみたい……。

生で聴きたい曲はまだまだ本当にいっぱいあったんですけど、もしもPeaceとかベンガルトラとかクレイジークレーマーとかすごい速さとか、今も歌ってくれそうなラインの大好きな曲たちも……もしも目の前で歌ってくれてたらそれはそれでもう、ぐっちゃぐちゃに泣いてた気がするので逆によかったかもしれません。

今回のライブ、始まる前から全然現実味がなくて、実際にライブ中も実感がなくて、終わってからも未だに白昼夢だったんじゃないかと疑っているくらい本当に夢まぼろしの類いの経験でした。素面の幻覚……。

こんなんあと三回くらいは行かないと現実のものとして受け止められません。また行きたいです。切実に。

憧れの人のライブ。人生初めてのライブ。すごく幸せな時間でした。終わった後もしばらく浮遊感の中でゆらゆらとしていました。辿り着いちゃおうかな……井の頭公園に………。


人生初めてのライブ感想、総括!

夢でした。



それでは、またいずれ。


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