『クレプトキング 月を見ていたかった兎』上演延期のお知らせ

『クレプトキング 月を見ていたかった兎』上演延期のお知らせ

2020年7月3日(金)~12日(日)に吉祥寺シアターで、上演予定でした本公演は、
コロナウイルスの感染状況や政府・東京都の方針等を受け、延期となりました。

楽しみにされていたお客様、大変申し訳ありません。

延期の時期については、来年2021年秋頃を予定しております。
詳細は、ENGの公式HP・Twitterにて、発表があると思いますので、そちらをご覧ください。

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以下は、今回の延期が決まって、心によぎったことなどを、
思いつくままに、とりとめなく、書かせて頂きます。

普段は、なるべく自分の思いはこっそり胸に閉まっておいて、
脚本以外は何も書かないようにすることで、
未知なるパワーをため込もうとしているのですが(笑)、
今日は気が向いたので、気が向かれる方は、お付き合いくださいませ。

7月頭の公演になりますと、稽古は5月末から6月頭には始まるものです。
今は、メインビジュアルのために、衣装デザインや、武器・小道具のデザインを進めつつ、その製作に入っておりました。

今回は衣装デザイン原案に、とある漫画家さんに入っていただいたり、
アプローチを変えてみました。
大変かっこいい、そしてグッとくるデザインを、描き上げて頂きました。

ただ、今回は不幸中の幸いとして、中止ではなく、延期です。
準備を早めに始められ、時間の貯金ができたと思うようにしております。

自分にとって、オリジナルの脚本の舞台を演出して、客席の皆様にお届けすることは、
20代頭から続けてきたライフワークであり、生き甲斐のひとつでもあります。

昨年の「ラストスマイル」以来の、オリジナル作品の上演でしたので、
去年のラススマが終わった後から、
より面白くて、心を動かせるものを創れるように、準備を続けてきました。

自分は去年、40歳となりました。
40代になると、「何とかしなきゃなぁ」と思う気持ちやら、
焦りみたいなものが生まれまして、
この40代は、自分のオリジナル作品のためにより時間を使いたい、と
思う気持ちが強くなりました。

僕は作品に取りかかると、他の方より時間がかかってしまうので、
せっかくお声かけ頂いた他の案件はお断りさせて頂き、スケジュール調整をしました。
より沢山の時間をもって、なるべく万全に、自分の舞台作りに向き合えるように……

密かに、目標を立てました。
40代の間は、「年に最低2本は新作の(オリジナル)舞台を作ろう!」という目標です。

20代の頃は年に2~3本作ってた記憶もありますが、
最近は退化して、筆が遅くなったのか、他の仕事を言い訳に、
オリジナル舞台は年に1本(その1本も、再演の時もありつつ)でした。
なので、年に2本の新作舞台は、自分にとっては、かな~り追い詰めています。

例えるなら、五稜郭に追い込まれた幕府軍くらい、追い詰められています。
すみません、幕末、詳しくない人もいますよね。
他の例えをするなら、池田屋を新撰組に急襲された勤王の志士たちくらい、追い詰められています。
これもまた幕末の話でしたね。

プロデューサーの佐藤にも、その希望(年に2本は新作舞台やりたいです)を伝えました。
佐藤こと、のぶさんはその目標のために、劇場をとって、準備を進めてくれました。

自分の周囲を見ても、
「今年が勝負の年だ」と奮起していた方や、
いい波に乗り始める年だったように思える方が大勢います。

自分だけでなく、多くの人が、つまずかざる得なかった、仕方無い年なんだなぁと感じております。

自分は毎日、映画やアニメ・テレビを見たり、ゲームをしたり、音楽聴いたり、漫画や本を読んだりしてないと、うまく暮らせていけないタイプです。
エンタメ摂取する方です。

ただ、他の多くの人が全て同じとは、思えません。

自分が作る舞台は、ある程度の平穏な日常がまず存在して、
お客さんの時間を借してもらって、お金を頂き、
ようやく成り立っています。

「ある程度の平穏な日常」
――この重要さを、今回は改めて痛感しました。


「自分はちょっとずるい商売をやっているなぁ」と思うことがあります。
楽しさ・生き甲斐をもらいつつも、更に日々生きるための糧をも頂ける。
こんないい仕事は、なかなかありませんもの。

でも、ずるいとバレないように、
「できる限り面白くして、感動させて、誤魔化して、
また来て貰うようにするぞ!」
と、来て貰う人の満足のために、油断せずにやっておりますので、
許してやってください。


今年、自分が関わっていたもので、コロナの影響を受けたものは、
これで三本目です。
脚色・演出でした舞台版「誰ガ為のアルケミスト」は、無観客で全公演を配信上演する、という措置となりました。
脚本で関わりました斬劇「戦国BASARA」~豊臣滅亡は、全公演開催自粛。
そして今回の「クレプトキング 月を見ていたかった兎」は延期。

どんな舞台においても、カーテンコールの時、劇場の最後列で聞く、
お客様の拍手を楽しみにしていました。
全ての苦労が報われて、脳から幸福汁が溢れ出るような、あの瞬間……
恍惚の境地とは、まさにあのことです。
でも、しばらくはお預けです。

不安な日々が続きますね。
あんなにも、舞台がやりたかったはずなのに、
先行きの見えない今、
どうやって上演するのが適切なのか、わからない今、
この延期は妥当なことと、思えております。

ただ、それぞれの団体の方針や事情もありますので、
この時期に上演を決定した団体の舞台は見守って欲しいですし、
見守りたいです。

「不安や、感情にとらわれた時の言動は、大抵よくない結果を引き起こす」
というのが、自分の経験から身に染みてる事でありますので、
平穏な日常が戻ってくるまでは、お家で静かに暮らしていこうと思います。

また平穏な日常を取り戻すため、保ち続けるために、
働いてくださっている医療従事者の方々や、
様々な職種の皆さまに感謝を申し上げます。


次に舞台をお届けできるのが、いつになるかはわかりませんが、
その時は、どうか興味を持って頂けたら……
そしてご来場頂けたら幸いです。


宮城陽亮

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